ホワイトマシュマロ -エースとあっちゃん-
bygone days
大っ嫌い。
人をその気にさせておいて、あっさり身を引くあの子も。
素直になれなくて今更好きだと気付いた自分も。
「好きです!」
いまだ耳に残っているその声。
思えばあの時、他の男の子たちと同じように断っていたならこの子と近くなることもなかったんだろうか。うちの部活は恋愛禁止。入部したときに、部員の士気を下げないために特にマネージャーは禁止だと言われた。先輩達はひっそりと付き合っていたみたいで、そう言って断るたびに固いと思われた。
それはそれで構わない。
その後、告白してくれた人たちはウンザリしてすぐに諦めてくれたから。でも、この人にだけはいつもの言葉が出なかった。
「ごめん、そんな趣味はないです!」
女の子、だった。
びっくりした。いつもの決まり文句より先にそのことに対する否定が出てきた。
「女の子だからって、ひどい!」
「だ、だって」
そういったことに免疫がなかった。
「私、そういうの別に悪いとは思ってないけど自分は興味ないもん!」
「関係ないって、大事なのは気持ち!」
そんなこと言われたって!
「大体、君のことよく知らないし……」
「じゃあ知ってよ!」
彼女は、キュッと靴を鳴らすとベンチの上で回って見せた。行儀が悪いと叱るよりその堂々した運動神経に目が惹きつけられた。心がシンと音を無くして彼女の声だけ耳に響いた。
「私はここで誰より輝くよ!!」
夕日をバックに浴びながら輝くその姿に、名前を聞くことすら忘れて逃げてしまった。
あまりの眩しさに目が眩んで心臓のドキドキで倒れそう。
「なにあれ……」
部員たちの汗よりなにより眩しい。
私はその日初めて誰かを見て、苦しいって思った。
* * *
数日後彼女は彗星のようにやってきた。
「女子ハンド部に入部したんだよ」
やっぱり運動したいから、と。ハンドボールを選んでくれたことはすごく嬉しい。……理由が理由じゃなければ。
「嬉しくないの?」
「嬉しくない。私、先輩なんですけど」
「そうだね?」
「なんで敬語じゃないの?」
「だっていつか恋人になりたいもん」
なんてずうずうしい。大体、私は男子ハンド部のマネージャーだから女子ハンド部とはあまり関係ないのに。
「早速あだ名がついたんだって?」
「お、気にしてくれてたの!?」
別に気にしていないけど、女子ハンド部の新キャプテンが教えてくれた。クラスが同じだし、仲もいい。会話の流れで私たちの一つ下に二人女の子が入部した、と嬉しそうに話していた。早速ついたあだ名は、カナとエース。
彼女のあだ名はきっと。
「エース! だって!」
嬉しそうに、名前負けを気にすることなくVサインを見せつける。その姿はやっぱり眩しい。あの時と違って夕日を背負っているわけでもないのに。
「エース、ねぇ。本当になれるの?」
「なるよ! なるなる!」
事実、彼女は名前に負けないエースとなった。
新学期早々春の大会では1年生ながらライトバックを任されシュートをパカパカと決めていったとか。男子は地域の大会でとっくに負けていた。だからといって女子部を見に行くこともなく、学校でダラダラと練習をしていた。マネージャーも、然り。
戻ってきた彼女は調子にのっていて、私に対する猛アタックも凄かった。
「シュート決めた数だけ私の愛情だと思って!」
「はいはい」
この頃になると、私も慣れてきて面倒だとしか思わなくなっていた。最初の輝きは見えなくなっていてただの女の子だと思うようになった。憧れた漫画やドラマの恋愛感情とは程遠い。
やっぱり、女の子同士なんておかしいんだ。
鬱陶しい、面倒、意味がわからない。そんな感情が心に溜まっていく。それでもアタックを続ける彼女に私の鬱憤が爆発した。
「もう! 放っておいて!」
