↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
21/42

021 シンディーうっとり

 ならば、シンディーが用意してくれたディアナのことをも信頼すべきなのかもしれない。


「うぅーん……」


 いつでも自分を殺すことができる少女が傍にいるというのは、正直かなり怖い。


 でも、逆に考えてみよう。


 そんな実力者に守られているのなら、僕は安全だ。


「ふぅ……」


 まぁ、そう考えないとストレスでどうにかなってしまいそうだけどね。


 でも、僕がまだまだ弱いのも、誰かの庇護が必要なのも事実。こうなったら、シンディーもディアナもできる限り頼ってみよう。


「ディアナ、質問なんだけど、僕とシンディーの命令が矛盾した場合はどちらを優先するの?」

「ご主人様であるキース様の命令です」


 ディアナは迷う素振りも見せずにそう呟いた。


「ディアナは僕を守ってくれる?」

「私の生きてる限りは」

「その言葉を信じることにするよ」


 僕は、この無口な少女を信じてみることにした。


 まぁ、信じないと決めたところで、僕にはどうすることもできないからね。なら信じてみるのも一興だ。少なくとも、シンディーの話を信じて僕の傍にディアナを置くことに決めた父上と母上のことは信じている。


 二回目の命だからね。ダメだったらその時考えればいいさ。



 ◇



 オレはマーク・アクロイド。アクロイド男爵領の領主だ。


 シンディーとの話し合いも終わり、書斎で報告書を纏めていたら、やや乱暴なノックの音が飛び込んできた。


「誰だ?」

「シンディーですわ。キース様のことで少しお話がありますの。入室してもいいかしら?」


 シンディーか。とっくに帰ったと思っていたのだが、どうやらまだ屋敷にいたらしい。


 それにしても、キースについて話があると言ったか?


 何の話だろう?


「入室を許可する」

「失礼いたしますわ」


 許可を出すと、すぐにシンディーが入ってきた。その目には隠し切れない興奮の色がある。シンディーがこんな目をしている時は、だいたいキースが何かやった時だ。


 今回もキースが何かやったのか?


「それで、話とは?」

「まずは謝らなくてはいけませんわね。申し訳ありません、ご領主様。先日ご説明した件についてですが、口止めされていましたがキース様に話してしまいました」

「なんだと!?」


 先日の件とは、キースの身柄が狙われていることについてだろう。その原因を作ったシンディーには思うところがあるが、キースの魔法は特殊すぎる。シンディーの発表がなくても、王都に行けば近いうちに身柄を狙われることになっただろう。


 オレたちの知らないうちにキースが狙われるよりも、対策を立てることができる今の環境の方がいい。そう思ってシンディーを許したのだが……。まさか、キース自身に話してしまうとは思わなかった。


「なぜ話した? 自分が狙われているなど、まだ幼い子には心労でしかない。キースにはまだ伝えないと、みんなで決めたではないか」


 決してキースを除け者にしようとしたのではない。自分が狙われているということを自覚した方がいいかとも考えた。


 だが、このアクロイド男爵領では、皆が顔馴染みだ。キースを攫おうとするよそ者が来たら、一発でわかる。


 だから、せめてアクロイド男爵領にいる間は自分が狙われていることなど知らずにのびのびと暮らしてほしい。そう考えていたのだが……。


「キース様からですが、早々にディアナの正体について質問があったのです。このままではディアナがキース様からの信用を得ることはできない。そう考えて、私はキース様に事情を説明いたしました」

「それは……」


 この場合はキースの洞察力を褒めればいいのか? あの子は妙なところで敏いし、変なところで抜けている子だからな。微妙なところだ。


「それで? キースの様子はどうだった?」

「冷静でしたわ」

「冷静?」


 自分が場合によっては命まで狙われていると聞いて、冷静だったのか!?


「まあ、命が狙われていると言っても子どもには理解しづらいか……?」

「そうではありませんわ、ご領主様。キース様は少しも取り乱した様子がなく、逆に私とディアナが信用に値するのかテストを受けているような心地がしました」

「そうか……」


 我が子ながら、キースはいつもオレの予想の斜め上を行くな。自分の命が狙われているというのに、今回も通常運転らしい。


 図太すぎない?


「堪りませんでしたわ。ディアナの正体を察知する勘。自分の命が狙われていると聞いても動じないどころか、最善手を模索しようとする態度。そして、目の前の人間が使えるのかどうか冷静に判断しようとする観察眼。まるで子どもらしくありませんわ。素敵です」


 それでシンディーが興奮していたのか……。


 キースについてはオレ自身、オレより年上なのではないかと思うほど冷静な顔を見せる時がある。


 シンディーはうっとりしているが、父親であるオレとしては、もう少しゆっくり育ってほしいのが本音だ。


 キース、パパをもうちょっと頼ってもいいんだぞ?

お読みいただき、ありがとうございます!

よろしければ評価、ブックマークして頂けると嬉しいです。

下の☆☆☆☆☆をポチッとするだけです。

☆1つでも構いません。

どうかあなたの評価を教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。