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ダンジョン辺境伯爵と公爵令嬢  作者: もやい
第二章
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第十話下の中の下 活力の源

【第一騎兵連隊長となったオンドレア】


 ダンジョンを通って来たので馬には乗っていませんけれど、私はもちろん超名門公爵家の公女であるわけですからぁ~? と~ぜん乗馬は得意中の得意ですわぁ~! ですのでポスト騎兵連隊長に収まるのは当然! まったくもって、完璧な人事だと思いますわぁ~! オ~ホッホッホ!


 そして私の部下を、こうして高い所から見下ろすのも一興ですわね! なんだか気分が良いですわ! オ~ホッホッホ! ──あ! 想一郎様は別ですわよ? でも、見下ろす想一郎様もまた、素敵ですわぁ~! オ~ホッホッホ!


 しかし、たかだか一匹のチキンでどんな料理を作ってるのかは知りませんけれど、そのチキンの為に集まった紅森山想一郎二世様の“ほぼ全軍”。──ちょうど良かったですわね! 前方からやって来たのはまたもやゴブリン軍団。ただ、今まで見てきたゴブリン軍団とは違い、頭にバターは乗せず、首にぶら下げているのは?


『──ギャアギャア! われ等は“ガーリックゴブリン”! そしてその族長! われの名は“ワッキークサクサ”! ここに人間が来るのは非常に珍しい! 戦う前に挨拶しに来てやったぞ! お前らも挨拶しに来やがれ! ギャアギャア!』


「おい想一郎どうする? 罠かもしれんぞ!」

「ディンゴの言う通りじゃ! まったくもって在り得るのじゃ!」


「だが人が来るのは非常に珍しいのだろう? 交渉の余地はあるのかも──」


『──やっぱやめた! 有り余るニンニクエナジーを発散してやる! 全軍突撃ィィィィイイ!』


「「「──ッ!」」」


 まぁ~! 野蛮人ですわね! 所詮教育の受けていない乞食ゴブリンなんてこんなものでしょう! オ~ホッホッホ! しかし私の将来の忠犬召使いであるディンゴが言いましたわ!


「おいおいマジかよ! ゴブリンの癖に真正面から力業なんて! しかもやたらエネルギッシュだ!」

「ぐぬぅ! これがニンニクエナジーじゃと言うのじゃか!?」


 まったく酷い臭いですわ! ニンニク料理は、食べる時は良くても、その後の体臭が絶望的なのよね! そう、その時の臭いが戦場から芸術性を奪って無性に腹が立ちますわ!


 ダンジョンを抜けてきた想一郎様の軍隊。仕方なく馬が無いので、全員徒歩での戦闘ですわ! 門のある岩場を背に、半円状に戦列を維持してますけど、体臭ゴブリンは真正面から殺到。


 まったく何の面白みもありませんわ!


 するとエリザベスの指揮するロングボウ隊が私のいた岩場に集まって弓で狙撃援護を開始しましたわ。


「プフフ。あ、こりゃどうもーオンドレアお嬢様ー」

「ふふ~んエリザベスね! あらあらぁ? ロスタはどうしたのかしら?」

「ロスタは馬鹿になりなくないって言って、下で補助魔法連発してるみたいですねー? プフフ」


「馬鹿? 一体何の事かしらぁ~?」

「さー? ──ディンゴ准将! 側面から蜘蛛に騎乗したゴブリンが来まーす!」


「なんだって!? ──姫園! 下馬した槍騎馬武者右翼に展開だ!」

「御意! ──よし! 槍衾戦術だ! 急げ!」


『『『おおっ!』』』


「冒険者! 左翼を守り切れるか!?」


『やって見せますよ! ──タンク戦列を組め! ヘイト集めろ! アタッカーはまだ待て! ヒーラーは確実に頼むぞ!』


『『『まかせろっ!』』』


 で、カワイイ可愛い私のアリスちゃんは何をしているのかしら?


「えっとねっ! えっとねっ! 盾で守るときは左の仲間を守るっ……で、今みたいに殺到してきたら皆で呼吸合わせて押し返すっ! ……今見本見せるねっ! ──えやっ!」


 ──ドゴーンッ!


『『『ウギャァァァァァアアア!』』』


 あらあら……体臭ゴブリン共は、岸壁に打ち砕かれる波の様に散って行きましたわ……!


(((見本にならねぇ……!)))


 ふふ~ん? ま、臭いのせいで芸術性はありませんけれど、まぁまぁらしい戦いになってきましたわね! だけど、あらあらぁ~? 真正面から巨大な……うっきゃぁっ!? 巨大な蜘蛛が背中に石の砦を乗せてやってきますわよ!?


『ギャアギャア! “移動要塞フォートレスシェロプ婆”! 先生! やっちゃって下さい!』


『──シェシェシェ! 人間は久々に食うねぇ~! シェシェシェッ!』


 あ、あらあらぁ~……? こ、これはいけませんわ! 報告しなくては!


「──想一郎様ぁ~! “何とかの動く城”が来ますわぁ~!」


「な、なに!? ──くっ!? 世の中にはあんなのが居るのか!? ディンゴ!」

「あぁ!? って! おいおいマジかよ……! どうすんだありゃ……!」


「いきなり接敵されたのじゃから、今まで砲撃出来んかったがのう……ソフィア」

「ええ……ナウスス様。一発ぶち込みますか……?」


「「──フッフッフ!」」

 ジェンヌの貿易と海軍を一手に引き受ける提督の名は、ローシェ・デ・ロイテル少将である。通称“ロロ姉さん”。畏敬を込めてそう呼ばれている彼女に助けられたヘンタイヌ男爵は、交易先であるアルフヘイム共和国へやって来たのだった。


 学者肌の多いハイエルフの都は、富士山の様に巨大な世界樹(この世界は結構どこにでも生えている魔力の根源となる木)を背景に神秘的な建築様式を魅せ付ける。


 ヘンタイヌ男爵は「ならば」と、想一郎様の持つユニークスキル“聖セイント骨ボーン”について尋ねてみた。すると聞いたハイエルフの眉がピクッと動く。ヘンタイヌ男爵は思った。「どうやら琴線に触れた様だ」と……!


 ──男爵達は、寝る時間以外ぶっ続けで、一週間講義を受ける羽目になった!


 しかも答えは結局わからなかった!


『くそ! 結局わかんねーのかよっ!』

『でもお母さんに聞かせる土産話が出来た!』


「ふぅん……答えはアトランティアにあり、か……!」


 ヘンタイヌ男爵はロロ姉さんの力を借り、アトランティアへ行く事にした!

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