どうしてあげることもできない。
これ以上構われても困る。
1ヶ月もアタックされて頭が狂いそう。
「これ以上話しかけられても嫌いになるだけだから!」
「……普通に、挨拶とかもダメかな」
「それぐらいならいいけど」
人間、忙しいと周りが見えなくなる。
そのとき私はちょうど家の都合でバタバタしていて、成績も少しだけ下がっていた。成績についてお母さんに怒られたりして本当にイライラしていた。
「とにかく、好きとかそういうの禁止!」
「はぁーい」
渋々、でも彼女は思ったよりも正直に聞いてくれた。
もともと素直な性格ではあったのだ。
熱情が大きいだけで言うことは聞く。
気付けば、本当に挨拶しかしなくなっていた。
望んでいたことなのに、なぜか心の奥が締め付けられる。
隣のコートで弾む声は耳に響く。マネージャーが恋愛禁止なのは、部員の士気を下げないため。誰かを贔屓にしないため。平等であるため。
「練習終わりー」
帰っていく男の子たち。
いつもは一緒に帰るけれど、今日は洗濯が残っている。もう一人のマネージャーと一緒に居残りをしていると、まだ練習を続けている女子部がイヤでも目に入る。
「ファイットー!」
その元気な声は前まで私に好きだと訴えてきたものと一緒。
熱意の方向が変わっただけだ。
それだけ。
* * *
one day
あ、エース。
背の高いカナの隣にいるのは、小さな背中。一際目立つカナより目立つその背中。歩く姿が凛として綺麗で見惚れる。秋も終わって冬。誰もが縮こまる冬にも少しでも大きくあろうとピンと伸びた背筋。
突き放したのは私なのに、今更追いかけてどうするの?
あれから気付いたこともたくさんある。
こちらから話しかければ普通に話してくれる。他の人はエースが私に告白したことなんて知らない。
なんか、最近エースが元気ないよね——。
いつも通りだよ——。
話しかけてこなくなったから、元気がないんだと思ってた。
私の前だけだったんだね、大人しくなったの。
知らなかったよ。
ズルい私は今日も、他の子に興味があるフリをしてエースの近くに忍び寄る。
「あれ? エースじゃん。それにカナちゃんもいる~!」
私の隣には男子部唯一の1年生、小野君もいる。勢いをつけてエースより大きな背中に、カナに抱きついた。
「あ、あ、あっちゃん!? むやみやたらとくっつかないでくださいよ!」
「あ、ごめん、つい」
「だからって俺にも抱きつかないでください!」
「小野君は可愛いから」
1年生は可愛い。
カナも、小野君も、つい可愛くって抱きついてしまう。エースだって可愛いけれど、なんだろう、そういうのとは違う。エースの背中を見て抱きつきたいとは思わない。
この気持ちは一体何かな?
振り向いて笑うエース。その笑顔に、出会った頃の元気が見えない。
「あっちゃん、こんにちは」
「エース、ほっぺた少し怪我してるよ?」
ほら、ね?
ちゃんと挨拶はしてくれる。本当はずっと気付いていた部分を指摘する。練習のときから気付いていた。あのボールの投げ方、怪我すると思ったよ。擦って確認し始めたエースのためにあらかじめ用意しておいた絆創膏を取り出す。
「エースは体が資本でしょ」
「ありがと」
貼った際に頬に触れた指先が熱い。いつぶりに触ったのかな。
私から触ったことなんてあったっけ?
ただ出会った頃はなにかしら理由をつけてエースが抱きついてきていた。暑苦しくてあんなにイヤだったのに、寒いから懐かしく思うのかな。お礼だけ言って前を歩くエースを見ながら、カナの隣に並ぶ。
「あっちゃんはバレンタインは誰かにチョコあげるんですか?」
「あのね、カナ。どうしていつも私には敬意が見えないの? あっちゃんって呼ぶの?」
「質問に質問で返さないでくださいよ」
エースの影響でしょ?
