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135 港を造る許可

「そうです! 父上の言ったように、港があれば問題が解決できるんですよ! ですから、僕に港を造る許可をください! 具体的な場所はこのアクロイド男爵領の最南端ですね。そこを斬り崩して港にします!」

「だからな、キース。そもそも港を造る方法がないという話をだな――――」

「ありますよ! 今から持ってきますね!」


 僕はアクアに指示を出すと、一度食堂から出て、父上の書斎へと向かった。


 父上の書斎。書斎とは名ばかりで、本どころか紙すらあまりない場所だけど、その一番奥には、一際目を引くものが飾られていた。


 まるで汚れを知らない新雪のような白銀の大剣。フリーデンだ。


『キースか。またぞろ、スライムの運搬にフリーデンを使うのではあるまいな?』


 フリーデンに封印されているガレスゴディアが、そう僕に問いかけてくる。ガレスゴディアから見ると、僕はかなり罰当たりなフリーデンの使い方をしているからか、その声はかなり呆れを含んでいるように思う。


「今回は、ガレスゴディアも満足の使い方だと思うよ。アクア」


 僕はそう言うと、アクアが触手を伸ばして壁に飾られていたフリーデンを持ち上げて、僕の目の前に差し出してくれる。


「よいしょっと」


 フリーデンは、僕にはまだ大きすぎる。でも、不思議な物体でできているフリーデンはその大きさに比べると、かなり軽い。だから、まだ小さい僕でも担ぐことが可能だ。


 そのまま食堂に戻ると、父上と母上が呆れたような顔で僕を出迎えた。


「キース、またフリーデンを使うのですか?」

「刃がない儀礼的な大剣とはいえ、フリーデンは神話にも登場するすごい大剣なんだぞ? 今度は何に使う気なんだ?」


 母上も父上も僕がフリーデンを使ってマグマスライムを移動させているのを知っている。そんな僕を見た時、かなり微妙な顔をしていたので、また変なことにフリーデンを使おうとしてると思ったのだろう。


 しかし、今回の僕の考えは少し違う。


 今回は、フリーデンの力を十全に使おうと思っているのだ。僕も七歳になって、刃物を扱う許可が貰えたからね。


「今回はちょっと違いますよ。フリーデンの力を借りて、アクロイド男爵領の南端を切り裂いて、そのまま港を造ってしまおうと思っています」

「はあ?」

「え……?」


 僕がずっと温めていた作戦を話すと、父上と母上は放心したように力の抜けた顔をしていた。


「いやいやいや。ちょっと待て、キース。フリーデンを使うって何だ? フリーデンには、刃が付いてないじゃないか。フリーデンはガレスゴディアの魂を封印するために創られた儀礼的な大剣なんじゃないのか?」


 たしかに、父上の言うように、フリーデンには刃が付いていない。だから、父上や母上には、フリーデンは儀礼的な、もしくはガレスゴディアを封印するための封印装置に見えるのかもしれない。


 でも、違うんだなぁ。


 フリーデンはたしかに女神カイヤが創った神造兵器であり、ガレスゴディアの首を断ち切った、ドラゴンスレイヤーを為した唯一の武器なのである。


「実はですね、フリーデンは魔力で刃を作る大剣なんです!」

「魔力で?」

「そんなことが可能なのですか……?」


 いまいちピンとこないのか、父上も母上も懐疑的な表情だ。


 これは、一度見てもらった方がいいね。


「見ていてください」


 僕は両手に持ったフリーデンを掲げるように持つと、フリーデンに魔力を流し始める。


 すると、フリーデンに青く輝く片刃がすうっと現れる。僕は水属性の魔力なので、水属性の刃である。ちなみに、やろうと思えば諸刃にもできる。


 現れた青い刃は、フリーデンの神々しさも相まって、かなり幻想的な光景だ。


「こいつは……!」

「まあ!」


 父上と母上が驚いた声をあげる。


「これが、本当のフリーデンの力です!」


 『レインボー・ファンタジー』では、主人公はすべての属性を操ることができた。それはつまり、すべての属性のフリーデンの刃を使えるということだ。必ず敵の弱点属性で攻撃することができた。


 素の攻撃力も高いし、必ず弱点を突ける。これがフリーデンが最強の武器候補に選ばれる理由である。


 弱点としては、通常攻撃でもMPが減ることかな。


 でも、それを差し引いてもフリーデンが有用なのは言うまでもない。


 まぁ、僕の場合は水の属性しかないので、その恩恵はないけどね。


 でも、ガレスゴディアが言うには、あの濃い水属性の魔力や無属性の魔力でも刃を創ることができるらしい。どんな効果になるのか、今から楽しみだ。


「僕一人の力じゃ、港を造るのは難しいかもしれません。でも、フリーデンの力を使えば、アクロイド男爵領の南端を斬り飛ばして、港を造れるかもしれません! ですから父上、僕に港を造る許可をください!」

「あー……」


 父上はなんとも言えない顔で僕とフリーデンを交互に見ていた。


「まあ、ダメでもともとか……。好きにしていいぞ、キース! お前に港を造る許可を出す! だが、たとえ失敗しても自分を責めるなよ? できなかった時は、その時は作戦会議だ!」

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