↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
96/143

096 邪炎竜ガレスゴディア⑤

 シンディーのヒールによって持ち直したトム。


 しかし、トムはもう盾を失い、鎧も失い、二本の腕をクロスさせてガレスゴディアの炎を受けている状態だ。


「我、望むは輝鮮たる光。彼の者に癒しを、ヒール!」


 矢継ぎ早に唱えられるシンディーのヒール。


 でも、そんな状態が長く続くわけがない。


 一刻も早く魔法を放たなければ!


「ぐぅ……」


 しかし、謎の頭痛が僕の邪魔をする。


 わかっているんだ。このままじゃトムが危ないことも、トムの次は自分だということも。


 それでも、いつもは簡単に操れるはずの水が今はのろのろとしか集まらない。


 どうにかしなくちゃ……!


 その時だった。


 まるで水を含んだ袋を殴ったような重たい音が大空間に響き渡る。


 その瞬間、トムを焼いていた熱線が上部へと流れていく。


 それを為したのは――――!


「アクア!」


 アクアだ。アクアがついにガレスゴディアのファイアウォールを突破し、戦線に復帰したのだ。


 その大きさは、最大値よりも六分の一以下になっている。


 それでも、触手ハンマーを伸ばし、形成されつつあったガレスゴディアの顎をかちあげたのだ。


 それによって、ガレスゴディアのブレスが上方向にズレた。


「我、望むは輝鮮たる光。彼の者に癒しを、ヒール!」


 すぐさまトムをヒールの光が包み込む。


 トムは仕事をやり切ったとばかりに、片膝を突いた。


 視界が開けたことで、別のことにも気が付く。


 父上だ。父上がガレスゴディアの懐に潜り込んでいた。


 おそらく、トムが耐えてる間に父上がガレスゴディアを倒す作戦だったのだろう。


 そして、いまやガレスゴディアの頭はアクアのアッパーによって打ち上がり、その首が丸見えだ。


 この上ないチャンスだ。このチャンスを見逃す父上ではない。


 父上は姿勢を低くして一気にガレスゴディアに疾走する。


 繰り出されるのは、床スレスレの位置からの上段切りだ。


 それは、見事ガレスゴディアの首の付け根を断ち切った。


 驚愕の表情で、ただの炎になって消えていくガレスゴディアの頭部。


 そう。父上は魔法を斬ることができる。


 魔力の塊であるガレスゴディアにとっての天敵だ。


 そして、これで終わらないのがアクロイド流大剣術である。


「せあッ!」


 父上は振り終えた大剣を蹴り上げることで、切り上げの斬撃を生む。


 その斬撃はガレスゴディアの右腕を斬り飛ばす。


 最初は父上の斬撃を耐えていたガレスゴディア。しかし、今は父上の斬撃にまるで耐えれていない。それだけガレスゴディアが弱っている証拠だ。


 ガツンッと床に叩きつけられる父上の大剣。


 その反動で、宙へと跳び立たった父上。


「おるぁああああああああ!」


 そこから始まるのは、父上による空中演武だ。切り下ろし、切り上げ、水平切りなど、怒涛の連続攻撃が始まる。


 その攻撃速度は、並の大剣のそれではない。アクロイド流大剣術の恐ろしさ。それは不意打ちの一撃だけでは止まらない恐ろしいまでの攻撃速度にある。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 父上の攻撃はガレスゴディアの修復能力を超え、その顔や翼、脚などを斬り飛ばしていく。


 そして現れるのは、ガレスゴディアの核とでも言うべき深紅の丸い炎の玉だ。


 その大きさは直径一メートルもないだろう。これを壊せば、ガレスゴディアを倒せる。そんな確信を抱いた。


「消えろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 ついに、これで終わりだと言わんばかりに父上が大剣をガレスゴディアの核に振り下ろす。


 しかし――――!


「ぐお⁉」


 ジュッという音を立てて、ガレスゴディアの核に触れた大剣が、まるで粘土のようにぐにゃりと曲がり、融けていく。


 ガレスゴディアの核は、きっと想像を絶する高温なのだろう。


「そんな……」


 背後からシンディーの絶望する声が耳を打った。


 でも、諦めるのはまだ早い。


 急速に修復し、核を隠そうとするガレスゴディア。しかし、そうはさせないと大洪水が押し寄せた。


 アクアだ。


 アクアが残った体の大部分を使って、タイダルウェーブを起こす。


 隠れかけていたガレスゴディアの核が再び剝き出しになった。


「貫けえええええええええええええええええええええええええええええ!」


 その瞬間、僕はすべての魔力を集中して魔法を放つ。


 僕の目の前には今までかき集めていた水球の残りを集めて作った弾丸サイズの水弾。


 それが今、発射される――――!


 水弾はアクアのタイダルウェーブを吸収しながら成長し、ガレスゴディアの核に着弾する頃には直径十メートルを超えていただろう。


 拮抗する僕の水弾とガレスゴディアの核。


 しかし、その時不思議なことが起きた。


 炎の塊だったガレスゴディアの核にヒビが入る。その瞬間、たしかにガレスゴディアの核が奇麗に十二等分された。


 そして、まるで幻のようにガレスゴディアの姿が消えていく。


 残ったのは真っ暗な大空間と、その真ん中で淡い輝きを放つ神造兵器だけだった。

お読みいただき、ありがとうございます!

よろしければ評価、ブックマークして頂けると嬉しいです。

下の☆☆☆☆☆をポチッとするだけです。

☆1つでも構いません。

どうかあなたの評価を教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。