↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
74/143

074 神話と衝撃の事実

 邪炎竜ガレスゴディア。


 シンディーの言っていた通り、神話に登場する邪竜の一体だ。邪竜とは、邪神に味方したドラゴンの総称である。この世界には、元々ドラゴンが七体いた。今ではその半数以下である三体しか残っていない。


 なぜか?


 すべては神話の時代に起きた女神と男神の戦争に起因する。


 この二柱の神は、協力して世界を生み出し運営していたのだが、考え方の違いから仲違いすることになる。これが世界中の種族を巻き込んだ大戦争に発展するんだから、神様ってすごいね。迷惑なことこの上ないけど。


 二柱の神が対立したことによって、七体のドラゴンたちもそれぞれの陣営に分かれて相争うことになる。女神側に立ったのは光、水、土のドラゴン。男神側に立ったのは闇、火、雷、風のドラゴンだった。


 まぁ、全世界、全種族を巻き込んだ戦争は、女神側の辛勝に終わる。敗北した男神は邪神とされ、封印されることになった。女神側に立った水、土のドラゴン。男神側に立った闇、火のドラゴンは討伐され、歴史から姿を消した。はずだった。


 ドラゴンというのは強大な力の塊だ。たしかにその肉体は滅びたかもしれないけど、その魂は不滅だった。そんな存在にいつまでも敵対されても困る。仕方がないので、邪竜の魂を封印したというわけだ。


 長々と回想してしまったが、そんな邪神側に付いた火のドラゴン、邪竜ガレスゴディアの魂がここに封印されているというわけだね。


 でも封印されていてもその力が漏れ出しているのか、この地は乾き、雨の降らない呪われた地になってしまったというわけだ。


 つまり、邪竜ガレスゴディアの魂を倒せば、この地の呪いも解けるというわけだ。


 以上が僕が覚えている『レインボー・ファンタジー』の設定資料集の内容だ。


 ちなみに、僕はここが炎帝の祠という名のダンジョンだと知っているし、ダンジョンの構造も覚えている。


 不安要素を挙げるとすれば、それは百年という年月の経過によってどんな変化が起きているのかというところかな。


「これは一刻も早くご領主様に報告すべき案件だと思いますわ!」


 すべてではないだろうけど、シンディーは感づいた可能性がある。シンディーが慌てたように父上に報告しようとするのはわかる気がした。


「早く国に――――」


 しかし、そこまで言ったところでシンディーが絶望した表情を浮かべた。


 どうしたんだろう?


「シンディー? どうしたの?」

「いえ……」


 シンディーが僕を見る。その目はどこか憐れむような色を帯びていた。


 なんでそんな目をするんだろう?


「シンディー、何か知ってるなら教えてもらえると助かるんだけど?」

「はぁ……」


 シンディーはやりきれないというように溜息を吐くと、その口を重々しく開く。


「キース様、アクロイド男爵家の家名は、王国では特別な意味を持ちます。それは――――」

「シンディー先生!」


 シンディーが語り出そうとすると、大慌てしたようにトムがその言葉を遮る。


 トムは知っているのか?


 でも、僕は知らない。なぜなら、アクロイド男爵家は『レインボー・ファンタジー』のゲームの時代の後に生まれた貴族家だからだ。だから、僕はシンディーが語ろうとしたことも、トムがそれを止める理由もわからなかった。


「教えてくれないか?」

「坊ちゃん、それは――――」

「トムさん、いずれ貴族院に行けば、キース様にもわかることです。それならば、今のうちに覚悟を持っていただいた方が……」

「それは、そうかもしれませんがね、キース様はまだ五歳なんですよ! 今くらい、今くらいは自由に……」


 トムはまるで我がことのように、本当に悔しそうに言葉を詰まらせる。その目は少しだけ潤んでいるような気がした。


 一方の僕としては混乱するばかりだ。


 アクロイド男爵家。僕の知らなかった貴族家であり、僕の生家だ。そのアクロイド男爵家にどんな秘密があるというんだ?


「キース様、心を強くして聞いていただきたのですが、アクロイド男爵家は一般の貴族家からは蔑まれているお家なのです……」

「はい?」


 アクロイド男爵家が蔑まれている? それはなんでだ?


「理由は何なの?」

「……キース様は、ご領主様からアクロイド男爵家の功績をお聞きしましたよね?」

「うん」


 僕は王国を守り切った英雄、推しだったモブ兵長の子孫だ。そのことを思い出すと、とても誇らしい気持ちになる。


 だって、本当に大好きなシーンだったんだ。


 兵長の短い演説に応える兵士たち。彼らは自らの命を投げ出して国を、故郷を、そこに暮らす自分の大切な人々を守り切ったのだ。その覚悟は称賛されてしかるべきものである。


 あぁ、思い出すだけでちょっと泣きそうだ。


「……初代アクロイド男爵が打ち立てた功績。それはなかったことにされているのです」

「はい……?」


 聞き間違いかな?


 僕にはシンディーが何を言っているのかよくわからなかった。

お読みいただき、ありがとうございます!

よろしければ評価、ブックマークして頂けると嬉しいです。

下の☆☆☆☆☆をポチッとするだけです。

☆1つでも構いません。

どうかあなたの評価を教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。