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ダンジョン辺境伯爵と公爵令嬢  作者: もやい
第二章
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第十一話その五 エリザベスのツッコミに反省

【陣替えを解説するミラ・ワーグナー】


 我々紅森山軍は敵の注意を引く為“斜線陣”に変更中である。


 “斜線陣”。ヘンタイヌ男爵はそれは何だと言う顔になるが、私主導の戦術議論会にてアリス殿の提唱した戦術だ。構想はそう難しくない。左翼に主戦力を集中させ突破を図る戦術だ。パッと見スパルタ式の戦術に似ている。しかしスパルタ式は右翼の騎兵後方に歩兵を隠すが、こちらは左翼である。


「さすがは想一郎様の妹君アリスちゃんですわぁ~! オ~ホッホッホ!」


 ……盾を左手に持つ歩兵の性質から盾のない右手が弱点となる。それを補うために軍では右翼に精鋭を配置する傾向が高いが、この斜線陣は敢えて左翼に主戦力の殆どを配置する。右翼は少ない兵で手薄となる為、前進時には右翼に行くほど歩幅を締め、敢えて出遅れる様にする。


「あ~オンドレアお嬢様。すまないが第一騎兵連隊はヘンタイヌ男爵にやらせたい。だから隊長解任で!」

「はぁ~!? 忠犬ディンゴ!? ちょっとそれどういう事ですの!?」

「あ~ガハハ……一応俺上官なんだが……」


 ……そうすると左翼が敵陣に到達する頃には、敵陣に対して斜線の様な隊形となるのでこの名が付いたそうだ。アリス殿はこれを“エパメイノンダスの斜線陣”と呼んでいた。エパメイノンダスとは誰か私の記憶にはないが、アリス殿の出身であるスパルタ軍は、これでテーベ軍とやらに負けてしまった事があるそうだ。


「不服を申し立てるわ! 想一郎様ぁ~! 何とか言って下さいましぃ~!」

「不服の申し出は却下だ。オンドレアは俺の傍に居てくれ」


「──想一郎様!? 何が不服でありましょうか! 当然従いますわぁ~! オ~ホッホッホ!」


 ……そして我々は陣替えを完了した。敵前で陣替えは完了する前に攻撃されると危険だ。だが敵は動かなった。我々の目的は敵の注意を引く事であるので都合が良い。やはり遠距離攻撃を捨ててまで攻撃に出る魅力はないと考えたか。


「想一郎や! もうポンポン(おなか)が限界なのじゃぁああ! ウ、うプっ!」


 後は……ヘンタイヌ男爵の言う通りあの“奴隷オーク”がどう動くかだ! もう時間がない!


 ☆


『──おうバターゴブリン。ちょっといいか?』


『ギェギェ?』

『このカタパルト、こうするともっと威力出るんじゃないか?』

『ギャギャ!? ああ! そこの綱切ったら!』


 ──ガシャーン!


『『『──アア!』』』


『『『──ッ!?』』』


「──何事だ!?」


『ギャギャ~! ボボンギャ様! このオークの旦那がカタパルトぶっ壊しちまいましたッ!』

「ナニィィィィイイイ!(ギリギリ)


『ボボンギャ様。申し訳ありません。しかしこれは……わざとなのです!』


「──ッ!?」


『──今だぁぁぁ! 残りも全部ぶっ壊せぇぇぇええ!』


『『『ウオォォォオオオ!』』』


 ──ガッシャンガッシャン!


『ギャァァアア! なにするだー!』

「己! 貴様らぁぁぁぁあアア!」


『──ヘンタイヌ男爵に与えられたこの愛! 今ここに解き放つのだぁぁあ!』


『『『ウオォォォオオオ!』』』


『『『ウガァァァア──ッ!?』』』


「デェェェェェェイ!(イライライラ) クソ忌々しい!」


 ☆


 本当だったのか……! まさか……まさかあのオークが我々方に寝返っただと!? 数はかなり小規模ではあるが、これは……これは歴史上前代未聞だ!


「ガハハ! すげぇ! オークが同士討ちしてらぁ~!」


『『『ウガァァア! ウガァァアアア!』』』


「──ああ! 愛戦士達よ! こんな形で再開できるとは! ウ、ウウッ……!」


(愛戦士とは何だ!? 私には唐突すぎて謎である!)

(んー。なんかあったんだろうねー? てか、この出会い方……もうちょっと感動的な出会い方とかあったんじゃない? もっと頑張れよ作者ー……。プフフ)

(※すみません……)

(エリザベス! 誰と話しているんだ!? 一層謎である!)



「──よし! 前進開始だ!」


『『『イエス・マイロード!』』』


 前進命令のラッパが吹き鳴らされる! しかし突然帰って来たかと思えば、あのヘンタイヌ男爵……いつの間にオークを味方につけていたとは……! やるじゃないか!


 最左翼は姫園隊、その後方にジュリア隊。私は左翼から二番手でナウスス様率いる魔術師銃剣中隊が我が隊の前面に出ている。中央はアリス殿のマケドニア式ファランクス、中央右翼はギリシア式ファランクスで両隊は薄く横に伸びている。ソフィアとヘンタイヌ男爵殿はその後方にて敵左翼騎兵の回り込みに備える。


「お兄ちゃん! ボボンギャマッチョの気は私が引き付けるっ! 倒すには265回殴らなきゃいけないけど、その間飛び道具を引き寄せるスキル無効になるかもっ!」


「いけるのか!?」

「多分っ!」

(た、たぶんって……)


 しかしアリスは角笛を吹きならす。


 ──ブゥゥゥゥォォォォオオオオ!


「ディンゴォォォオオオオオ!」

「コーケコッコー!」


「「「──ッ!」」」


「──さぁ! 皆いっくよ~っ!」


 あ、あのチキンは! グリムリーパーチキン!?


『あのグリムリーパーチキンが……味方だと!?』

『う、うぉぉおおお! まじか!』

『これはやべー味方だ! うぉぉ!』


「オ~ホッホッホ! 想一郎様の軍は無敵なのよ! オ~ホッホッホ!」


 ──そして遂に、我が軍は突撃体制に入った!


「やぁやぁ我こそは姫園一生! 卓袱台切の錆となりたい奴はかかってくるが良い! ──突撃!」


『『『うぉぉおおおお!』』』


「魔術師銃剣中隊! 構えるのじゃ~!」


 ──そして賽は投げられた!


「──撃のじゃぁぁぁぁああ!」

「あつ森やり始めたせいで創作がっ!」


 作者は、創作の遅れと雑さをゲームのせいにした……!

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