そういえばバレンタインか。コンビニとかで嫌でも目に入っていたけど、見ないフリをしていた。目の前でふざけるエースと小野君をぼんやりと眺める。微笑ましい、って思うのに少し寂しいのはどうして?
軽口を叩けば返してくれる。理想だったのに、寂しいよ。気付けばカナも小野君も居なくて、二人きり。
「あっちゃん、手繋いでもいい?」
「ダーメ」
「ちぇ」
1回だけ。
前は10回ぐらい拒否してもせがんできたのに、今日は1回。素直じゃない私は1回なんかでいいよとも言えなかった。もう強引に繋いでこようとするエースはいない。気まずくないように軽い会話をしようとしてくれる気遣いですら心苦しい。
「あっちゃんは去年バレンタインどうしてたの? うちの学校ってどんな感じ?」
「んー、普通だよ。私は部のみんなにあげたし、女子同士で交換とかもしたし。先生もそんなにお咎めなし」
「量産系かぁ」
何気ない会話なのに、顔だけ見ると凄くそわそわしていた。
あ、欲しいんだ。
久々に求められた気がして、私は調子に乗ってしまった。
「そんな顔しなくてもあげるよ」
「ほんと!?」
本当に嬉しかったみたいで、抱きつかれた。
バクバクと心臓が悲鳴をあげたから堪らず引き剥がした。それでも嬉しそうにしているエースの顔を見てほっとした。
「絶対だよ?」
「はいはい」
上機嫌なエースに、やってしまったと自己嫌悪する。
突き放している癖に求めてほしいなんてズルすぎる。
どうせ義理しかあげられないのに、喜ばれたら私がつらいのに。
* * *
that day
バレンタインに作ったチョコは、量産型。
部員全員に渡す可愛いクマさんチョコ。溶かして固めたシンプルなチョコ。
「あっちゃん、俺もくれ!」
「俺も俺も!」
「はいはい」
男の子たちには義理でも本命でも関係ないみたい。バレンタインにチョコを貰う、それが嬉しい。
エースもそうなのかな?
求められて喜んでいた私がバカみたい。だって、今だってエースはいろんな人からチョコを貰って喜んでいる。ただチョコが欲しかっただけ。
「ばーか」
悪態を吐いても拾ってくれる人はいない。それでも約束はしたから渡さないと。そう思っているのに、みんなに元気に笑いかけるエースが見たくなくて目を逸らした。とりあえず後で困らないようにエースの分だけ鞄に隠しておいた。可愛いラッピングはついでだ。
これは本命なんかじゃない、義理。
渡せないまま時間は過ぎていく。気付けば人も少なくなって、女子も男子も解散していた。
「あっちゃん、帰らないの?」
「……うん」
帰りたいけど、約束が……。律儀に守る必要なんてない。でも、約束を破ったらきっと文句を言う。ほとんど話さずに乱暴に押し付けて帰っちゃおう。そう思ったのにまさかエースの姿もないなんて。帰っちゃったのかな。
そんなまさか、だって、約束したじゃない。別にいらないなら渡さないしいいよって思うのに、なぜか悔しくてたまらなかった。
「もう私に興味なんか、ないんじゃない」
嘘つき。
あんなに好きって言ってた癖に。
違う。
突き放したのは、私。
強引にきてもらわなきゃ動けない臆病者。
エースは悪くなんてない。
本当は待っていてくれたのかもしれない。きっとエースのことだから私がもっとはやく適当にでも渡しておけばそれでも喜んでくれたと思う。気分が悪い、息が詰まる、苦しい。
笑う顔を思い出すだけで眩しくてもう他に何も見えなくなる。
「やだ……」
近くで見ると目が焼かれそうになるのに、その熱が他のものに向かうのが嫌。たまに見せてくれる照れた顔も別の誰かが見てると思うとたまらない気持ちになる。
「どうして今更」
エースのそれは楽しそうだったのに。どうして私はこんなに苦しいの。
今更、好きだなんて言えない。
どうしようもない気持ちの詰まったチョコレート。
捨てられない私。
一人の更衣室は寒くて風邪引きそう。電気も消してあとは帰るだけなのに。いっそ誰かのロッカーに放り込んでしまおうか。かばんの中からラッピングされたものを出そうとしてくしゃみが出た。外からなにか声が聞こえて反射でチョコをかばんにおしこんだ。
「あっちゃん」
まだ、帰ってなかったんだ。
少しは落ち着いていた気持ちがまたざわつき始める。どうしてこんなタイミングで来ちゃうのかな。
「あっちゃんおはよ」
「もう夜だよ」
どこかで時間を潰してたの?
