第十三話その一 陰る日食の元へ集いし聖戦士達!
【ネイ公爵の死に衝撃を受ける想一郎】
「「「──反逆者アンドレが死んだ!?」」」
反逆者であると証明された“反逆者アンドレ(アンドレ・ド・元ネイ公爵)”は正式な処刑を待たずして、謎の爆死を遂げた。次いで俺とオンドレアの婚約は勅命により破棄された。俺は不思議と受諾に少しためらいがあったが、勅令とあっては逆らう事は出来ない……。
ファンセイヌ王国政府は正式に、王宮の爆発は、ヴァンパイアであるサングイアの父、ダウアスル・フォン・エルーインの仕業であるとした。又、彼は反逆者アンドレと契約し様々な悪行に手を染めさせ、更にはこの侵略を引き起こした不死の悪魔であると公表。タレダレイダー軍が倒すべき敵の総大将であるとした……。
王宮の一部はその時の爆発で崩れた。
それでもなお、壁の無い牢で真面目に囚人をしていたロザリー・ネイ殿は、ローラン王により冤罪が認められ、正式に釈放される事になった。彼女は、父の残した不名誉と共に世襲した三公爵のうち、父が不正で得たとされる二公を王へ返上した上で、汚名返上の為、ロザリー・ド・ネイ女公爵となってタレダレイダー軍に参加した。
そして……
『想一郎様! 報告です! ヴァンパイアが動き出しました!』
「やっと動いたか……」
「ガハハ! 麺が伸びちまったな! 想一郎!」
「んん~。今動き出したのはどういう事なのじゃか。敵ながらベストなタイミングとは言えんのう」
『それとなんですが……想一郎様!』
「どうした?」
『アリス様、エリザベス大佐、ロスタエル教授、ガーストラドスの変態ドラゴンに、そしてオンドレア様が王宮を脱獄してパーティーを結成! ヴァンパイア城へ向かったとの事です!』
「……そうか」
「俺はもう驚かねーぞ! ガハハ!」
「少々トラブルが怖いのじゃが……」
「まぁどっちにせよ、俺達もそこへ向かうからな……!」
タレダレイダー軍は、ファンセイヌの内輪揉めによる一時停止中にさらに膨れ上がっていた。
約束の地より、歴史的にオーク及びゴブリンから侵略を食い止めてきた東西聖墳墓守護団と聖壁騎士団の両団が援軍として参加。さらに中東マグナビスからはアル・ティオダードの都市軍を筆頭に『タレダー・アクバル』とか言いながらマムルークと魔術師が絨毯に乗ってやって来た!
東シッシアのアレクース王を名乗るサラ・ア・ディールはヘンタイヌ男爵の支援のお礼と、シッダールとの対立へ巻き込んでしまった事への詫びとして、大量の穀物を、つまり兵糧を送って来てくれた! しかも対アンデッド装備まで!
「ヘンタイヌ男爵は何をやっとるのじゃ? これは外交問題じゃぞ……」
「砂金海峡の海上封鎖突破に参加、と書いてあるな……」
「しかしこれは助かる! ガハハ! 反逆者のアンドレはこの辺一帯を全部焼いちまったからな! 焦土作戦が逆にダメージだった所でこれは有り難い!」
しかしその兵糧と装備は請求書付きであった……! つまり、詫びとしてはあくまで安値と言う事で、つまりは押し売って来たのだった! 恐るべし中東の商魂……!
そしてタレダレイダーはまだまだ集まる。
西マグナビスからは、ウェデックス女王エグバーティアとその王太子アルフレッドが代表となって七王国からも続々と集まる。そして士気は最高潮へと達した。
英雄騎士王ローランは、引き籠りニート王であった事を皆に詫びると、タレダレイダー軍総指揮官となって未だ尚陰る日食へ、名剣デュランダールをかざして号令を出す!
「ヴァンパイアは動いた! 敵将はサングイアとその父、ダウアスルだ! 全軍、打って出るぞッ!」
『『『──ウェーイ!』』』
ヘンタイヌ男爵は砂金海峡の突破に間接的には関わっていても、戦闘には参加して居なかった。彼が外交問題を起こしたと言うのは、サラ・ア・ディールが意図的にシッダールを外交的に包囲する為の嘘であった。
そんな事は知る由もなく東へ進路を取るヘンタイヌ男爵。彼はデール海の名の由来となったデール王国(インド風)へ到達する。
ここはまさに、西、及び中央マグナビスでは、金と等価で扱われる香辛料の一大生産地であった……!
『カレーうめぇぇぇぇええ!』
『しかし、故郷ではこの一杯で年収分……』
『ママー! カレー大好きになったよ!』
また、この地は東西を結ぶ絹の交易経路。つまりシルクロードの真っただ中であった。その為、絹の衣装も有名であった。
「我が夫! どうだい? このシルク、アタイに似合ってるかい?」
「とても美しいよ……ハニー」




