第一話Cの3 盾の正しい使い方
【オンドレア一行のアリス】
私はアリス。想一郎お兄ちゃんの妹。そんな事より今重要なのはオンドレアお姉ちゃんを守る事!
──ヴヴォヴォヴォッッ!
「あらぁ~? 光の玉が頭上を通過していきますわ~……?」
能天気なオンドレアお姉ちゃん。しかしあれは……凄い魔力……!
「お姉ちゃん! 馬車の中入って!」
「オンドレアお嬢様!」
「はいはい、わかったわよ。コラリーまで叫ばなくても──」
──ダッッッダァァァァァアアアンッッッ!!!
155mm榴弾砲並みの無数の爆裂が、迫るゴブリンの眼前で同着炸裂した! うち一発はTNT火薬1t分の威力で、衝撃波が目に見える程だった!
「ウッキャァァァァァ!」
オンドレアお姉ちゃんはゴブリン見たいな悲鳴を上げる! だけど、間一髪の所でお姉ちゃんを馬車に引き入れた。そして馬車は倒れ、ヒビの入った窓に吹っ飛んだゴブリンのバターがへばり付く!
──べちょ!
護衛騎士達の馬は次々と転倒した!
──ヒヒ~ン!
オンドレアお姉ちゃんはアホ面で言う。
「う、うをぁ~……! せ、戦争って結構激しいのですわね……!」
「ひっひぃぃぃぃ!」
酷い体制になっても案外ケロッとしているお姉ちゃんとは違い、怯えるコラリー。普通の人ならコラリーの様になるよね? そんなことよりこの状況はヤバイ……!
「お姉ちゃん達はここに居て! 私は表出て戦うから!」
「だ、大丈夫なのですか!?」
コラリーが心配する。しかし!
『──ウッキーッ!』
私はその声に、オンドレアお姉ちゃんを見た!
「──ん?」
あれ……? コラリーはヒィーとしながら上を指さす。あ、間違った。その声はお姉ちゃんのではなく、倒れて天井となったドアの窓越しに見せる醜い緑色の生物のだった! 私は頭上のドア目掛けて全力で蹴る!
──バチコーン!
『フッギャアアァァァァァァ────!』
ゴブリンはどっかへすっ飛んでいった! すると次に顔覗きこむのは御者さんだった。
『すごい! 今のはメジャーリーグ並みの場外ホームランだった!』
「そんなこといいから! 他に武器はないの?」
『あ、あ、えっと……』
埒もないので私は馬車を出る。
『あ! そういえば! 馬車の後ろに!』
御者の言う、そこにあったのはキラキラに輝くギリシア風の盾“ホプロン”とネイ公爵紋章入り長細い旗付きの槍だった。
「あら~? それはミスリル製のモノホンなのですわよ? 驚いて?」
オンドレアお姉ちゃん出てきちゃった……! しかもいつの間にか斧持ってるし。何故……斧?
「私も戦わせてもらいますわ~! オ~ホッホッホ!」
だがしかし──
『『『ウッキッキー!』』』
ゴブリン達に包囲されていた!
『ケ、ケツに鎧が食い込む! クソ! 妙な気分だ! ──あ、オンドレア様! ご無事で!』
『くそ! キッチンペーパが足りない! ──て、お、お嬢様!? ここは危険です! 馬車にお戻りくだされぇ!』
護衛の騎士達は徒歩で既に交戦中でありながらお姉ちゃんを気遣う。私はホプロンと槍を馬車から剥ぎ取るとそれを装備し、ゴブリンの眼前に立ちはだかった。
ゴブリンは困惑する。
『ウケケ……? こ、この美少女……もしかして強い……?』
『グゲゲ……、オ、オレの危機管理センサーがヤバイって警告してるぅぅぅ!』
行くよ……。
──盾パンチ!
──ポーンッ!
私は一番近いゴブリンに雷の速さで近づくと、盾の縁で顔面をぶん殴り、盾はポーンと鳴った!
『ウギョエアァァア!』
ゴブリンは、1キロメートル程吹き飛んだ。
『『『──ッ!?』』』
『コ、コイツやばい! オ、オレは逃げる! ウキー!』
逃がさない。
──シュッ!
私は逃げようとするゴブリンの目の前に瞬間移動すると、
『え……?』
──盾ジャブ!
──シュバババババッッ!
『ボボボボボギャァァ!』
『『『────ッ!?』』』
一斉に動揺するゴブリン達!
(((こ、これは……逃げれない!?)))
うち一匹が。
『ギョエギョエ──ッ!』
後ろから……なら。
──盾エルボー!
──ポッコーンッ!
『ブゥホァァァァアア!』
『『『──ッ!』』』
開き直って全方位から一斉に襲い掛かってくるゴブリン。
『『『ウギャァァァァ!』』』
でも……。
──盾フック! ──パコーン!
──盾チョップ! ──ピコーン!
──盾アッパー! ──プコーン!
──盾ラリアット! ──ペコーン!
──盾ストレート! ──ポコーン!
『『『ブガァ、ブギィ、ブグゥ、ブゲェ、ブゴォ!』』』
ゴブリンの叫び五段活用!
…………吹き抜ける風。
ヨシ。これでとりあえず周りに居たのは制圧した。
『『『──つ、強いッ!』』』
護衛騎士達は愕然としている。
「ちょっと! なんで盾ばっかりなんですのっ!? たまには槍も使いなさいよ!」
ん?
「だって……私の得意な“武器”は、“盾”だから……」
オンドレアお姉ちゃんは結局見ているだけだった。 むしろそれでよかったけど……。そして空を暗くする程の無数の矢が頭上を通り過ぎ、想一郎お兄ちゃんが騎士団を引き連れてやってきた。
「盾は防具のイメージが強いっ!」
「アリス様? 確かに、まぁ防具ですからね」
「だけど私は鈍器として扱うっ!」
「相当に腕力があればの話でございますね?」
「腕力があれば──」
──ジョアジョア!
「盾でチャーハンも作れるっ!」
「アリス様っ!?」




