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125 魔力から属性を抜いてみよう②

 その時、魔力は体外に出た瞬間に水になった。


 つまり、魔力とは魔法という超常現象を起こすための素なのだと思う。


『魔法の素か。面白い表現をする。たしかに間違いではないが、その魔力とはどこから来ているのだ?』

「え?」


 魔力がどこからきているか……?


 僕が魔力を使い切った時、強烈に眠たくなって、寝て起きたら回復していた。起きている時には常に魔力がある状態だから考えたこともなかった。


 頭の中のゲームの設定資料集の知識を漁っても、魔力の正体については書いてなかった気がする。


「えっと、体の奥底から湧いてくる……とか?」


 ちょっと自信がないけど、問われたからには答えないわけにはいかない。


『そうだったらよかったのだがな……。残念ながら違う。魔力とは、大気中に漂うマナを取り込むことによって蓄えられるのだ。これはニンゲンも原初のドラゴンも変わらない。おそらく、他の生物もそうだろう』

「そうなんだ。あれ? じゃあ、マナポーションってどういう原理なの?」


 ゲームでは、MPを回復する手段として、マナポーションというアイテムがあった。だから、マナというのがMP、つまり魔力と関係があるのはなんとなくわかる。


 でも、大気中のマナを吸収してMPが回復するのなら、マナポーションでMPが回復する原理は何だろう?


『ふむ。大気中のマナを蓄えるのは、なにも動物だけではないということだ。植物や特殊な鉱石もマナを蓄えるのだ。マナポーションとは、その植物の中でもマナを比較的多く蓄えている植物を効率よく摂取し、結果として体内にマナを取り込んでいるに過ぎない』

「はえー……」


 そういう原理なんだ。ということは、ゲームでマナポーションを作るのに必要な材料になっている植物は、比較的マナを多く含む植物だったのだろう。


 なんだか、世界の設定を知るみたいで面白いな。


『話が逸れたな。つまり、魔力とは体に取り込んだマナのことをいう。魔力の色の話をしたことを覚えているか? マナとは、本来無色のものなのだ。それを体に取り込み、魔力となる過程で個々人によって色が付けられているに過ぎない。例えばキース、貴様ならマナが水属性に染められているのだ』

「うーん……。理屈はわからなくもないけど、一度色を付けてしまったら、もう戻らないんじゃない?」


 僕のイメージにあったのは、水の入ったバケツに青色の絵の具が付いた筆を入れてバシャバシャと掻き混ぜる光景だった。


 バケツの水は青色に染まり、これをまた無色透明な水にするのは難しそうに思えたのだ。


『キース、貴様はマッサランと同じ真なる魔法使いだ。真なる魔法使いにとって、想像力こそが武器になる。自分ができると思えばなんでもできるが、できないと思ってしまえばなにもできない。自分の想像力を狭めるな。無理やりにでも可能だと思い込め』

「そんな無茶苦茶な……」


 でも、ガレスゴディアの言っていることは正しい。


 魔法に大切なのは僕の想像力であり、現実の物理法則ではない。


 想像力かぁ。


 そういえば、日本にいる時に汚れた水を飲み水に変える動画をネットで見たことがある。たしか、実際に水不足が深刻な場所や浄水施設などで使われているはずだ。


 その見た目は、五倍ほどありそうな大きなラムネ菓子みたいだったと思う。


 それを汚れた水の入った試験管の中に入れて振ると、水は汚れと真水に二分できるのだ。


 この現象を利用できないだろうか?


 僕はその実際に地球で使われている錠剤の成分どころか名前すら知らない。


 でも、そういう現象があるとわかればいいのだ。


 あとは実践するのみである。


 僕の体の中には、魔力が満ちている。この魔力をすべて無属性にしても困ってしまう。少しだけ、必要な分だけでいい。


 というわけで、僕は自分の体の中に試験管のようなものを創ってみる。


 とはいっても、それはイメージ上のことで、実際に作るわけではない。


 その試験管の中には、僕の魔力が籠められている。


 僕はそっと試験管に蓋をすると、分離と唱えながら試験管を振ってみる。錠剤入れない。錠剤と同じ効果を僕が試験管に与えればいい。


 すると、試験管の中は、まるでグラデーションのように濃淡ができていた。


『ほう?』

「うーん……」


 ガレスゴディアが感心したような声を出していた。


 僕が無属性の魔力と思われるものを創れたからだろう。


 でも、試験管の中のグラデーションは綺麗だけど、完全に透明部分はちょっとしかない。これではかけた時間に対してあまりに非効率だ。


 もっと効率化したい。


「あっ!」


 そういえば、水の浄化に使っていた錠剤の効果は、分離ともいえるけど、不純物の凝縮沈下という見方もできた。


 さっそく試してみよう。僕はもう一度イメージの中の試験管を振ってみる。


 水属性の魔力を凝縮して沈下……。


 そうしてできたのが、試験管の実に八割くらいを占める無色透明の魔力だった。

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