第十三話その十六 そして超古代より打ち続く、神々の戦いが今始まるッ!
「機長! 油圧系統がっ! ああ! エンジンもやられたっ! このままではこの小説、着陸できませんッ!(泣」
「──落ち着け! 副機長! まだ大丈夫だ! これより垂直落下式胴体着陸を行うッ!」
…………。
「「うぎゃぁぁぁぁああああああ!!」」
と、思ったら!
「……ただ蹴落とされて終わりだと? まさかの自己犠牲だと?
──馬鹿な! ありえん! 虫唾が走るわ!
さぁ! その娘の蹴り出した足を掴め! 自身の代りに引き落としてしまえ!
そしてお前の真の本願を達成する為の生贄とするのだ──ッッッ!」
「──え!?」
サングイアの腕は何かに支配された!
サングイアは思う。
このまま落ちて終わるはずだった!
──試合に負けて、勝負に勝ち、ドヤ顔で実は生存フラグをする予定だった!
だが、そんな“落ち”は許さないと何か別の力が働いたかのようだった!
なんと! サングイアの手は、オンドレアの足首を掴んだ!
──すぽっ!
だが、オンドレアの靴が脱げただけだった…………!
「あ~れ~…………」
サングイアは何か、そこはかとなく残念な、気の抜けた声が漏れてしまう!
──バーン!
「──オ~ホッホッホッホッホ! 私の大勝利よ! オ~ホッホッホッホッホ!」
「──お~の~れ~ッッッ!!!!」
すると謎の声がこの地域一帯に大地震を引き起こした!
──グゴゴゴゴッ!!
「「「──な、なんだ!?」」」
崩れ去る城! 巻き込まれる一行! ロスタエルは叫ぶ!
「な、謎である! そもそも何故蹴落とした!? ──ヴァンパイアがこの落差を落ちて死ぬわけがないだろうッ!」
「確かに! プフフ! それより、このままだとやばいねー! 脱出しないと!」
しかしどうやって? と、焦ったエリザベス。
片方のパンプスを無くしたオンドレアは、揺れる足場も相まって、バランスを崩して落ちてしまった!
「「──結局落ちるのかよっ!」」
「あ、あら? あらあらぁ~!?
──うっきゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」
もちろんそこへ助けに入るのは想一郎! ではなく
──純白のペガサスに跨った、九十六歳のローラン王だった!
「──ふがふがっ!」
「なんでよっ! バカー!」
想一郎はEMPを逃れた魔法の絨毯で確かに駆け付けていた。が、僅差で、英雄騎士王が場面を奪ってしまったのだ! 英雄らしく!
「ムキー!!」
それより、物理的に考えて聳えるのも可笑しいヴァンパイア城は、魔力の根源が残念な声を上げてどっか落ちて行ってしまったので、しっかり物理法則に負けて崩れ去る!
「「お、おわ~!?」」
だが、ロスタエルとエリザベスは不思議と宙を浮いている。そして見たのは、純白の翼が生えたアリスだった!
「──なんかレベルアップしたっ!」
「「え~っ!?」」
アリスの、冒険者ギルドでのレベル、謎の“y”とは、神・半神としてのレベルを指すものだったのだ! 通常の、人としてのレベルを“X軸”とした場合、神・半神としてのレベルを“Y軸”としたのだ!
アリスのX軸、すなわち人としてのレベルは既に頭打ち! だが、Y軸、神・半神としてのレベルが上がると、頭打ちのX軸を、そのY軸分、強さを倍増させるのであった!
つまり、アリスの強さは次の次元へ行っていたのだ!
((へ~……しょ~もな……))
う、うぐっ! ……と、とにかく、アリスは神・半神としてのレベルが2になり、空を飛べるようになったのである!
因みにルーカス・フォン・シュワルツファウ伯爵は崩れ去る城と共に下へ落ちて行った。
陰り出す日食つまり、ダイヤモンドリングを演出する日食! それを背景に、空へ突如として現れた禍々しいUFO(未確認飛行物体)! それは見上げる者の胸を貫くような声で名乗った!
「──我が名はケオディオルムス!」
(プフフ。下噛みそうな名前ー!)
「──我は邪神である!」
(邪神が邪神と名乗った!? 謎である! 確信犯なのか!?)
「──うるさい黙れそこぉッ! いちいちツッコミを入れるなアホたれめがッ!」
「「「──ッ!?」」」
はたから見たら謎のやり取り。地上の軍団は困惑した! だが邪神ケオディオルムスは構わず続ける!
「ぐぬぅ! かつて我を倒した新参者共、人間の勇者と以下末裔一族が、こうも完璧に揃っているとはな! ──面白い! 復活しがいがあると言うものだ! フォハハハハハハ!」
「させないよっ!」
アリスはそう言うと、手に持っていた槍を黄金色に輝かせ、天高く投げ放った!
それは光線の様に、昼の星空を貫き、後には静寂が残った!
「…………ん?」
──何も起きなかった!
アリスは言う!
「私の義とは邪神、お前を倒すことっ! タレダルの神々、天空の三姉妹の末娘、オーレ・ルイノール・タレダルのお姉ちゃんが、その為に私をこのアルダスの世界に転移させたっ! それはお兄ちゃんへの恩返しも兼ねるっ! 邪神ケオディオルムス! そう言う訳で、お覚悟めされござるっ!」
「ん……?」
(めされござる?)
