↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
118/143

118 砂糖作り

 商隊が来てから数か月。


 僕たちはあまり変わらぬアクロイド村で日々を過ごしていた。


 僕の造った火酒は、商隊の商人があまり現金を持っていなかったこと、市場価格が定まっていないこともあり、とりあえずマクマホン辺境伯に贈られることになった。


 マクマホン辺境伯が抱えている商人が宣伝して、火酒を売ってくれるらしい。


 シンディーの話では、マクマホン辺境伯はアクロイド男爵領の成り立ちを正しく知っている人物で、信頼できる人物らしい。きっと高く火酒を売ってくれるだろう。


 それを信じて、村ではさらにアクロイド芋の畑を拡大し、どんどん火酒を造っている。


 主食にしているアクロイド芋も品種改良が五世代目になり、第一世代に比べると、明確に味の変化が感じられるレベルになってきた。


 このままもっとおいしいアクロイド芋を作りだしていきたいなぁ。


 火酒造りだけど、僕がいなくても火酒が造れるように、特定のアクアスライムにはアルコール度数を高める方法を教えておいた。


 これで、もし僕に何かあったとしても、アクロイド村は大丈夫だろう。


 そして、屋敷の庭でアクアスライムで育てているサトウキビがついに花を咲かせた。


 マクマホン辺境伯から送られてきたサトウキビの育て方や収穫時期、砂糖の作り方が書かれた本によると、花が咲いたらサトウキビ収穫時期の合図らしい。


 庭でアクアスライムを使って育てる方が育成が早いのか、サトウキビ畑のサトウキビはまだまだ成長途中のようだ。


 アクアスライムたちから収穫した十本のサトウキビ。これで今から実際に砂糖を作ってみようということになった。


 もちろん父上と僕も視察しながら作ることになるんだけど……。アクロイド村には砂糖を作る設備がない。


 砂糖づくりの工程は、マクマホン辺境伯から貰った本に書いてある。


 サトウキビを砕き、汁を搾り取る。


 その汁を煮詰めて、砂糖が結晶化させる。これでできたのが、いわゆる黒砂糖だ。


 しかし、黒砂糖はあまり需要がないらしく、ここからも作業は続く。


 結晶化した砂糖(黒砂糖)に水を入れて練り、天日干しにする。その工程を何度か繰り返すと、砂糖が少しずつ白くなっていく。


 でも、砂糖作り専用の設備がないから、かなり作るのに苦労した。


 実は、僕なら魔法で真っ白な砂糖を作り出すことはできる。


 でも、さすがにアクアスライムたちには難しいだろう。


 僕がやってもいいんだけど、それだと僕がいなくなったら砂糖作りがストップしてしまう。


 やっぱり、僕抜きでも砂糖を作れるようになる必要はあるよね。


 そんな中、色々と工夫しながら、村人たちはなんとか薄茶色い砂糖の制作に成功した。


 したのだけど……。


「こんなに時間がかかるとはなあ……。消費する薪もバカにならんし、あの畑のサトウキビをすべて砂糖にするとなると、森が一瞬にしてなくなるぞ?」


 父上の言う通り、元々木の少ないアクロイド男爵領では薪は貴重品だ。そんな薪をこれでもかと消費するとなると、いくら儲けが出るからといっても、続けることができなくなってしまう。


 薪はご飯を作るのにも使用するしね。なくてはならないものだ。


 アクロイド村では木を切り倒すだけではなく植林もしているが、それでも間に合いそうにない。


 せっかく高値で売れることが約束されている砂糖を作ることができても、砂糖作りを続けることができない。


 一応、解決策がないわけでもないけど……。


 僕は、自分の乗っているアクアを見る。


 アクアが許してくれるかどうか……。


「皆、ご苦労だった。砂糖作りに関しては、もう一度考える必要がありそうだな。それがわかっただけでもよかった。それじゃあ、今日はもう解散しよう」

「「「「「おつかれさまでしたー!」」」」」

「あ! 糖蜜は酒造所に運んでおいてくれー」


 砂糖作りを見学していたら、いつの間にか夕方になっていた。今日はもう解散らしい。


 できあがった砂糖は父上が管理するようだ。


「さあキース、帰るぞー!」

「はい!」


 父上の後をアクアに乗って追いかける。


 屋敷に入ると、玄関までおいしそうな匂いが漂っていた。


「もう飯の時間だな。キース先に行ってろよ。オレはクレアを迎えに行く」

「はい!」


 僕がディアナ、アクアと一緒に食堂に入ってしばらくすると、父上に支えられた母上が食堂に姿を現した。


「母上! お加減いかがですか?」

「ええ、大丈夫よ。ありがとう、キース」


 そう答えた母上のお腹は、大きく前に突き出していた。お腹の中に赤ちゃんがいるのだ。シンディーの話だと、もうしばらくすれば生まれるのではないかということだった。


 そんな母上を気遣うようにエスコートする父上。


 父上はデカいし、ヒゲもじゃだけど、ちゃんと紳士的なところはあるのだ。


 いや、紳士的というか、どちらかといえば家族思いというべきかもしれない。


「ありがとうございます、あなた」

「いいさ。さて、今日の飯はなんだろうなあ」

「楽しみですね」


 楽しい一家団欒の始まりである。

お読みいただき、ありがとうございます!

よろしければ評価、ブックマークして頂けると嬉しいです。

下の☆☆☆☆☆をポチッとするだけです。

☆1つでも構いません。

どうかあなたの評価を教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。