↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
85/143

085 古びた宝箱

 それから、僕たちはモンスターと闘いながら、ゆっくりとダンジョンを攻略していく。


 攻略スピードがゆっくりなのは、ダンジョンの迷路のような造りによって行ったり来たりを繰り返しているからだ。


 当然、『レインボー・ファンタジー』のガチ廃人である僕は、最短ルートを覚えているけど、敢えて口出ししていない。どう進むかは指揮を執っている父上とマッピングしているシンディーが相談して決める。


 ちょっともどかしい気持ちだけど、こればっかりは仕方ないね。


「また行き止まりか……」


 父上の残念そうな声が石造りの通路に響く。そうだね。この道は僕の記憶でも行き止まりのはずだ。


 でも、今回はただの行き止まりじゃない。ラッキーな行き止まりなのだ。


「でも父上、何かありますよ!」

「おん? 何だあれは?」


 トムが持つ松明の明かりが届くか届かないかの微妙な所に古びた木箱が置いてあった。


「こりゃ木箱じゃないですかい?」


 トムが行き止まりの壁に近づいていくと、松明の明かりによって古ぼけた木箱がくっきりと姿を現す。


 木箱は予想よりも長いものだった。


「中に何が入っているんでしょうね?」


 僕は、ここにアイテムが眠っているのはわかっていた。当然、木箱の中身も知っている。


 でも、僕は敢えてとぼけたように言う。


「シンディー、どう思う?」

「そうですね……。この遺跡が建てられた時に供えられていたものでしょうか……? 他の遺跡でも、このような木箱は見つかっています」

「何が入っていると思う?」

「それは開けてみないことには……。それに、木箱に付けられたトラップなども警戒しなければいけません。ですが、有用なアイテムが手に入る確率もありますわ。リスクを取るか、安全を取るかです」

「ふむ……」


 なぜか難しい顔をして相談している父上とシンディー。


 あるぇー?


 僕としては、みんな喜んでこの宝箱を開けるものだと思っていたんだけど、現実はそうもいかないらしい。


 たしかに、宝箱がトラップになっている場合もある。場合によってはミミックという宝箱に擬態したモンスターに襲われる可能性があるのは確かだ。


 でも、この宝箱にはトラップもなければミミックでもないことを僕は知っている。ここでこの宝箱を開けないという選択肢はない。


 かといって、僕が無邪気な子どものように振舞って勝手に宝箱を開けてしまうというのも考え物だ。そんな軽率なことをしたら、今度からダンジョン禁止を言い渡されるかもしれない。それだけは避けたいところだ。


「父上! ここは僕に任せてください!」


 少し悩んだ末、僕はそう切り出した。


「キース? どうするんだ?」

「まず、僕の水で宝箱を覆います」


 僕は水を生み出すと、自分で言った通りに宝箱を水で包み込む。


「ふむ? これでどうするんだ?」

「宝箱で仕掛けられていると考えられるトラップは、矢、毒ガスくらいです。それをこの水で防ぎつつ、宝箱を開けます」

「そんなことできるのか?」


 不思議そうな顔をする父上。


「父上、僕は水を操れるんですよ。水でこの宝箱を開けるのなんて朝飯前です。これなら、安全な距離から宝箱を開けることも可能です!」


 まぁ、僕はもうこの宝箱にトラップはないって知ってるんだけどね。


「父上、僕に宝箱を開ける許可をください!」


 父上はちらりとシンディーを確認すると、太いため息とともに頷いた。


「いいだろう。頼んだぞ、キース」

「はい!」


 父上の許可も貰い。僕はさっそく宝箱から距離を取って、宝箱を十分に警戒するフリをする。


「開きます」

「おう! なんでも来い!」


 父上は僕の前に立って、大剣を抜いて自分の前に構えて僕を守る準備をしていた。


 こういうのが自然とできる父上ってかっこいいよね。僕も将来、こういう男になりたいな。


 そんな夢を持ちながら、僕はゆっくりと宝箱を開けていく。


 僕は操っている水を通して宝箱の状態がわかる。宝箱は、ゲーム時代から百年経っているというのに、まだ頑丈な作りをしていた。蝶番なども錆びていない。魔法で保護でもされているんだろうか?


 僕は宝箱を開けると、中に入っているアイテムを取り出してみる。


 それは、奇麗な丸底フラスコに入った青色に輝く液体だった。


 これこそ僕が欲しかったアイテム。マナポーションである。


「そ、それは⁉」


 マナポーションに喰いついたのはやっぱりシンディーだった。


「知っているのか、シンディー?」


 父上が構えていた大剣を背中に戻しつつシンディーに尋ねる。


「はい! おそらくですが、これはマナポーションです!」

「マナポーション?」

「何です、そりゃ?」


 父上とトムは知らないのか、顔にハテナを浮かべていた。


 そのことがもどかしく感じたのか、シンディーが唾を飛ばすような勢いで口を開く。


「マナポーションは、魔力を回復させる霊薬ですわ! 今ではその製法が失われ、こうして遺跡でしか手に入らないものとなっております。その貴重性から、すべての魔法使いたち垂涎の品となっておりますの! まさかこの遺跡から発見されるとは……」

お読みいただき、ありがとうございます!

よろしければ評価、ブックマークして頂けると嬉しいです。

下の☆☆☆☆☆をポチッとするだけです。

☆1つでも構いません。

どうかあなたの評価を教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。