「まぁよい。しかし……う~んなるほど。貴様はタレダルの娘の……。最初はスパルタへ転生か。半神ヘーラクレースの致死の血と、戦神アーレスの瀕死の血が混ざり……それがスパルタの処女に子を宿した……か。そして、そこに居てはいけないモノを倒す事で、転移転生の契約を果たし、この地へ来させられた……。回りくどいが、どおりでいきなりステータスが桁違いなわけだ」
だが、想一郎は疑問に思った。それが、何故お兄ちゃんとなるのかと。そこは邪神が都合よく解析し、説明してくれた。
「兄、想一郎? ふん! なるほど! 人間勇者の脇役ザムライか! 我の全敗の歴史で、最速で倒してくれた人間勇者のッ! フォハハハハハ! そうか! 親の虐待から守ろうとしてくれた兄への恩返しか! 結局兄妹は溺死し、一人は輪廻、一人は転生と言う訳か! フォハハハハハ! オーレも酔狂な事をする!」
つまり、想一郎は死んで輪廻転生し(普通に生まれ変わり)記憶がない。だが、虐待され死んでしまった兄妹のそれを見かねたタレダルの神々が一柱、オーレ・ルイノール・タレダルが、守ってくれた恩返しをしたいと強く願う妹を、まずスパルタに転生させ、修行ついでに異世界転移させる対価となる魔物退治をさせた。そして邪神復活に備えつつも、兄への恩返しとして今まさに邪神を討伐させようと……。
『──おい! なんだあの大軍は!?』
『おいおいおいッ! まさか魔王軍じゃないだろうな!?』
迫る見るからに禍々しい魔族の軍団!
「──フッフッフ! 一億二千万年間ずっと全敗と、全く持ってため息が出る程情けない邪神が復活したとあるならば、まず間違いなく私の助力が必要不可欠だろう! ならば助けてやるしかあるまいッ! 我が名は傲慢の魔王! ルシフェル! 魔族よ! 我に続くがよい!」
『『『ウォォォォォオオオッッ!!』』』
『『『────ッッ!!』』』
『──おい! こっちからはなんだ!?』
『あ、あれは!? ああ! 何てことだ! 生きてそのお姿を見る事になるとは!』
空を神々しく輝かせるドラゴンと天使の軍団!
「──私の名はカル・ルイノール・タレダル。邪神の思惑はこの星の文明を破壊する事。私達はそれを許すわけにはいきません! 私の妹、オーレ。そして神々に求められしアリス。今までのお勤め、感謝します。では、何としても邪神、ケオディオルムスを倒しましょう!」
『『『ウォォォォォオオオッッ!!』』』
『『『────ッッ!!』』』
老齢でプルプル震える手のローラン王から、オンドレアを引き渡された想一郎。彼は勇ましくもなんだか、状況を超理解して、ローラン王に代りタレダレイダー軍に叫んだ!
「よしっ! タレダレイダーの全ての者を騎士に昇格する! 皆すべきことはもう分かると思う! 俺達人類の存亡はこの一戦にあり! 生きる義務を果たせッ!」
『『『ウェーイ!』』』
空は稲妻が絶えず走り、爆轟が空気を重く震わせる!
途方もない魔力のエネルギーが、全ての者の呼吸を乱させる!
そして邪神はその姿を殆ど露にし、衝撃波の様な声で大笑いした!
「──フォハハハハハ! いいぞいいぞ! 面白くなってきた! どの文明も大した事は無かったが、ここは、アルダスは楽しい! さぁ乱れろ! 狂え! そして混沌の渦と化すのだぁ! 我が名は邪神ケオディオルムス! ゆくz──」
──ドォォォォォォォォォオオオオオオオオオオンンンンンンンンンンッッッッッ!!!!!
「──グギギュギャァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!??」
邪神は倒れた。
「「「……え?」」」
出ばなをくじかれた全軍。
アリスの投げ放った槍は、月と太陽でスイングバイ(引力を使った加速)を果たすと、戻ってきて邪神を打ち滅ぼしたのだった。
「いや~しかし、ダンジョンとは不思議なものじゃ! 元は世界樹のうろにあった異空間なるもので、それは全ての世界樹と繋がっているのだそうな! 男爵!」
「輝彦様……な、なるほど……」
「そしてわしは奇跡にも、ご本家様にいきなり会えたわけだ! 想一郎は元気か? ん?」
「ご立派に国を治めてございます」
「ほぉ! よしよし! なら安心じゃ! よかったよかった!」
紅森山本家はなんと日出国大和、江瑠左芙の武士であった!
ご先祖の紅森山想一郎(一世)は転移した人間で、当時の跡取り娘であり江瑠左芙の詩桜と結婚した。つまり、紅森山本家の婿養子となったのだ!
そして彼は1600年前、勇者達と共に邪神と戦った侍である。その功績をたたえられ、ジェンヌに領地を貰った。後にそれを末息子に任せて、今のジェンヌ紅森山家は分家し現在に至るのだった!
「……しかし、ヘンタイヌよ。お主も好き者よのう。オークを娶るとは……なかなかやりよるわ!」
「ふふ~ん! で、ダーリン。聖セイント骨ボーンについては聞かないのかい?」
「ああ! そうでした! 輝彦様!」
「分かっておる! ついて参れ。永劫禅寺昜辰様、またの名を始祖のエルフ、ウルアリオン様に直接伺うがよいぞ! ハッハッハ!」
『う、ウルアリオンだって!?』
『そ、それってまさか!?』
『お母上様! ウルアリオン様とは、あの、百三十七億歳のウルアリオン様でございまするか!?』
「左様じゃ。オジジはウルアリオンじゃ」
追記:
あ~もう結構適当です。ごめんなさい。