どうして?
薄く期待し始める胸に自分の汚さを再確認する。きっと私はまたエースの言葉を待ってしまう。
「なんで電気消してたの?」
答えられない。
帰ろうとして、あと誰かに見られたくなくて。複雑な気持ちを言葉にするには私はとても不器用だった。言い淀んでいるうちにズカズカと入ってきたエースに戸惑う。着替えようとしているだけだってわかっているのに。なんの躊躇もなく脱ぎ始めたエースから目を逸らす。
かばんからはみ出したチョコレートが地面に落ちた。
「あ」
出た声を押さえ込む。
聞こえた?
顔を上げると上半身裸のエース。くるりとこちらを向いたから息を呑む。鍛えた身体が、眩しい。抱き締められたとき苦しかったのは当然だと他人事のように思った。
「どうしたの?」
「え、あ、ううん」
目線が下に。チョコを見たエースの目がくるりと丸くなる。初めて見る強い目線が痛い。怒ったりしたところ、見たことなかったんだね。
「なんでかくれんぼなの?」
色の無い声に肩が揺れる。
苦しい、嫌い、じゃなくて怖い。
嫌いで嫌いで仕方なかったのに、今は嫌われることに怯えている。
どうして怒るの。
だってしょうがないじゃん、渡せないよ。
「渡せない、から」
「せっかく作ったのに、なんで?」
もう顔も見れない。
欲しいって、言ってくれたら、それだけなのに。
もっと早くに勇気を出していたら違ったと思うのに。
「今更、だもん」
ひどい言葉ばかりでフったくせに、今更どんな顔しろっていうの。
前みたいに戻りたいなんて虫が良すぎる。
少しばかりの時間が経ってゆっくりと恐る恐る頭に触れる手があった。
「渡そうよ。付き合うから」
まるで年下の女の子にするみたいに、優しい声。
すれ違った心が悲鳴をあげた。欲しいって、言っていたのに、期待すらしてもらえていなかった。このチョコが誰のものかわかっていなかったんだ。一目で義理じゃないものだと見抜いておきながら、それが自分のものだなんてこれっぽっちも。
「……うん、やっぱりダメ」
やっと笑えたけれど、声には諦めが乗った。
「もったいないよ」
本当だね。
せっかく好きでいてくれたのに。
私がもっとちゃんと大事にしていれば、調子に乗らなければ。今こんなに苦しくなんてならなかったのに。
耳に入る言葉を適当に流す。頑なに拒否して目も耳も瞑ってしまう。
もう、聞きたくない。
チョコももう食べてしまおう。未練がましくずっと持っていたから余計悩むんだ。袋を開けようとした手が、温かい掌に包まれる。
「ねぇ、それちょうだい?」
今更。
もう、何とも思ってないでしょ?
もったいないから欲しいだけ。それなのに、そのたった一言で眩しい輝きがキラキラと目の端を過ぎっていく。
「あっちゃん、私にもチョコくれるって言ったのに、私貰ってないよ?」
本当は気にしていたの?
それとも思い出したの?
