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ダンジョン辺境伯爵と公爵令嬢  作者: もやい
第二章
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第十一話その一 いつの間に

【軍備を拡張する想一郎】


 俺は新天地に前哨基地の建設を突貫して行い、後は冒険者に任せてダンジョンから軍を引き払った。


 ダンジョン遠征では思わぬ出来事の連続であった。エマ・リスモンがローラン王の娘である可能性。グリムリーパーチキンに大空のある新世界。ゴブリン王国にドラゴンとの戦い。これらにはそれなりの被害を被ったが、新たな発見で俺達の軍は活気にあふれ、アレサ・エイベルの広報のお蔭もあってか新たな冒険者も志願兵も後を絶たなかった。


 エマ・リスモンについては引き続き調査をする必要があるので機密扱いとした。


 とにかくフィリップ王太子殿下はローラン王に代りその功績を称え、俺を大将に、ディンゴを少将に、そして空気扱いであったアレサ・エイベルを要請通り准将に昇格させてくれた。他にも将官に値する配下は沢山いたが、王国昇進規定(本国貴族達の都合)により残念ながら見送られた。だがそれに最大限報いる為、王太子殿下は代りに沢山の勲章と感謝状を贈り、俺は十分な金銭的な褒章を分配した。


 齢八歳だと言うのに、随分だな……。


 何か得体の知れない物を感じるが、それはさて置き俺達の軍の規模は拡大した。新たに第三歩兵旅団ファランクスを新設したのだ。王太子殿下の要請で、アリスを特例の大佐待遇とし、この第三歩兵旅団長に任命した。これは異例だ! 彼女個人の練兵は兵士達にとってチンプンカンプンであったが、他の指揮官達の手伝いもあって、ファランクス戦術を第三歩兵旅団に取り入れ旅団名とした。


 アリスが言うには、ファランクス戦術には二通りあり、ギリシア式ファランクスとマケドニア式ファランクスとあるのだそうな。ギリシア式ファランクスは人の背より少し長い槍と大きめの円盾で武装する密集重装歩兵戦術で、マケドニア式ファランクスは人の背の3倍以上もある非常に長い槍を密集して、まるでハリネズミの様に前に突き出すという一風変わった特殊な戦術であった。


 模擬戦ではギリシア式ファランクスは異常な頑強さを誇り、マケドニア式ファランクスは正面からの接敵は不可能とさえ思える程だった。どちらも鈍重で機動力にかけるが、対騎兵に対してもかなりの効果が見込め、結論として陣中央を任せるに足ると指揮官達はその戦術を称賛した。


 そして、そんな練兵に勤しむ俺達の元へ、奇特な人ルーカス・フォン・シュワルツファウ伯爵が俺達に憂いを残すヴァンパイアの調査進捗を報告してきた。それによれば、サングイアは軍を招集中であり近いうちに大規模な侵略が行われる可能性があるとの事! マジか!


 俺達はすぐ先手を打つべしと意見が一致したが、今度は同盟した帝国の皇帝マルクスから急ぎの書簡が届く。それによれば、オークの一団が、帝国領には目もくれず、帝国空軍の爆撃を受けながらも遂に追跡を振り切り俺達の領土へ一直線と言うものであった! これはマズイ! 対策の優先順位は一気にこっちが上となった!


 また、奴隷としたオークの一部に、ヘンタイヌ男爵のハンカチを根拠に開放を求める動きがあり、ヘンタイヌ男爵失踪の手掛かりがあるかもしれないと、その奴隷たちの買取りを皇帝は提案してきた。オークとは言え、人身の売買を名目上禁止するファンセイヌ王国ではあったが、ヘンタイヌ男爵の安否も気になるので、俺はその提案に同意した……。


「ヘンタイヌは生きとるのか!? なら何処をほっつき回っとるのじゃ!」


「変態男爵はオークと何かあったっぽいな。もしやオークに愛をばら撒いてたりしてな! ガハハ! しかし帝国め! もしや戦力を温存する為、わざとオーク共を通過させたんじゃないか?」


「う~ん……その可能性は否定できないな……。あと奴隷の件について、あの時後方で反乱とか故ウッキースマイルは言っていたが、ヘンタイヌ男爵と関係あるのかもしれない。生きていてくれる事を願うばかりだ……。とにかく今はオークを何とかしなくては!」


 ──シギャァァァァアア!


「「「──ッ!?」」」


「この叫び声はなんなのじゃ!?」

「この叫びはあの時のドラゴン!?」

「ガーストラドス!? 何故外のここに!?」


「──お兄ちゃん! ガーストラドス、テイムしてきたっ!」


「「「──ッ!」」」


「オ~ホッホッホ! 想一郎様ぁ~! お土産のお礼ですわぁ~! そんな私を抱いて下さいまし~!」

(キャーーーーー(><;! 私ったら大胆!)


「謎である! こいつに跨るなど不服だ!」

(プフフ。てかこの変態ドラゴン、むっちゃ喜んでますねー)


 ──ガオォォォオオオオ!

 アトランティア女王と会ったヘンタイヌ男爵は、幸運にも聖セイント骨ボーンについて直接話を聞く事が出来た。種明かしをすれば単純で、アトランティア王族である証のスキルなんだとか。ではなぜアトランティア王族、すなわちハイエルフの王族たる証を人間である想一郎が持っていたのか?


 女王の話では、先代のアトランティア王、剣聖王マゴーリオンが1600年前に、冒険者として世界を旅した事に関係があるのではと言う。紅森山家は日出国大和に本家があり、想一郎のダンジョン辺境伯爵家はその分家に当たるから、答えは本家にあるかもしれないと女王は言う。


『よ~し! 乗り掛かった舟だ! てかもう乗ってる船だ!』

『行くか? 俺はもう決心したぜ!』

『マミー! 俺! 世界を旅してくるよ!』


『『お前は辞めといた方が良いだろっ!』』


『大丈夫! 俺! 酔い止めの魔法とフードレプリケイションを会得した!』


『『なんだって!?』』


「とにかくまずは……ジェンヌへ帰還しよう!」


『『『ウェーイ!』』』

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