113話「考えを360度変えるみたいなこと言いそうですよね」
頭痛が痛いし熱は夏い回です。
よろしくお願いします。
僕を嵌めただけならまだしも、マイさんに意識不明の重傷を負わせた腐れ外道。彼の左右にはゲッコさんとユシラさん。その後ろには20人くらいの冒険者――いや、ならず者がいる。
外見で人を判断する気はないけど、真っ当な冒険者ならあんな下卑た笑みを浮かべはしないはずだ。それも端から端までそんな感じの連中とくれば、野盗や山賊の類に違いない。
腐れ外道のオトモにはお似合いだ――僕の視線に気付いたのか、ガイさんが言ってきた。なぜか得意げに。
「こいつらは裏の連中だ。金のためなら殺しも厭わない裏の裏のなあ!」
「……ごみの山を率いて胸を張るとは、噂に聞く“勇者”も落ちたものだ」
「ええ。ていうか裏の裏は表よね」
「考えを360度変えるみたいなこと言いそうですよね」
「あああん!? 360度変わったら別人だろうが――!」
「そこスキップで」
「こらあああああああああああああああああああああああああ!?」
僕たちの極めて真っ当な指摘に対し、ガイさんが長い怒声を張り上げた。
肺活量チャレンジは事象の彼方でやって欲しい――彼はやっと呼吸を整えたと思いきや、僕が持つ魔除けを指差し、飽きずに叫ぶ。
「邪悪な女魔術師ってのを狙っていたが、既に倒されたってんなら都合がいい! それを寄越せば男と女は生かしておいてやる!」
「じゃあ、誰を殺すんですか? 僕も男ですけど」
「揚げ足を取るんじゃねえよ!? ちっこいのおおおおおお!」
「勝手にすっ転んだようにしか思えんがな」
「あの性格でよく今まで生きてこられたわねぇ。あいつ」
「……とても優秀な女性がフォローしてたんです」
『なるほど』
顔面真っ赤のアメリカザリガニ状態のガイさんに取り合う様子もなく、ペネロペさんとカリィさんはうんうんと静かにうなずき合う――彼らとは正反対に、ガイさんが肺の奥底から怒号を飛ばした。
「てめええええらあああああああああああああ! で!? 答えはどっちだあああああ!?」
感情剥き出し。みっともない姿ではあるけど、それだけに明確な最後通牒としての意味が伝わってくる。
生か死の選択――ペネロペさんとカリィさんは中指だけを立てた左手を腐れ外道に向けた。欠片の迷いもなく、さらにぴったりと声を同調らせて。
『くたばれ!』
「状況考えろって言ったよなあああああああ!? 全員皆殺しだ!」
「今さら指摘する気にもならないが――癒希を狙うというのなら、皆殺しはこちらの台詞だ」
「ええ! 仲間に手を出す連中は生かして帰さないンだから!」
『ぶっ殺せええええええええええええええええ!』
そして一斉に襲い掛かってくる外道勇者様御一行。
数では圧倒的に不利だ。けど、すぐ隣には頼りになる仲間たち――僕は魔除けを懐にしまい、戦杖を構えた。
土煙すら巻き上げて襲い掛かってくるごみの山にその先端を向ける――
「行きます!」
「任せろ!」
「張り切っちゃうンだから!」
大乱闘スマッシュクエスターズの奈落ステージが始まった。
お疲れさまでした。
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よろしくお願いします。




