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美少年は何を着て間に合うが、破壊力を自覚すべきだと思うーー叫ばなかった私は褒められるべきですよね?ね?



入ってきたのは予想通りお父様だった

あ、後ろにクラウスもいる


「目が覚めたんだね、よかった」


ほっと、安心したように表情を緩めるお父様

いやはや、ご心配をおかけしました。なんて気持ちを込めてへへっと笑ってやり過ごす


「あの、彼は?」


何故なら、お父様よりも気になる存在がいるから

お父様の背後に被るように立っているクラウス。よくよく見ると、最初に見た時と服装が変わっているのだ。え?どんな服装かって?


「ああ、クラウス君には今日からペイジとして働いてもらうことになったんだよ」


「今日からよろしくお願いします、お嬢様」


お父様に紹介されてクラウスが前に出てきた

その服装、それは燕尾服だった


お分かり頂けるだろうか。ただでさえ将来美青年になる攻略キャラクターの幼少期、その上に燕尾服である。これに萌えないオタクがいるだろうか、いやいない(反語)

直視できない私は思わず顔を布団へと押しつけた

やっべぇ、あと一瞬でも遅かったら叫んでた。歓喜を


私の変な行動に2人が不審がっているというか、不思議そうにしている気がするが、それに構う余裕などない。気を抜くと、ビジュアルの良さに昇天してしまう。舐めないで欲しい、こちとら人生の大半はオタクとして過ごしているのだ。自分を制御するのなんてとうの昔にやめてしまった

前世では一人暮らしだったのでグッズやらアニメやら歓喜を叫ぶことは日常茶飯事だった。同じくらい尊さに声を失ってる時もあったが


とりあえず、今回は叫ぶ方の衝動に駆られた


ちらっと布団の隙間からクラウスのことを見る

様子を伺うように私のことを見ている燕尾服のクラウス……ああ!無理!!また目を背けてしまった


「あの、お嬢様…?」


流石に不審すぎたらしい、先ほどまでの推理をしている時の堂々たる姿とは違い困ったような表情をしたクラウスが顔を覗き込んできた


ふぁーーーぁあ!?

と、叫ばなかったわたしを誰か褒めてほしい

至近距離にくるな!心臓が足りないわ!!と声を大にしていってやりたかったが言えないので、なんとか声を振り絞り、平静を装って返事をする


「ごめん、なさい…よろしくね、クラウス」


ゆっくりと顔をしっかり上げ、改めてクラウスの顔を見る。がんばれ私、こんなのは慣れだ。毎日見てれば慣れてくる。美人は3日というし、美少年ならすぐに飽きるだろう。うそ、飽きないと思います。かっこいい

でも、顔を見てその都度、そのイケメン具合にときめくことはなくなると思うので、意識して顔を見ていくようにしよう。いやいや、私の趣味ではないよ?本当だよ?


「はい、お嬢さま」


にこり、微笑みながらクラウスが答える

っっ!!!顔をまた反らしてしまった。果たして私はクラウスの顔にいつ慣れることができるのだろうか。前途多難である




「こほん、もう挨拶はいいかい」


暫しの沈黙の後、お父様があからさまな咳払いをして空気を切ってくれた。本当にあるんだね、場面を変えるために咳払いする人って


「はい、お父さま」


実父だけど、媚は売るに越した事はない。可愛い顔して笑っておこう


「まず、ルーナ。お前が目覚めてとても嬉しい。まさか、1日に二度、同じことを伝えることになるとは思わなかったが…」


ですよね。私もまさかこんなことになるなんて微塵も終わってませんでしたよ、お父様。一緒ですね!


「ジョン達のことも気になるだろう。そのことからまず説明していこうか」


ジョン…ああ、叔父様のことか。5歳になったばかりの娘に対して、ありのままの事実を伝えていくのは大人として正解の行為なのかということに27歳の私がツッコミを入れたくなってしまうが、黙って聞いておこ


「ジョンやオリビアはルーナに危害を加えた。だが、ルーナに害を及ぼそうと故意を持って行った訳ではなかった。しかし、許されることでもない。本人達も意向もあり、オリビアの生家の方に引っ込むことになった」


「え…そんな、叔父様のお仕事は?」


「辞任する。本人がケジメだと言っている」


えぇー!叔父様夫婦が引っ越すことになると攻略キャラである従兄弟の動向もゲームから大きくズレてしまう!タダでさえクラウスの存在から違うというのに、これに加えて従兄弟の人生にも影響が出るとか…

私の強みはゲームの知識があるところ。その知識が活用されにくくなるのは困る。作戦が立て辛くなる


幸いにも、この話が決まってからまだ時間はさほど経っていないだろう。まだ、修正が効くはず


「…お父さま、わたしはそんなこと、のぞんでません」


笑顔を消して、真剣な顔でお父様を見つめる


「ルーナ、決まったことだ」


「…いやです!わたし、おじさまに王都をあんないしてもらうんです!おばさまにおいしいスイーツをごちそうになるんです!」


首を横に振るお父様。だがしかし、それではいそうですかと引き下がる私でもない。子供の特権『駄々っ子』である。それに、叔父様達にこれでカリを作れれば私が処刑されそうになったりする時に助けてくれる可能性が生まれる。なんせ、王都在籍の財務官なのだから。財布の紐を握る人間というのは家庭だろうが国の機関だろうが立場は強いのだ


「ルーナ…」


「おねがいです!お父さま!わたしのことを思ってくれるのなら、おじさまたちのこと、ゆるしてあげて…」


両手を組み、気持ちうるうると瞳を震わせる


「……わかった。辛いはずのルーナの意見だ、ジョン達にも伝えよう」


被害者がこう言ってるのだから、そこまで強くは断れない。簡単にお父様が折れてくれた。よしよし、いい調子だ


「あとで、ジョン達にも会ってくれるかい?」


「もちろんです!お父さま!」


なんせ、攻略キャラの親の好感度を上げていこうと決めたばかりですしね!考えてもみれば攻略キャラである従兄弟の親なのだから、可愛がってもらえるなら損することはないでしょう!ついでに、うまいこと従兄弟との関係性を築くことが出来れば尚良しだ

あとで甘えまくってみよう


叔父様達に罰を加えることはお父様としても本意ではなかったようだ。私を名目に許すことができることに対して僅かにだが安心した様子を見せた



「次は、消えた執事のことだ」


そして、打って変わって今度は冷たい色を孕んだ声で、話を進めてきた


「ルーナには悪いのだが、彼の正体については何もわかっていない。何処に逃げたのか、手がかりすら掴めてないのだ」




うん、ですよね。知ってました

ゲームでもない話ですもの。思うようにいかないことくらい予想はしてましたよ。だって、そういうものですもんね


明日はもしかすると更新できないかもしれないです…その場合、明後日に二話更新します!


よろしくお願いします

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