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ダンジョン辺境伯爵と公爵令嬢  作者: もやい
第二章
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第十二話その五 ぬめぬめからの

【勝利に気持ち悪さを感じるディンゴ】


「あらあらぁ~? なんて事ないゾンビーでしたわね? お姉さま? オ~ホッホッホ!」

「継続して警戒を続けるに越した事は無い。だがしかし何かがおかしいぞ?」


「「「…………」」」


 ──何て気持ち悪い勝利だ!


 俺達と合流したロザリーやタレダレイダー軍は結局ネイ公爵領から時間をかけて大きな痛手もなくアンデッドを駆逐した。フィー・イシルディルも難民を導き終わると途中から軍に合流して駆逐と解放は加速した。


 結局敵本体は何処にいたんだ!?


 王都は陥落しなかった。包囲さえされていなかった。それは良かったが、王都に集結した戦下手な本国貴族連中は、ネイ公爵と敵だ味方だ等と水面下でのやり取りが相まって、自滅的な戦闘をしてしまい大した事なかったゾンビー軍団相手に大きな痛手を被っていた。


 馬鹿じゃねぇの?


 まぁそれはともかく、後から聞いた話では、推定10万から20万いたと思われるゾンビー軍団を俺達は結果的に駆逐したようだ。殆どがネイ公爵領の住人であった様だ。中にはゾンビーとなった家族を殺した兵士も居た様で、徐々に軍を取り巻くムードに暗雲が立ち込めていた。


 マズイな……ラーメンでも食わせれば元気出るか?


 いや無駄だな……問題はそれで解決できるレベルじゃなくなったのだ! 最初は些細な噂でしかなかった話が、今じゃ大きく膨れ上がり大問題へと発展してしまったのだ!


 事の顛末はうちらタレダレイダー軍の救った生存者。気付けばその生存者は莫大な数になって居て、それはそれでよかったが、生存者の殆どで大問題を引き起こす噂話をあちこちで言いふらしちゃったのだ! その内容は──


 今まで行ったネイ公爵の悪行の数々とその手口の暴露! そして更には、ネイ公爵が暗殺したとされるローラン国王陛下の娘、王女の生存! しかもその王女はエマ・リスモンであるというものだった!


 多分そうだろうなと思いながらも、俺達が散々手を尽くして裏を探っていたのにも拘らず遂に特定できなかった極秘事項が、全力で今、“流言飛語”されてしまったのだ! 俺は確信した!


 ──これはサングイア・フォン・ミューヘの戦略だ!


 どうにも腑に落ちない戦い方だと思った! 最初は全力で奇襲し侵略する振りをしてネイ公爵を焦らせ、貴族や住民のヘイトを集める焦土作戦を行わせる。無理な焦土作戦で反発する者を敢えて殺さず、どうやったのか? 寝てる耳元で連日お化けが囁きまくったのか? ネイ公爵に不利な噂話を吹き込んだ!


 ──これだ! これが奴の作戦だ!


 お蔭で俺達の進軍はミューヘ領を目の前にして停止してしまった! そして事実確認が急遽最優先課題となって絶賛内輪揉め中!


 まったく、聖戦と称して集まったタレダレイダー軍は、自分が正義と信じて疑わない奴らの集まりだ! お蔭で奴らの琴線に触れるネイ公爵の悪行の数々と、王女生存説が見事に内輪揉めを起こしてしまっているのだ!


 ああ! なんて回りくどい癖に的確な策略だろうか!


 まずはエマ・リスモン! 極秘だったファンセイヌ王家である証は足の付け根近くの内もものアザらしい!


 ──そんなの知るかよ! 知っててもどうやって見んだよ! 犯罪になっちまう!


 だがファンセイヌ王国は嫌がるエマ・リスモンを強引に拉致して脱がし事実確認をしてしまった! そこで引き籠りニート王ローラン登場!


「────娘は生きていたッ!! ばんざ~いッ!!」


 “ばんざ~いッ!!” じゃっね~よッ!!


 急に引き籠ったせいで王国は封臣のやりたい放題の危機に陥った。そして更に王国一大危機と当時信じて疑わない状況にもあったヴァンパイア・サングイアの侵略! それでも姿さえ見せなかった引き籠りニート王ローランは、今ではご立派に最前線の指揮をするぞと英雄騎士王に戻られた!


 ああもう、そこからが急展開!


 娘を暗殺しようとしたネイ公爵と関係者全容疑者は一斉逮捕された! ロザリーもオンドレアも、そしてジュリアもエリザベスも逮捕されてしまった!


「「「──ええ!? なんだってぇ~!?」」」


「謎である!? なぜエリザベスが!」

「あ~色々あってねープフフ。じゃあちょっと行ってくるねー」


「──エリザベス!」


 明るみになるその手口。名もない共犯者であったベビーシッターが、実は裏社会のドン・ナポリターノ(ジュリアの父)の息のかかった暗殺者であった! この暗殺に疑問を感じたドン・ナポリターノは罪の意識からとある孤児院にエマ・リスモンを隠したのだった!


 その孤児院とはジェンヌの孤児院だった!

 空飛ぶ絨毯を法外な値段で吹っ掛けられたヘンタイヌ男爵は、腹いせに試乗するだけしまくって購入を諦め冷やかしをした。


 そしてアル・ティオダードを後にし、使命を全うする為、大裂海の東の出口、デール海に抜ける砂金海峡を通過しようとしていた。だが……


『現在この海峡はシッダール軍閥海軍によって封鎖されている! 通行税も通行手形も受け付けない! 諦めろ! もしくは一戦するか!?』


 砂金海峡は海上封鎖されていた!


 シッダール軍閥はシルクロードでの陸上貿易で莫大な利益を得て軍資金としていた。海峡を封鎖すれば海上貿易に圧力を与えられるし、頃合いを見てとんでもない通行税を徴収しようと目論んでいた!


 だがそれだけあってシッダール軍閥の海上封鎖は本気だった。ボボンギャマッチョとオークを乗せた元海賊船を改修した艦隊であっても、ヘンタイヌ男爵は戦うのは本意ではないと決断する。


「あんな奴、アタイがレイプしてあげるよ!」

「いやダメだ。外交問題になる。残念だがここは諦めて、シッシア大陸(大裂海南の大陸・アフリカ大陸に相当)を大きく迂回しよう……!」


『『『──えぇぇ!?』』』


『ママー! 俺、シッシアの喜望峰を見つける旅に出る事になったよ!』

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