最終話、後始末。 ──そして作者の黒歴史となる!
「あ~あ。そもそも、最低でも数百万年復活に時間かけていたのに、たかだか千六百年で復活だからな。どうも可笑しいと思っていたのだ。馬鹿馬鹿しい。──撤退だ」
魔王軍はやる気を失って帰っていった……。そして神々の軍団はあまりの呆気なさに、現れた事を無かった事にして嘘の様に消えてしまった……。
『あ、あれは神々の軍団だったよな?』
『え? そうなのか? しかし、嘘だったかのようにもう何もいないぞ』
タレダレイダーは邪神に魔王に神々と、まさに大儀に獲物を獲た感じであったが、邪神はあっけなく敗れ、魔王軍もあっさり撤退し、神々の軍団も忽然と消えてしまった。なんだかやる気を失い、概ね目的達成と、財政や兵糧などの現実的な障壁に多くが解散、故郷へ帰ってしまった。
そして倒されたわけでもないのに気が抜けたのか、サングイアの呪縛から解放されたミューヘ公爵領は、フィー・イシルディルによって浄化された。結局サングイアは行方不明。奇跡的に生き残っていたルーカス・フォン・シュワルツファウ伯爵は、行方不明のサングイアを追って旅に出るようだ。
「フッ……俺の戦いは永遠に続くのだ……!」
「「「あっそ」」」
その後、ダウアスルと戦い、ニート期間の呪いで九十六歳となった英雄騎士王ローランは、その翌年別段惜しまれるわけでもなく崩御した。そしてフィリップ王太子は齢九歳でファンセイヌ王へ即位し、子王フィリップと呼ばれるようになった。
即位した彼はまず、ウェデックス王国王太子であるアルフレッドに恋してしまった姉、元エマ・リスモンを嫁がせ婚姻同盟を結んだ。
次いで、ロザリー及びオンドレアには、アンドレ・ド・元ネイ公爵の悪行からほぼ無関係であるとし、名誉を回復させた。ロザリー・ド・現ネイ公爵はその領土を安堵。オンドレアには父の焦土作戦で焦土と化した、超ド田舎の男爵家復興を命じた。
超ド田舎の男爵領は、人口十三人だった。
一方帝国はこの隙に呪われし荒野を奪取した。マルクス皇帝は、アクティウム市民の熱狂的な人気のもと凱旋すると、荒野戦記の著書を出版した。が、その熱狂的な人気を危惧する元老院は、彼を暗殺してしまう。満身創痍で血まみれとなったマルクス皇帝は最期に言った。
「──ブルタニウス! お前もかっ!?」
マルクス皇帝は死んだ。さて、次期皇帝は誰か? 元老院と今まで押さえつけられていた世襲制の貴族達で意見が真向対立し、そして帝国は内戦へと突入してゆく……。
打って変わってダンジョン辺境伯爵領は、平和そのものとなった。
お隣さんの内戦で金融、貿易業、特に武器防具の特需で大儲け。なだれ込む難民問題もダンジョンへの冒険者として押し込んで税収増大の糧とされた。またはフィー・イシルディルの熱心な信仰の餌食となって、結果ジェンヌはむしろ繁栄を極める事となる。
異例である。
「想一郎や。平和になったのじゃ!」
「ガハハ! そうでもないぞ! 今やジェンヌはラーメンの激戦区! 時は群雄割拠の戦国時代だ!」
「またラーメンの話のじゃか……!」
「──ほらディンゴ。骨だ。取って来い」
──ピュー。
「ほ、ほねぇ~!?」
──ピュー。
(……俺の夢はかなった。……いや、最後まで維持して初めて叶ったと言えるのか? なら、まだまだこれからか……。気を引き締めていかなくては……)
「「「──想一郎様!」」」
「ん? おお……。みんな、そのドレス、似合っているな……」
「──ガハハ! いいねぇ~! 所でヘンタイヌ男爵はどうなった?」
「あ……」
「あって……」
☆
結局、引っ張りに引っ張った聖セイント骨ボーンとは何だったのか?