素直に聞き分けられなくて、目を伏せた。口から出てくるのはでまかせの否定ばかり。もう捨てるって、自分で食べてしまうって今決めたのに。エースの気持ちがわからない。
「他の子からいっぱい貰ってたしもう要らないでしょ?」
そうだけど、なんて渋ったりしないで。
他の人と一緒にしないで。
もっと求めて。
期待する気持ちが、どんどん膨らむ。
目が合う。
やだ、ニヤける。
「要るよ! いるいる! 約束破るのはよくないよ! 」
子どもみたい。
出会った頃の元気なエース。なんとかして口実作って抱きついてくる。今もなんとかしてチョコが欲しいって熱意で訴えてくる。
「えー、そんなに欲しい?」
「うん、欲しい」
まっすぐな熱い目が私を射抜く。今更、でもいいの。食べてくれるって言ってる。
意地が、溶ける。
「しょうがないなぁ」
笑っちゃって、目を逸らした。
エースが気付いてなくてもいい。
気持ちごとラッピングを投げて渡した。
「今食べていい?」
「今!?」
いいけど、と呟いたらそのまま隣に座ってこようとしたから慌てて止める。この子ったら着替えている途中だった。着替えるように言えば素直に慌てて着替え始めた。急いだのはチョコをはやく食べたいからだったみたいで座るとすぐにラッピングを剥がした。
「クマさんだ」
「可愛いでしょ」
エースみたいだよね。
小さくて可愛い、うるさいヤツ。
まったく気付かないエースはおいしいといいながら大事そうに、でもパクパク食べる。じっと見ていたら私の口にも1つ入り込んできた。
「おいしいよね」
「う、ん」
指が唇に触れた。
それだけで心臓が大きく跳ねた。
エースはその指で気にせずチョコを食べていく。
「やっぱ寒いね」
何気ない会話。
私じゃない誰かが喋っている感覚。ごめんね、もう苦しいの。一方的な気持ちがこんなに辛いなんて知らなかった。だってエースは楽しそうだったじゃない。
私が振り向かなくても拒否しても笑顔で。
それともエースはこんな気持ちを抱えて笑っていたの?
負けじと当たり障りのない会話を探して放り投げる。
「エースは何も用意しなかったの?」
聞かれると思っていなかったみたいで、きょとんと首を傾けた。
「あるけど」
「私だけあげるのはズルいよね」
「代用品じゃん……」
代用品じゃないってば。
言えないから、憎たらしい頭を軽く小突いた。正直なところ貰うということは全然考えていなかった。貰えるならもちろん欲しい。
「私だって欲しい!」
「えー、ホワイトデーじゃダメ?」
「ホワイトデーも欲しいけど今も欲しい」
「欲張りだなー」
だってみんなにはあげたんでしょ。私にだけくれないなんてそんな特別は嫌だ。出てきたのは普通のタッパーに詰められた美味しそうなチョコレートパイ。私のものより立派なバレンタイン。どこからどうみても特別じゃないそれを1つ摘んで食べた。
美味しいのに少し苦い。
「貰えると思わなかったなぁ」
「え?」
「あ、バレンタインっていつもあげる側だから」
用意することだけ考えて、求められることばかり期待していた。私も欲しいって、もっと前の日に言えば良かった。そうしたらこの子のことだから、喜んで気合入れて頑張ってくれたはず。
私の事がまだ好きなら。
憧れならそれでもいい。今更だって欲しい。また私のことで頭をいっぱいにして。
「じゃあ、来年はもっとちゃんとしたヤツあげる」
約束は一年後。
来年の今頃、この子は私のことしか考えない。
「……ほんとう?」
「うん」
嬉しくて身体ごと声が震えた。
伝わっちゃうかな。
いっそ伝わればいい。
「じゃあ私も、来年はちゃんと本命を渡す」
震えたままの声で、身体で。
隣にあったエースの手に重ねる。
触れていた肩にそっと頭を預けた。
「待っててね」
エースに、渡してみせるから。
どうせ本命って誰のことだかわかってないだろうけど。




