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ダンジョン辺境伯爵と公爵令嬢  作者: もやい
第二章
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第十三話その十一 何がしたいのか

「おいちょっと待てよ!?」


 ディンゴは決闘を見ながら脳裏に突如、疑問符が浮かんだ。


「魔力供給の親玉を倒すためにアリスに頼んでオンドレアと共に裏取り行かせたのに、いままさに、魔力の供給源であるダウアスルとうちの国王陛下が決闘しているのだが!?」


 彼女達の存在と存在意義をすっかり忘れていたディンゴはしまったと思った。そんな中、決闘中のダウアスルはさらに決闘を有利にする為に、次なる手を行使した。


「おおし! キリンゲンスケレット! 腕を増やせ! 増やした腕で更に剣を拾え!」


「なッ!?」


 ダウアスルの剣(?)、キリンゲンスケレットは、軍同士の戦いで散乱した刃物全般を魔力で集め骨となし、体内に取り込んで新たな腕をもう六本ほど増やすと、その増えた手でさらに六本剣を拾った!


『『『ブーッ! ブーッ!』』』


「なんだと!? なぜブーイングなのだ! 剣一本は一本だろ!」


「貴様! 貴様の言う剣の定義は、『柄一つに』と言っていただろう!」


「ああぁぁぁぁ! だからか!」


 ダウアスルはキリンゲンスケレットに取り込んだ武器の柄を全て取り除き、増えた手には(なま)で刃を持たせることにした。


「……って、俺はこんなルールに律儀なヴァンパイアじゃないぞ! ファッキュー!」


 英雄騎士王とダウアスルの決闘は長引きそうだ。


「ディンゴや。案ずるでない。魔力の供給源は多いに越した事は無いじゃろう? わしが奴らの立場だったら、予備電源的に魔力の供給源は複数設けるがのう。なのじゃ」


「あ~なるほど! じゃあ間違いじゃなかったんだな! ガハハ!」



 ☆



 とま~きっちりあっちはあっち、こっちはこっちで頑張っていた所。と、言う事で、オンドレアとその一行は現在何をしているのだろうか?


「さぁ付きましたわよ! オンドレア・イン・ヴァンパイア城・再び!」


 タレダレイダー軍がきっちり敵の注意を引いてきたおかげで大したホラーに襲われていなかったオンドレア一行は、ロスタエルのドラゴン運用で難なくサングイア・フォン・ミューヘの潜むヴァンパイア城へたどり着いたのだった。


「よし! この城! 俺の炎できっちり灰にしてやる!」


「まて! この変態ドラゴン! TPO(くうき)をわきまえろ!」


「ええ!? なんで!?」


(クッ! 二度とこのドラゴンなんかに跨るものか!)

「私達が直接叩かねば意味がないだろう! この、変態めっ! 城から出て来るまでここでステイ!」


「きゅぅん……」


(気づいたらもう、犬扱いですねープフフ!)


 ドラゴンは鼻を鳴らしてその場に寝転がった。ロスタエルとこのガーストラドスに何があったのか。まるで主人と犬状態で、ガーストラドスは主人であるロスタエルの命令で、ステイ(その場で待機)する事となった。


「者共! さぁ行くわよ! 私をこんな目に合わせた糞ヴァンパイアビッチのサングイアを、ボコボコのベコンベコンに、フルボッコにしてやりますわぁ~! オ~ホッホッホ!」


 ──どが~ん!


 衛兵も何もいない固く閉ざされた城門を、アリスが盾パンチで破壊すると、ダウアスルが拘りに拘り抜いたとされるヴァンパイア城へ、再び突入した!


 城門を潜る彼女達。長いトンネルを越えた先は、ヴァンパイア城下町だった……!


「うわ~! こんな街あったっけ?」

「な、なんだか、アンデッド達が普通にマーケットを楽しんでいますわ……」


『『『ガヤガヤ!』』』


「ほとんど首なし卿とか出てきそうね……プフフ」


 すると、やはりロスタエル。持病の『謎である』発言が始まる。


「──謎である」


「「「ん?」」」


「ふと思ったのだが、サングイア・フォン・ミューヘは何がしたいのだ……?」


「「「え?」」」


「王都を攻撃しない、主力を自領へ引っ込める、内輪揉めの絶好の期に動かない、現在の最前線に出てこない、むしろこの城に引きこもる? そしてこの城下町の賑わい……意味不明である!」


「「「あ~!」」」


「──ア~ハッハッハ! その答えの一部には答えてあげようかしら!」


「「「その声は!? センアハトゥ!?」」」


「ご名答~! ア~ハッハッハ! ここであったが百年目! 背中に受けた斧の痛み! あ~疼きますわ! んん~っ! ──今度こそ! 今度こそ貴方たちを実験生物にしてあげますわよ! ア~ハッハッハ!」


「現れたわね!? ゼンズリトゥ! 貴方なんてどうせ中ボスでしょ!? 難なく叩き潰して差し上げますわ!」


「あらあら? 私が対策を練っていないとでも思っているのかしら?」


「──フッ……貴様の様な混血眷属のネクロマンサー如き、何を企もうが“海へ焼き石”だ……!」


(──え?)


 センアハトゥは、それ言うなら『焼き石に水』では? と思ったが、『海へ焼き石』も意味的には間違っちゃいないだろうと不思議に思った。が


「「「──あっ!」」」


 そういえば、ルーカス・フォン・シュワルツファウ伯爵が同行していたのを、オンドレア一行はすっかり忘れていた!


「おいおい! 『あっ!』ってなんだよ! 『あっ!』って!」


「プフフ。あ~またチャックあいてるよ~?」


「──なっ!? えっ!?」

(これ高かったのに!)


「うっそ~ん! プフフ!」


「──クッ!」

 突如、鎖国令で入港を拒否されたヘンタイヌ男爵。あ、そういえばと男爵は何かを思い出した。


「そういえば、姫園一生殿も、締め出されたと……しまった……」

「ああ~あのなかなか強い女エルフか」

(にしても、アリスって子は、ホントヤバかったね~……)


『お~まじか……。ここまで来て締め出しかよ……』

『なんだよ……ここまでほんと長かった……長かったのに……』


『お母さま! そういえば姫園一生大佐が仰られていました。もしかしたら『ムー大陸側から入国できるかもしれない』と!』


「「「──ッ!!」」」

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