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だから言ったのに!〜婚約者は予言持ち〜  作者: キムラましゅろう


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番外編最終話 イグリードの贈り物

アルジノンの愛妾問題も解決し、

ジュリはますます妊婦生活を満喫していた。


あれほど悩まされていた悪阻も治り、

食事が美味しくたまらない。


お腹の子の分まで沢山食べないと♪

と思っていたら……

産科専門の医療魔術師から怒られた。


「確かにちょっと太ったかも……」


と鏡の前でため息を吐いたジュリの部屋にいた

暇人大賢者が

「ぷ☆ちょっと?」

と笑ったので

もちろん鉄拳制裁を食わらしておいた。


“父に頼まれた仕事”とやらから

戻ってきたイグリードは、


なんでも後宮を舞台にした

愛憎物語が空前のマイブームになったらしく、

あらゆる書籍を読み漁っていた。


ジュリの部屋で。


まぁいいけどね。


それにしてもあらゆる言語の書を

難なく読んでおられる……


こういうところが大賢者なのか……

とジュリはひとり言ちた。


他国に行った時の事は

あまり話して貰えなかった。


なんだか少し機嫌が悪そうだったから。

あのイグリードがそんな気分になるのだから

相当なのだろう。


何も聞かない友情もあるのだよ、

とこれまたひとり言ちるジュリであった。



アルジノンは相変わらずの過保護っぷりで、

臨月を迎えるジュリの体を難なく姫抱っこして移動する。


しかし流石に

歩いて運動しないと逆に難産になると

言われているので、

アルジノンに姫抱っこ禁止令を出した。


アルジノンが転んだらどうする

階段から転げ落ちたらどうすると

うるさかったが、

大賢者の絶対防御魔法で加護を受けているのだ。

今のジュリは大砲を撃たれても

びくともしないらしい。

そんな凄い勇姿を国境騎士団の騎士たち(みんな)に見せて、

ちょっとドヤってみたくなる。


国境騎士団といえば

今度新しい騎士が入ってくると

イグリードが言っていたな。

どんな人だろう。

頼もしい人だといいなとジュリは思った。



その時である。


下腹部の右辺りがパンと小さく何かが弾けた感じがした。


その後にじわじわとお腹が痛くなり始める。


最初はなんか痛いかな?と思う程度、

しかしだんだん痛みは強くなり、

感覚も狭まってくる。


これは間違いない!陣痛だ!と思ったら焦り過ぎてしまって、

思わずイグ(リン)

(イグリードに貰った呼び鈴の略)

を力一杯振ってしまった。


ホントは侍女を呼ぶ

呼び鈴を鳴らしたかったのに。



当然、慌てて飛んでくる大賢者。


「ジュリ!どーしたの!?」


鳴らしてしまったの仕方ない、

ジュリはイグリードに陣痛が始まったからタバサに知らせてくれるように頼んだ。


500年生きてても出産の場に居合わせたのは初めてだったらしい、


イグリードは魔法で移動するのも

忘れるくらい慌てて、

2本の足で知らせに駆けて行った。


〈まぁ大賢者も運動しないとね〉


と、この時のジュリにはまだそんな事を考える

余裕があった。



しかし段々陣痛の感覚が狭まってくるともう強い痛みで何も考えられなくなる。


それなのに男どもときたら、


やれ頑張れだの

やれ水を飲めだの

痛かったら俺を殴れだの

マッサージでもしようかだの

正直やかましい。

(産後、優しい声掛けだったと気付く)


痛みでイライラがマックスになり

男どもに対しては殺意しか湧かなくなったので、

タバサに頼んで丁重に追い出して貰った。


そしていよいよ

出産も佳境に差し掛かる。


もはや殆ど間隔のあかない(?)陣痛。


骨盤が粉々になるかと思われるくらいの激しい痛み。


ジュリは教えられた呼吸法を必死に繰り返した。


「お妃様っ!もうすぐですよ!最後の辛抱です!頭が見えてきましたよ!」


と産科医療魔術師が喝を入れてくれる。


魔法でなんとかならないのかと

叫びたいが、

こればかりは自力で出さないと

どうにもならないらしい。


もうすぐ生まれると

廊下で待機するアルジノンにも

聞かされたのだろう、


アルジノンが大声でジュリの名を呼ぶ。


「ジュリィィ!頑張れっ踏ん張れーーっ!」


「よっしゃあぁ!」


ジュリは息む力に拍車をかける。


「お妃さまっ!最後の息みですよ!

ハイ!せーのっ」


「どっせーーいっ!!」


「ハイ!頭が出ました!あとはもう力抜いててくださいね~」



え?頭が出た?


