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050 実践稽古

 剣の稽古が始まってどれだけの時が経っただろう?


 僕は毎日、父上と剣の稽古をしていた。たまに警備隊のみんなと一緒に剣の稽古する時もある。


 そこで気付いたのは、やっぱり警備隊のみんなは剣が上手い。一番年下の二十代前半のコリンもかなりのやり手だ。まず剣先がブレていないし、僕が苦戦している角材の間を通す素振りも全員が当たり前のようにできた。


 アクロイドの警備隊は三人しかいないけど、やっぱりみんな精鋭なんだなぁ。


 それに、今までモンスターを倒してきたから、警備隊のみんなはレベルも上がっているのかもしれない。強者揃いで安心するよ。


 そして今日は、父上と警備隊のみんなと一緒に森まで狩りに来ている。もちろん、ディアナとアクアも一緒だ。


 父上が言うには、適度にモンスターの間引きをしないと、村を襲いに来るらしい。たぶんだけど、森の中でモンスターが増えすぎると、森の中での食料が足りなくなって、村を襲いに来るのだろう。


 みんなが入るくらいの小さな水のヴェールを展開して、みんなで森に向かう。今回も木こりの三人も一緒だ。今回も木を切るらしい。やっぱり村のみんなも料理を作ったりするのに火を使うからね。その度に消費するのが薪だ。だから、木を切りに行く頻度は高い。


 まぁ、家を建てるのにも、何か日用品を作ったりするのにも木が必要だ。プラスチック製品がないから、木の使用頻度は高い。


 それに、僕は知らなかったけど、木を使うには一定期間木を乾燥させる時間が必要らしい。これから切りに行く木も、一定期間乾かしてから使う物だ。


 木を切るということは、木を運ぶ手段も必要になる。僕たちの後ろからはアクアスライムの大群がぽよんぽよん弾みながら付いて来ていた。その数は、アクアが最初に生み出したアクアスライムの数より確実に多い。たぶん、村に解き放っているアクアスライムたちが勝手に繁殖したのだろう。今では村人の数とアクアスライムの数があまり変わらないまでに増えている気がする。


 まぁ、アクアスライムたちは従順に人の言うことを聞いてくれるから、労働力としては助かるからいいんだけどさ。


 その分僕の魔力の消費は増えたけど……。


 でも、どうやら魔力を使い果たすと、急激に眠たくなるけど、その分最大魔力量が増えるんだよね。眠ったらアクアがベッドに運んでくれるし、僕は魔力が増えてほしいからよく倒れるまで魔法を使っている。


 そのせいで、僕はよく寝てる暢気な子だと村のみんなには思われているらしい。


 まぁ、いいんだけどね。


「よし、着いたぞ! 皆、陣形を取れ!」

「「「了解!」」」


 森に着いた途端、父上の号令が響き、警備隊のみんなが三角形の頂点になるように陣形を作る。その中心にいるのが父上と僕、そしてディアナとアクアだ。モンスターが現れたら、迅速にその場所に向かい、倒すのが僕の役目である。


 まぁ、ぶっちゃけ戦力的には父上だけでも過剰な戦力なんだけどね。僕なんかはオマケでしかない。でも、父上は僕を鍛えようとしてくれているのか、僕にモンスターの討伐を任せてくれることが多いんだ。


 ゲームでは、モンスターを倒すと経験値が貰えてレベルアップした。この世界でレベルアップがあるのかはわからないけど、経験は積んだ方がいいだろう。


「キース、今日はいつもと違うことをやってみよう」


 三角形の陣形の中央に着いたら、父上が突然そんなことを言い出した。


「どうするんですか?」

「今日は魔法を使うのはなしだ。アクアからも降りてもらう」

「それって……?」


 僕のメイン武器は魔法だ。それを封印されたら、僕はどこにでもいる普通の五歳児でしかない。モンスターを倒すなんて無理なんじゃ……?


 辺りには木こりたちが木に斧を叩きつけるコーン、コーンという音が響いていた。


「今日は剣の稽古の実戦編だ」

「そんな無茶な……」


 たしかに、僕はもう一か月以上は剣の稽古をしている。でも僕はまだ素振りしかしていない。しかも、その素振りも最近やっと少しずつできるようになってきたばかりだ。さすがにその状態で実戦なんて無茶が過ぎる。


「安心しろ。相手はゴブリンだ。それに、危なくなったら、オレが助けに入る。絶対に怪我はさせねえよ。だから、飛び降りる気持ちでやってみろ」

「えー……」


 でも、父上はどうしても僕に実戦をさせたいみたいだ。


 たしかに、父上ほどの強者が見守ってくれるのは安心するけどさ。だからって、いきなり実戦はないよ。


 しかも……。


「あの、父上? 僕は木剣しか持ってないんですけど……」

「ゴブリンぐらいいける、いける! オレも昔はその木剣でモンスターをシバいたもんだ!」

「えぇー……」


 本当に木剣で戦うのか……。しかも、ゴブリンと?


「いました! ゴブリンです!」

「行くぞ、キース!」


 コリンのゴブリン発見の報告が聞こえ、父上が僕を急かす。


「はい……」


 本当にこれから魔法禁止でゴブリンと戦うんだ……。

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