ヘンタイヌ男爵は始祖のエルフ、永劫禅寺昜辰ことウルアリオンにその答えを求めた。
「ん? ただの人気者になれるスキルじゃよ。別段特別な意味なんぞないわい! カッカッカ! 想一郎が望むのなら、新興宗教の預言者にもなれるスキルじゃがのう! カッカッカ!」
「し、しかし! 物凄い技が使えるのですが……!」
「脳筋ハイエルフ、後のアトランティア剣聖王マゴーリオンの子孫じゃからな。単純に紅森山家の家祖じゃ。それを引き継いでるだけ、それだけじゃ」
「え……。そ、それでは、なぜ想一郎(二世)様は人間族なのですか?」
「後々紅森山家へ婿養子となった想一郎(一世)は転移者で人間じゃからのう。その末っ子子孫は人間の血が濃いってだけじゃ」
「は、はぁ……ところでウルアリオン様。貴方は一体何者なのですか?」
「──ヒミツじゃ! カッカッカ!」
「…………」
ヘンタイヌ男爵は帰る事にした。
☆
……オンドレアは、ワンルームの屋敷のベッドで寝転がっていた。
「メ~」
『『『メ~!』』』
「メ~」
『『『メ~!』』』
彼女が「メ~」と言うと、すぐ外にいた羊たちも『メ~』と鳴いた。
「物凄く獣臭いですわ……」
「そうでございますね……」
「そして超ド田舎だわ……」
「私はのどかで嫌いじゃありませんが……」
「コラリー、そのあとアベルとはどうなったのよ?」
「また浮気したので、ぶん殴ってジェンヌへ置いてきました」
「あらそう…………。私も、このまま行けず後家なのかしら?」
「“も”とは何でございますか? “も”とは。しかし、まだまだこれからにございます」
「でも想一郎様以外に考えられませんわ……。でも婚約破棄ですもの……は~あ~……。エリザベスとか何やってるのかしら~?」
「あの方は話に聞いたところ結局……ドン・ナポリターノのスパイ、子王フィリップ陛下のスパイ、エリノールのウッドエルフのスパイ、ウェデックス女王エグバーティア様のスパイ、そしてフィー・イシルディル対邪神組織連合タレダル教会のスパイと、実は先の一連の陰謀実行犯の、五重スパイですからね。きっと今もお忙しいに違いありません」
「は~あ~……もうどうでもよいですわ~……」
──トントン。
誰かがワンルームの屋敷のドアをノックする。
「あら? こんなド田舎に一体どなたでございましょう?」
コラリーが対応する。
「──醤油切らしてしまってー……分けてもらえませんかー?」
「はぁ……今、こっちもあいにく切らしておりまして……」
「えー? ざんねーんプフフ」
オンドレアはふと訪問者の声に勘付く。
「──はっ! その笑いはエリザベス!?」
「あ、ばれたー!」
「え!? ──あっ!」
コラリーは思い出して驚いた! そして新たに一人のガリ勉が顔をのぞかせる。
「──エリザベス! なぜ私もここへ来なければならなかったのだ!? 私は研究で忙しいのだ。そもそも奴は政治がらみで一時的に婚約破棄されただけであろう。無罪放免となった今、結婚自体は禁止されたわけではあるまい! 何故行動せぬのか? まったくもって謎である!」
「「──っ!?」」
そしてまた一人、少女が顔のぞかせる。
「──お姉ちゃん! ジャンヌから舞踏会の招待状もってきたっ!」
「「────っっ!!」」
「──ロスタ! アリスちゃん! ──そ、そうよ! 婚約破棄は命令されたけど、結婚自体は禁止されてないわ! ──コラリー!」
「はいはい。もうご用意できてますよ……」
「──それでは出陣よっ! オ~ホッホッホ!」
私は、永劫禅寺昜辰の弟子、永劫禅寺草志にございます。
最後は私の主観で進めさせていただきました。私は師匠に仙術を教わりまして、千里眼に地獄耳、そして読心術をパーペキに体得しております。それを駆使して人の人生を書にしたためているわけですが、しかし──
「つまらんっ! お前の書は……つまらんっ!」
と、師匠にお叱りを貰ってばかりで……。
しかし、最後までお付き合いして頂いた方々、本当にありがとうございました。それでは──
爆死(ちゅど~ん)




