第十一話その八 スローモー
【ガーストラドスに跨るオンドレア】
もう例のごとく緑色軍団なんて想一郎様の敵ではないわ! 叩き潰される寸前! 当然ね! オ~ホッホッホ! さぁ脳筋ビッチを叩き潰すわよ! 私はガーストラドスに命令して奴へ一直線ですわ!
「ガーストラドス! さぁあのビッゲストビッチに蹴りを食らわせなさい!」
「シギャァアア! ハッハ! 跨り主のお嬢! 焦るなよッ! アイツは俺から見てもやべぇ! 俺を一撃で吹っ飛ばしたあの美少女と渡り合っている! 正面は避けて後ろから蹴り入れるから待て! ついでに中央のオーク共に爆炎食らわせてからだ!」
「あらあらぁ~? 意外と考えるロリコンドラゴンなのね?」
「ガオォォォ!」
──ゴバァァァァアアア!
『『『ウガガァァァァアア!』』』
立ち並ぶ爆炎! オーク共はその名の通り、次々とテリヤキになっていきますわ!
「うおぉ! すげぇ~な想一郎! 帝国のドラゴンより火力あるぞアイツ!」
「ああ……あまり無理しないでくれオンドレア……」
「どっちにしてもオーク軍はもう終わりだな! あとはボボッチだけだ!」
そしてアリスちゃんと一騎打ちする筋肉ビッチの背後に回った私! アリスちゃんはこちらの存在に気付いているのかしら? 筋肉ビッチの気を引いてくれて、背後から蹴りを入れるのに成功しましたわ!
「想一郎様は私のお婿さんなのよッ!」
──ドカッ!
「──ウゴッ!? くそ! ドラゴンまで居たのか! 邪魔だッ! 想一郎とは私が添い遂げる!」
(あっ危ない! お姉ちゃん!)
しかし筋肉マッチョ、何てことないと反撃の一振り! ウキャ!?
──ガッキーン!
だけどアリスちゃんがそのひと振りを盾パンチで捌いてくれましたわ!
「シギャァァ! ダメだ! 硬すぎる! 引くぞ!」
「あ、あらあら!? 逃げるの!? ──くぅっ!」
「悪役令嬢は引っ込んでろッ!」
「──はぁ!? 私はヒロインよ! 悪役令嬢ではないですわ!」
「ハッ! ほざいてろ! この小説と同様の中途半端なブスめ!」
「ムキー! その武器さえなければただの筋肉ビッチの癖にっ!」
私は蠅叩き丸(斧)を投げる!
──カキーン!
「ハッハッハ! 無駄だ! この武器はアタイだからこそ扱える! このマンスオブザハーレムはアタイと雌雄一対!」
するとアリスちゃんが何かを思いついた様。
「──あっ、そっか」
そしてガーストラドスは爆炎を浴びせながら飛んで後退。
「ちょっとぉ~!」
「無理だ! 聞いたただろ! 俺の渾身のロリコンキックも全然効いていない! なるほどあの武器はマンスオブザハーレムだったのか! もうどうにもならん! あの美少女にバトンタッチだ!」
「ハッハッハ! 爆炎も飛び道具! 効かんなぁ~! ハッハッハ!」
あの巨剣を地面に突き立てて、ゴリラの様に自慢しまくる筋肉マッチョ! ムキー! くやち~!
「バカバカァ~! 筋肉ビッチの出ベソ! うんこビッチっ!」
(普通に殴ってたらあと178回殴らなきゃいけない……でも)
「ハッハッハ! ほざいてろ! 半端モンめ!」
(ふぅっ……! 溜めて溜めて溜めて……!)
「──そもそも心得違いも甚だしい! 悪役令嬢と言うのはな──」
(──盾正拳付きっ!)
──バッキーンッッッ!
「「──え?」」
突然、地面に突き立てられた巨剣、マンスオブザハーレムが粉々に砕け散る……? 呆気にとられる私とうんこ出ベソ筋肉マッチョ。……シーンはスローモーになり、砕けた刀身が散りばめた宝石の様に宙を舞い踊る……。キラキラと……。
──それは雪国で見るダイヤモンドダストの様であった……!
(なんだこのダイヤモンドダストの下り!? 謎である!)
(プフフ。彼女の感性は私にもわかりかねまーす!)
そしてアリスちゃんはボソッと言う。
「な~んだ。武器にはダメカットなかったのかっ!」
「「────ッッ!!」」
「ボボッチ! 行くよっ!」
アリスちゃんはガッツリ溜めポーズ!
「し、しまッ──」
「ふぅ~っ! アリス盾神拳っ! 『百裂盾パンチ』──ッッ!」
「────ナッ!?」
『お母上様……私は遂に一等航海士の資格を史上最短で取りました……』
『『──ッ!?』』
『そうです……私は星空を読み解く詩人となったのです……』
『『ちょっ! ちょっとお前!』』
『私は聖セイント骨ボーンの謎を解く為、空を映し出すラピスラズリの世界へ旅立ちます……』
『『なんだ!? 海の事か!? なんか言葉遣いも変わってるし!』』
『でも酔い止めが無いと……エレエレエレッ!』
『『──あぁ~ちょっと休もっか? ね?』』