え?え?生まれるの?


と、汗まみれになりながらもジュリは自分の腹部の方を見る。


その瞬間……





一方アルジノンは

ジュリの渾身のどっせーーいを

聞いてから急に静かになった部屋に

不安を感じていた。


「ど、どうしたのだ!?

突然静かになったぞ!?

な、な、何かあったのか!?」


アルジノンのその言葉を聞き、

イグリードも不安になる。


「え!?ウソやめてよ変な事

 言うのっ!」


「だ、だ、だってだなっ……

 おい大賢者、なんとかしろっ」


「なんとかって!?」


「なんかあるだろ、

 こう…なんか凄い魔法がっ」


「そんなのはないよっ」


狼狽える二人の男に

アルジノンの側近のセオドアが言った。


「ジュリ様のお母様の家系は

 多産で超安産だと聞きました。

 きっと大丈夫ですよ」


「お前……オトナだな……」


「ホントだね……☆」 



その時、部屋の中から産声が聞こえた!


元気な赤ん坊の元気な産声だ。



「「「生まれたーーーっ!!」」」


思わず抱き合う男3名。


非常に見たくない絵面(えづら)であったと

後々侍従連中の間で語り継がれる

光景であったらしい。



やがてアルジノンが部屋に呼ばれた。



ベッドには玉のような……とは言い難い、

赤くてシワくちゃで

だけどとびきり可愛い赤ん坊とジュリが並んで横たわっていた。


「ジュリ……」


「ジノン様、生まれましたよ。

 わたしたちの赤ちゃんです。王子ですよ、お世継ぎですよ、わたし、やりましたよ」


「うん……うん、ありがとう、ジュリ……」


アルジノンがぼたぼたと涙を零す。


「あらあら」


ジュリは優しく微笑んだ。

きっと姫でも泣いて喜んだに違いない、

そう思った。



「ジュリ……」


イグリードが静かに近付いてくる。



「イグリード、見て、可愛いでしょ?」


「うん……猿みたいで可愛い……!」


猿だと?と言いたくなったが、

イグリードの目に一粒光るものがあったのをジュリは見逃さなかった。



「ねぇ、ジノン様、いいですよね?」


「まぁ少し悔しいがいいぞ。今回は暇人に譲ってやる。でも次は俺が付けるぞ!」


「ふふふ、大丈夫ですよ。わたし沢山生むつもりですから」


「?何?なんの話?」


不思議がるイグリードに

ジュリは言った。



「ねぇイグリード、

この子の名付け親になってあげて」


「……え?」



「わたしとジノン様が出会えたのは

イグリードのおかげだもの。

だからわたしたちの最初の子は貴方に

名付け親になってほしいの」



「ふふふ、大賢者が名付け親なんて、

この子に箔がつくからな」



「………うん、うん……!

いい名を送らせてもらうよっ……!」


とうとう大賢者が泣き出した。


ジュリもアルジノンも内心驚いたが

それにはなにも触れずにいた。



「ふふふ良かったわね、坊や

 生まれてきてくれてありがとう」





そしてイグリードは悩みに悩み抜いて


ジュリとアルジノンの第一子に


名を付けてくれた。




ルイス


古代の言葉で“光”という意味があるそうだ。



ハイラム王国王子

ハイラム=オ=ウィル=ルイス



大賢者にして予言者、

バルク=イグリードが

初めて名付け親になった王子という事で

世界中に注目される事となった。


アルジノンの狙い通りとなったわけだ。



「僕からルイス王子に、健康とそして厄災を跳ね除ける加護を授けるよ」



「え、すごっ……!

感謝するぞバルク=イグリード」 


「ありがとうイグリード」



「そしてもうひとつ、

僕からこの子に予言をひとつ☆」



「「えっ!?」」



「『ルイス王子は……



「わーーっ!?ちょっと待って!

また何かするつもりなの!?」


ジュリが慌てて

ルイスを抱いたイグリードに縋り付く。



まさかまた予言という名の

伝言ゲームを使って何かを

決めるつもり!?



イグリードは微笑んだ。



「『ルイス王子は美しき賢王となり、

この国ハイラムをより楽しく、

より面白い国にするであろう。

そしてその子孫たちの側にはいつも

青い髪の美青年の姿があるだろう』」





       番外編 おしまい☆








本編、番外編共にこれにて完結です。

この後、特別番外編を書きたいなぁと思いつつ、他の連載中のお話に気を取られ、なかなか進んでおりません……。

また投稿した折に読んで頂けますと、本当に光栄でございます。


誤字脱字報告、ありがとうございました。


皆さまに感謝を込めて。


      キムラましゅろう



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