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ダンジョン辺境伯爵と公爵令嬢  作者: もやい
第二章
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第十三話その二 その空に花を咲かせましょう!

 徹夜明けで書いていたら寝落ちした……。


──ダメだぁ! 眠い! 寝ないと死ぬぅぅぅぅ!

【名誉の右翼を任された紅森山軍副将ディンゴ】


 両者差し迫って遂に補足しあう!


 左翼戦列は西マグナビスのウェデックス王国女王エグバーティアとその王太子アルフレッドが指揮を執る。地上中央ファンセイヌ王国軍歩兵主力は齢八歳にして神童のフィリップ王太子殿下が指揮し、英雄騎士王ローランは近衛ペガサス航空騎士団で空を行く!


 ロザリー・ド・ネイ公爵は汚名返上のチャンスを与えられ、ファンセイヌの騎士団を最左翼騎兵として指揮。タレダレイダーの騎士達と共に連携する。


 そして最精鋭として名誉の右翼を任されたのは我らが紅森山軍団であった!


 想一郎は第一騎兵連隊を直轄し、姫園の第二騎兵連隊と、援護としてソフィアの魔術師騎兵中隊、さらに異国のマムルーク達をひとまとめにし、最右翼の騎兵師団とした。


 鳩羽鼠のナウススは魔術師砲撃支援中隊及び魔術師銃剣中隊と、フィー・イシルディルの後方支援及び野戦医療班をまとめて指揮。空飛ぶ絨毯に乗った異国の魔術師爆撃連隊と連携する。


 俺は右翼戦列歩兵師団を任された最強の師団長で紅森山軍忠犬の副官だ!


 俺は予想していた。オンドレアがどうにかしてまた勝手に敵領土深くへ行ってしまう事を! だがむしろ、アンデッドを操って後方へ引き籠るであろうサングイアを打ってもらおう! そうすれば敵がいくら居ようとも勝利は確実だ! 故に俺はあらかじめ想一郎と共に、半神アリスに合流するようお願いしておいたのだ!


 タレダレイダー軍総勢約四万八千! 俺からしちゃこれら全部は、オンドレア一行から注意をそらす為の囮なんだぜ!


 その囮にまんまと全軍を上げて迫るダウアスル指揮のアンデッド軍団二十万以上!


 やっべ~!


 偵察するのも相当苦労した敵の兵力は、少なく見積もってもこちらの四倍じゃね~か! ガハハ! 大半がゾンビーや装備の脆弱なスケルトンではあるが、ヴァンパイア軍本体は高級な眷属で組織する血の黒騎士団と、ネクロマンサーと改造生物、そして闇魔導士達だ! 小規模とは言えこいつらはとんでもなく強い! 十分警戒しなくてはならないぞ!


 両軍対陣し合う前に行った事。それは制空権の争奪戦だった!


 空を飛べる。上空から一方的に攻撃できる。この事が意味する所は、制空権を取ったものが勝敗を握ると言ってもよかった! だから敵も本気だぞ! 何故なら、日が陰る空であってもわかるくらい、遠くの空を黒く染める相当量のコウモリ軍団をよこしてきやがったのだ! 中には翼の生えた目の真っ赤な狼男までちらほらいるじゃないか!


「ディンゴや。やはり制空権は喉から手が出るほど欲しいと思うのじゃろう? のう? なのじゃ」


「おっ! ナウスス。そりゃそうだろう! これからは空の時代じゃないか? ガハハ!」


 ──ファファファファ~!


 すると高々とファンセイヌ航空騎士団の突撃準備のラッパが鳴り響く! 舞い上がる近衛ペガサス航空騎士団! それを見てナウススは続ける。


「ぬ~ん。わしらは空を飛べぬのじゃ。魔術師が空を飛んでも航続距離が出せんのじゃ(散々試した)。魔法の絨毯の様な製法も持っておらんのじゃ(どうやっとるんじゃありゃ?)。お蔭で見上げるばかりの悔しい思いで、わしら紅森山軍には空軍が居ない。どうやってテイムしたのかわからん変態ドラゴンも今じゃいないしなのじゃ」


「お~お~? どうした? その話、落ちあるのか?」


「ふぉっふぉっふぉ……ならば対空スキルを上げれば良いのじゃ!」


 ──ジャジャーン!


「見よ! これが新開発した対空砲撃魔法! ハァァァァァアア! 『三式焼霰(しょうさん)TNT』──ッッ!」


「うおっ!?」


 魔術師砲撃支援中隊から放たれる巨大な一発! 陰る空でもわかるほど程群れる敵空軍へ、それは弧を描いて吸い込まれて行った! そして


 ──パカーッ!


 まるで巨大なすだれ桜がその中空ど真ん中で満開になった!


『『『おおうっ!』』』


 これが俺達ジェンヌ魔術師による爆裂砲撃魔法だ! と、つい自慢したくなる様な驚きの声を上げるタレダレイダー軍。フッフッフ……だが俺達は知っている。知る者はそっと耳を塞いでそれに備えた……。





 ──ダアァァァァッァァァッァアアッァァァアッァァァッァアアアアンンンンンッッッ!!!!

 デール海を平穏無事で航行するヘンタイヌ男爵。平穏無事と言ったからには勿論、平穏無事でなくなるヘンタイヌ男爵。彼らは、吹き荒れるモンスーンに足止めを食らっていた!


『おいそこの緑のッ! 帆を下ろせ! マストをへし折られるぞ!』


 オーク達全員が一斉にその声の主を見た。


『──いや! お前達でなくて!』


 この世界のモンスーンは中々手ごわい突風であったが、へし折れそうになるマストをその巨体を使って支えるボボンギャマッチョ。しかし全ての船に彼女がいるわけではなく、残念ながら大半の船が航行不能へと陥ってしまった!


 航行可能な船でそれらを曳航し最寄りの陸地へ修理の為向かう男爵。


『おいおい! てか肌の色で呼ぶなよッ!』

『くっ……つい焦って言ってしまった……!』


「ん~……予備知識不足であったか……」

「こんなにスカッと晴れていて、戦闘でも嵐でもないのにねぇ~!」


『マンマミーア! これぞまさに晴天の霹靂だったよ!』

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