なんにしても、目の保養は大切なわけでーーちょっと尋ねてみたけれど、教えてはもらえませんでした
案の定、昨日更新できなかったので二話更新になりました…
いつもお読みいただき本当にありがとうございます
のんびりペースな話ですが、これからもお付き合いくださるととても嬉しいです
逆に、すんなりとここで捕まったりしてる方が予想外で驚いたと思う。何事もうまく行かない、それが当たり前だと思います。なんせ、ゲームの世界だから余計にね
「すまない…だが、これからはルーナの警護にもより力を入れるし、クラウス君にも力を貸してもらうつもりだ。どうか、不安に思わないでほしい」
「…だいじょうぶです、お父さま。わたし、みんなのことを信じてますから」
気持ち、儚げに笑っておく
申し訳なさそうなお父様には悪いが、多分だけど私の命は暫くは安全だと思う。むしろ、死ぬに死なないのではないかと思う
簡単に死ぬのなら、そもそも私という魂がこの身体に入るという夢小説もビックリな現象が起きることはなかっただろうから、主人公補正ならぬ悪役令嬢補正でゲームのエンディングを迎えるまでは生き続けざる終えないのではないかと予想
精霊王か精霊女王なのか正体はわからないけど、この世界の不条理というか、創造神というか、神様的な存在の意向を無視してまで私を殺すことは難しいでしょう。いや、そこまで殺そうとされる理由も心当たりもないんだけどね
こんな理由を話したところで信じてもらえるわけもないし、頭がおかしくなったと思われるだろうから黙っておくんだけど
「ルーナ…っ!」
ああ、お父様が感動して泣きそうになってる。ごめんなさいね、お父様。娘の身ではありますが、心がこんなに冷めてしまっていて
ぶっちゃけ、精神年齢のせいでお父様というよりもお友達に近い感覚だから、ボロが出ないように気をつけねば
「お父さま、わたしはもう平気です。おじさまたちに会いたいのですが…」
話も進まなくなるし、面倒ごとは済ませておこう。嫌なことは最初に済ませて置くに限る。そう、夏休みの宿題とかと一緒の原理だ。後に伸ばしていくと絶対にやらない。前世における学生生活を通じて私は学んでいるのである
「え、ああ。わかった。声をかけてこよう。クラウス、ルーナのそばにいてくれ」
「はい、旦那様」
お父様はクラウスに声をかけてから叔父様達を呼ぶために部屋から出て行ってしまった
今日知り合ったばかりの子供をそんな簡単に信頼して娘と2人っきりにしていいものなのかと問い詰めたい。5歳と7歳とじゃ何かが起こるにしても何も起きないとは思うのだけど、そういうところだぞ、お父様と言いたい
「…ほんとうに、うまくいったのね」
ベッド脇に立っているクラウスを改めて見つめる
うん、かっこいいわ。大丈夫、慣れる慣れる。がんばれ、私
「お陰様でね。犯人探しの功績と名前、君の態度のおかげだよ」
2人っきりになったからなのか、かしこまった口調ではなく最初の頃のような話し方になったクラウス。ペイジとしてはあまりよくないかもしれないけど、私としてはこっちの方が落ち着くので指摘はしないでおこう
あ、ペイジについて説明しておこうか。この世界でのペイジっていうのは貴族家系の子供が上位の家系へと奉公しに来た時の役職みたいなもの。執事とかとそんなに変わらない。ペイジになるっていうのはちょっとした箔がつくので、肩書きが欲しい家柄の男児はちょくちょくペイジとして他所の家に行くのだ
長男でない場合はそこから側近になったり、婿養子になったりもあるので出会いや縁を作るためにペイジになることもある
今回はお父様とクラウスで勝手に決めただろうから、レアケースだと思うけどね
「それはそれは。わたしはなにもしてないですけどね」
私の態度とは?なんかしたっけ?
………ダメだわ、中身が歳のせいだからか思い出せない。正直、クラウスの燕尾服の威力が強過ぎたことが原因だ思うけど、自分の行動がわからない。そんなに重要なこととかした?
「僕に“信じてる”と言ってくれただろう?本人からのその言葉は旦那様たちから見ても僕を信頼たる人物だと認める一押しになったんだよ」
これまた丁寧に、私の言葉の意図を汲み取り説明してくれた。ねえ、本当はわたしの心の中、読んでたりしない?読心術とか使えるって言われる方がなんだか納得できるんだけど
「僕は心は読めないよ。お姫さまがわかりやすいだけさ」
「ほら、そういうところよ」
顔に出てると暗に言われたけど、クラウスが表情を読むことに長けているだけだと思う。現に、今のは心読んでるでしょ
ゲームでそんな能力出てなかったけど、複数人の女の子と遊ぶ時にはそれぞれの顔色とかを伺ったり、気遣ったりしないといけないから、感情を読むのが昔から得意だったのかな
なんにせよ、手のひらで転がされてる気がして嫌だな
ぷくっと片頬に空気を入れて膨らませる。拗ねている、と体現してみた
「はは、拗ねないの」
また頭をよしよしと撫でられる
悔しいが、イケメン?イケショタ?によしよしされるのは年上としては威厳な問題があるもののオタクとしては至高の喜びに近い。最初の時は余裕がなかったものの、今は少し気持ちに余裕が出来てきているので受け入れることにしよう
「クラウスは、けっきょく、どうしてここにきたの?」
よしよしされたまま見つめる。
駄目だ、もたない。数秒で目を反らすことになった。少しずつ慣らしていこう
「言ったでしょ、君を助けるためだって」
そういえばそんなことを言ってたような言ってなかったような?
どちらにしても、その答えを鵜呑みには出来ないわけですが
「うそつき。わたし、あなたと今日はじめて会ったのよ?なんでたすけにきてくれたの?」
唇を少し尖らせて聞く
「嘘じゃないさ。でも、細かいことはまだ秘密。君が大きくなったらわかるんじゃない?」
意味深な発言を繰り返すやつである。だてにナナコイのミステリアスお色気担当をやっていない。この年から秘密を多用してこっちの気を引くのだから、油断ならないやつだ
「……そう」
なにより、ちょっと生意気そうに微笑むのをやめてほしい。鼻血が出るかと思ったわ。きゅんっとしてしまうのでやめてください。命がいくつあっても足りんわ
「でも、君の味方であるのは確かだから、仲良くしてね、お姫様」
手が頭から離れる。クラウスはお父様に言われて挨拶したときのように片手を胸に当てたスタイルで頭を少し下げる
「…ええ、こちらこそ」
仲良く、というかその姿を見せてもらえるだけで私としてはハッピーなので、こちらこそ末永くよろしくしたいところですけどね
ペイジとしては長くてあと7、8年位はこの屋敷にいることになる可能性があるわけだから、私の目の保養は約束されたものだな
「さて、そろそろ旦那様たちがいらっしゃる頃でしょうか?お嬢様、準備はよろしいですか?」
「だいじょうぶ、なんとかなるわ」
外から話し声が聞こえたからか、口調が改まるクラウス。砕けた口調は2人でいる時だけのようだ。
人が入ってくる前にこうして私に心の準備をさせてくれるのをみると、何処かでこういう仕事をしていたのではないかと7歳の少年に対して思ってしまう
そんなことを思っていたら、コンコンと部屋の扉がノックされた




