お菓子はどこの世界でも美味なようですーー看板の案内はすごくありがたいと身に染みる体験
招待状が届いたから5歳の身体に慣れるためにも毎日屋敷中を動き回った私は屋敷を出る頃にはふらつくことなく自由に動き回れるようになった
最初のうちはどうしても元々の大人の身体とのギャップのせいでバランスが取りにくかったけど、慣れてみれば意外と動けるものである
私が身体に慣れる努力をしている間にお茶会の準備はお母様をはじめとして執事やエミリーたちがしてくれた。ドレス、というのかワンピースというのか…軽めのドレス?みたいなのを用意してくれている
試しに一度着てみたけど、元の素材がいいので文句なしに可愛い仕上がりだ
淡い青色がベースで、刺繍やレースでお上品に纏められている一品。少し大人びたデザインではあるけど、ルーナの顔つきはしっかりしているので服に着られることなく問題なく着こなしている
髪型も普段はあまり触らずに下ろしているんだけど、緩く結い上げ、リボンで結んでる
姿見で確認したけど、髪型を変えるだけでもイメージは変わるもんだと再確認した。つまり、最高に麗しいということだよ。我ながら将来が楽しみな顔の良さ
そんな訳で、準備万端となった私は両親同伴の元王城へと移動したのだった
両親同伴だけど現地に行けばバラバラ、まあ距離を開けることになる。今回のメインは王子であるリオンと同世代の子供たちの交流なので、大人達は問題が起きないかだけ気をつけて見守るスタイルなようだ
王城はさすがは王様の住む城で、私がいた屋敷も公爵家の物なので立派だったけどそもそもの規模が違う。全体的に白いレンガ?造りなんだけど、大きいのなんの…王族以外にも側近や財務官などの官職の人たちの職場でもあるから広いんだよね
それで、話はここからなんだけど
うん、迷った
ーーーーー
状況を整理すると、王城に無事にお父様達と到着しました。招待状のおかげですんなりと中に入り、お茶会が開かれている中庭へと誘導されました。うん、ここまではわかる。で、さっき言ったみたいにお父様達とバイバイして2人は別室へ、私は中庭の子供達の輪へと混ざることに
私の到着は遅めだったのか、他の子たちが早かったのかわからないけど中庭には既にそこそこな数の子供たちがいた。みんな小さくて、お姉さん的には見てるだけで癒される光景だった。女の子たちも私と同じで可愛らしい洋服に身を包み、キャピキャピと会話に花を咲かせていた
お茶会初参加の私は何をしていいのかわからず、取り敢えず用意されているお菓子などがあるテーブルに移動して、1人でもそもそとクッキーを食べていた。美味しかった
一応、周囲の会話も聞いていたけど、最近好きなお菓子や遊び、王都のことなんかを話してて、微笑ましいな〜なんて思ってたんだけど、女の子たちの会話が「この子がカッコいい」「あの子が素敵」なんて顔の整ってる男子談義になってきた辺りから年齢って関係ないな、なんて思って
あと、元から知らない人に話しかけるながら苦手なコミュ障にとって出来上がってる集団の中に1人飛び込むのは怖かったので混ざるに混ざらなかった
えーと、そうそう、横で聞き耳だけ続けるのもダメかと思ってその後も移動しては他のテーブルのマフィンとか紅茶とかも楽しんでたんだけど、ハメを外して食べ過ぎたのか、お腹が痛くなってきたんだ
それで、お花を摘みに行く?薔薇の木を伐採だっけ?まあ、いいや。トイレに行こうと思ってそこを離れたんだよね
ただ、前世の百貨店とか駅みたいに上に看板がある訳もないからどこに何があるのかわからなくて、お茶会のせいなのか警備もぱっと見ではわかるところにいないしで、グルグルその辺りをうろつくことになって…出入りする人間が多いんだから、案内板くらい用意しとけよって悪態づいた
そうしてると無事発見。フラグ回収のはやさよ。こうして無事にトイレは済まされたのだった。頑張って見つけたんだもん、よくやったよ、うん。
いつかここのお偉いさんに会ったら案内板作ってほしいと訴えてやろうか
まあ、トイレという障害がなくなったのはよかった。
問題なのは、グルグル行き過ぎてて中庭に帰る道が分からなくなってしまったことだ
つまり、迷子になってしまったのである
いい歳して、少し恥ずかしい…
私がいなくなったことに誰か気づかないかな〜と思ったけど、お茶会の時には誰とも話してないから居なくなったことに誰も気付いてないだろう
気付いていても、探してもらうほどの親しくはないとおもうので、期待はやめておこう
そうなると、私がいないことが判明するのはお茶会が終わる頃、お父様達が迎えに来るタイミングになってくる。お昼頃から始まったお茶会だけど、終わるのは3、4時間後のはずなので開始から1時間程度の今ではまだ先である
うーーん、困った。このまま迷っていてもいいんだけど、今日はリオンを見に…ごほん、会いにきたので姿も見れずに帰るのはちょっと無駄足感が否めない…
もしそうなると、私はお菓子を食べにきただけになってしまう。どんな食いしん坊だ
ひとまず、うろうろするか、なんてさらに動き回った結果、中庭ではない中庭へと出てきた
渡り廊下みたいな所で、通路の左右がちょっとしたお庭になっている。中庭ほどの規模はないけどちゃんと手入れの行き届いている綺麗なお庭だ
建物の中を動き回るのに疲れてきているところだったので、植物の緑が視力的にも心にも優しく染みるようだ
ちょっと休憩して行こう。バチは当たらないだろうし、楽しんだ方がいいもんね
子供のしたことだから、罰とかもないよね?よね?
軽ーい気持ちで私は、通路を外れてお庭へと歩みを進める
中庭には大輪のバラがたくさん咲いていた華やかな感じだったけど、こっちは控えめなお花が多くて温かい、落ち着くような雰囲気がある。パワースポットみたいだな
人がいないからか、周囲が建物で覆われているからかわからないけど秘密の花園って感じがして素敵な場所。もし私がここに住んでいたならお気に入りスポット決定だ
迷子だった時の気持ちは何処へやら、単純な私はるんるんな気持ちでひっそりと咲く花に近づいていった
「だれ!?」
警戒を強めた高い声が、物陰から聞こえた




