第一話Cの4 タングステンのタマ
【想一郎と第一騎兵連隊】
くそ! ゴブリンに先に接触された!
……あれは? ネイ公爵令嬢のオンドレアお嬢様か?
──まずい! 急いでお救いしなければ!
「ネイ公爵令嬢をお守りするのだぁ!」
『『『オォォォォォッ!』』』
俺は表に出た女性二人と護衛騎士数人を掠めてゴブリンの群集へ全力疾走した!
「ウオォォォ!」
俺のバスタードソード“鋼抜真銀樋黄昏乃長剣”が輝く!
──シキーン!
【オンドレア】
単騎で先行するキラキラしてなんとも勇ましい騎士が私の横をすれ違う!
──ズバズバーンッ!
私はその時、雷に打たれたかの様に、何か運命のようなものを感じた……! あ、あれは! 間違いないわ! あの黒くて狂おしい程に微妙なくせっ毛! そ、想一郎様ですわ! 想一郎様に違いないわ!
「ウッキャァァァァ!」
私は諸手を挙げて彼を見送った……。ご武運を……! ポッ……。
【右翼騎兵支援、魔術師騎兵中隊のソフィア大佐】
ファンセイヌ王国アルウェー産の馬は騎士の馬! ちょっとやそっとでは決して止まらない! そうして想一郎様はゴブリンの海を進み続ける! 休まず剣を振り続ける! 想一郎様が剣を一振りすれば!
──ズバーン!
『『『ウギョウェァァァァア!』』』
ゴブリン数匹のバターが宙を舞う!
敵は、自ら統制のない突撃、こちらの砲撃とロングボウの矢で十分密集できていない。そんなゴブリンの歩兵は、容易く蹄鉄に踏まれる雑草となった!
──第一騎兵連隊は敵の第一陣歩兵団の前衛を完膚無きまでに蹂躙したのだ!
しかしそうは問屋さんが卸さない……! 突撃の勢いを失った騎士団の側背に迫るのは狼に跨るゴブリンウルフライダーだ! しかしそれを計算していたディンゴ准将は我が魔術師騎兵中隊を派遣していた!
私はソフィア・ローズ・コールマン大佐だ!
今は魔術師騎兵中隊のタフなヤンキー共を率いる指揮官だ!
──ドドドドドド!
想一郎様の背後を追随する敵の騎兵、ゴブリンウルフライダーを叩きのめす!
「──私達のタマは何だぁぁぁ!」
『『『タングステン!』』』
「──私達の指先は何だぁぁぁ!」
『『『ダイナマイト!』』』
「──ちょちょいと回せば?」
『『『テーンテコマーイ!!』』』
「──よーし! 突撃ラッパだ!」
──パッパパッパパッパパッパパッラパッラパッパラ~!
アメリカンな突撃ラッパが馬をより疾走させる!
「チャァァァァァァァァジッッ!」
正面突撃した想一郎様にシメシメと迂回奇襲を仕掛けようとするゴブリンウルフライダーは、むしろ私達の側面突撃に不意を突かれる!
──チュドーン!
『『『ウギョエァァァァア!』』』
ガンフィンガーから放たれる爆裂弾丸はゴブリン共を吹っ飛ばす! 殆どはこれで事足りるが、根性のある奴は気合で接敵してくる! そんな奴は、敬意を持ってサーベルで叩きのめしてやるのだ!
──ズバシュッ!
『オゲゲェェ!』
「中々根性のある奴だった! お前のバターは敬意を持って夕食で使ってやる!」
──それは冗談だが、敵の左翼迂回部隊は程無くして壊滅した!
『──ソフィア大佐!』
「なんだ!」
『ここいらのゴブリンウルフライダーは、ZTNです!』
「よ~し! 任務完了だ! ここを離脱した後、敵後方に回って司令部を叩くぞ!」
『『『サーイエッサー!』』』
「よ~し二等兵! ドーナッツ買ってこい!」
『サーイエッサー!』
「なんだこれは!? ステーキはウェルダンだと言っただろう! 焼き直し!」
『サーイエッサー!』
「おい! なんだあれは!? 軍隊では恋愛禁止だ! 砲撃開始!」
『『『サーイエッサー‼』』』




