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わかっていても驚いたふり、私は女優の才能があるーーでも、わかっていても嬉しいものは嬉しいよね



「はい、どうぞ」


お父様が最初に入ってきた時と違って今回は私の返事を待ってくれた。なので、ノックに対しての返答を

それをそばで聞いていたクラウスは扉を開けに移動した


クラウスが開けた扉から入ってきたのはお父様と叔父様夫婦。お母様やお爺様は別室で待機しているのかな?


部屋に入ってきた叔父様夫婦は私のそばへと歩みを進めるが、その足取りは重い


「ルーナ、私達の配慮不足で酷い目にあわせてしまって本当にすまなかった」

「ルーナちゃん、本当にごめんなさい」


2人はベッド脇まで来たと思えば頭を深く下げてきた。その顔色は悪く、私よりもよっぽど体調が悪そうだった


私が何かいうまで頭を上げないつもりらしい。大の大人が子供相手に頭を下げている光景というの傍目からはどう写っているのだろうか、なんて現実逃避をしてみたり


「おじさま、おばさま、どうか顔をあげてください。わたしはこうして元気ですから」


私の言葉にパッと顔をあげる2人。仕事の辞任を望んでないことはお父様が話してくれているでしょう、となるとそのことを言うよりも愛らしい姪っ子になる方が得策かな


「わたし、お二人のことがだいすきです。今度おうとに行くときには、たのしい場所やおいしいものをたべさせてくださいね」


当初の作戦開始である

この2人は元から私に対して悪い印象はなかっただろうから、そんなに心配はしなくてもいいかもしれないけど、念には念をね。ちょっと恥ずかしそうに頬を緩めながらオネダリ、可愛らしい容姿の姪っ子からの愛らしい言葉だ、ときめくだろう

私がこんな姪を持っていたら思いっきり甘やかす自信がある。可愛い子には貢がねば


「ルーナちゃん…貴女は本当に、優しい子ね」


私の言葉に叔母様がはらりと涙を溢す。態々王都というワードまで出したんだ、仕事は続けてね

ダメ押しにもう少し


「わたし、いつかおじさまのおしごとしてる姿もみてみたいな」


つまり、財務官の仕事を見せろよ、と言いたい。別に仕事内容に興味はないけど、辞めさせないためだからこれくらいはっきり言っておいた方がわかりやすいだろう。それに、役所へのツテはどんなイベントでも役立ちそうだから持ってるに越したことはない


「…ああ、ルーナ。君が許してくれるのなら、仕事は精一杯続けるよ。そして、君が遊びにきてくれたときには何処へだって案内しよう」


よしよし、口質はとったからな。ここにいる全員が証人ですからね。何かあったときには助けてもらう気満々の私である



「では、ルーナ。私達は一度出て行くから、着替えなさい」


私と叔父様たちことが一段落ついたのをしっかりと見届けたお父様は2人に退室を促す。そして私に着替えるようにいうとクラウスを連れて部屋から出て行ってしまった。そして、お父様たちと入れ替わりになるようにエミリーが入ってきた


「お嬢様!もう…この数日で私をどれだけドキドキさせるんですか…!」


慌ただしく私へと駆け寄ってきたエミリー。今思うと彼女は外伝ストーリーでも姿だけの登場だが、ルーナの側にいてくれた侍女だ。ルーナのことを昔から見てくれているとても優しい心根をもつ女性なんだろう

私が倒れたことに対して両親と同じくらい心配してくれているように思う。ルーナもきっと、今回の事件さえなければ優しい子に育ったはずなのにな

私が中身になってるから清く正しく優しい子にはならないのでかなり申し訳ない気持ちである


「ごめんね、エミリー。もうだいじょうぶだから。ねぇ、きがえをてつだってくれる?」


エミリーのメイド服をくいっと控えめに引っ張りながらお願いする。もちろん、侍女である彼女には命令さえすればいうことを聞いてくれるのだろうけど、味方は大いに越したことはない。女は愛嬌だ


「は、はい!もちろんです!お嬢様!」


元気な返事だこと。その後のエミリーはテキパキとクローゼットから私の服を持ってきてくれて慣れた手抜きで着替えを済ませてくれた。本当なら1人で着替えたいところなんだけど、5歳児の体では着替え一つとっても一苦労なのだ、わかってほしい

あと、日本の子供服と違って西洋服のこの世界の服は着替えしにくい。着せ替えてもらっていてよくわかった


こうして私は濃紺色の白レースがあしらわらたお上品なワンピースへと着替えを無事に済ましたのだった


「ねえ、エミリー。きがえたけど、わたしはこれからどうするのか知ってる?」


お父様には着替えるようとしか言われてない。何処に行くにしても目的地は言っておこうよお父様


「はい、私が把握しております。それでは参りましょうか」


エミリーに予め伝えていたようだ。身なりを整えた私を満足げに見ていたエミリーはエスコートするように私の手を引き、私はそのまま自室を後にした



ーーーーー



手を引いてもらっているからかバランスがとりやすく、距離があったもののそこまで時間をかけずに来れた気がする。この身体に慣れてきたのかな?

そうしてついたのは私が倒れた食堂だった


「……ここ?」


「はい、お嬢様。どうぞ、お入りください」


目的地は食堂(ここ)であってるようだ。なんとなく展開が読めたが、私が本当の5歳児だったらこんなこと、本当はしちゃダメだからね。普通なら、今までの出来事全部トラウマだからね、と言えたらいいんだけど

うん、扉の前でうだうだ考えていてもダメだよね。あんまり突っ立ったままでいたらエミリーからも不審がられるだろうし


エミリーは今回は扉を開ける様子はない。ということは、私が扉を開ける必要があるのだろう。彼女は私の数歩後ろで控えているようだ


食堂からは中に人がいないのでは?と思うくらい音がしない。まるで息を潜めているような…なんて、溜まる話でもないか


大丈夫、私はなかなかに演技力があるとお父様達への対応でわかったではないか(クラウスに通じてるのかはわからないけど)。喜ぶ演技くらいどうってことないさ


扉をゆっくりと開けていく。思ってたよりもすんなりと扉は動いた。多分、向こう側からゆっくり、私の押す速度に合わせて扉を引いてくれてるのだろう


ある程度扉が開いて私が顔を上げる



「「「「「ルーナ、誕生日おめでとう!」」」」」


お父様、お母様、お爺様、叔父様、叔母様が一斉に声を上げた

はい、予想通りでしたね!!私の誕生日会のやり直しです



「ありがとうございます!」


それに対して、驚いた顔からのにぱっと笑顔で、私もお礼を述べましたとさ


なーーんて、笑顔は本心から出たものだけど



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