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ダンジョン辺境伯爵と公爵令嬢  作者: もやい
第二章
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第九話中 出会い

【ダンジョン遠征に出陣するディンゴ】


 想一郎は財政難の為、ダンジョン遠征を決行!


 モテキ到来の想一郎が志願者を募ると、冒険者はおろか軍人の殆どが志願した。それどころかアレサ・エイベルの宣伝活動が功を奏し空前の冒険者ブーム。軍隊も、戦争と言うブラック企業な内容であるのに新兵志願者が後を絶たない。現在比較的浅い階層では中堅冒険者が鬼教官となって新人教育の訓練場と化していた。


 ダンジョンの先行攻略組が水先案内人となって次々と階層を攻略してゆく。俺も元はと言えばこのダンジョンの冒険者! 腕が鳴る!


 俺の旧友カンガルーヘッドはアリスの召喚獣となってダンジョンから姿を消した。現在隠し階段のボスであいつを越える奴はまだ出ていなようだ。


 しかしあのアリスとやら。とんでもないな! 先行攻略組であっても目が点になるほどの戦闘力と強引なダンジョン踏破力はまさに半神だ! ダンジョンとはやたらと迷路が多く遠回りをさせられるものだが、彼女は扉破壊に壁破壊。


 ──彼女の前に道はなく、彼女の後に道が出来る。


 もはやそんな感じで冒険者の話題を独占していた。


『おい聞いたか!? あのアリスって子、カンガルーヘッドを瞬殺したらしいぞ!』


『『『な、なんだって!?』』』


『あ~……因みに私はあの子に速攻シバキ倒されてグルグル巻きにされたけどな……』

『アハハ! お前鼻水詰まってて苦しそうな所を救われてたな!』

『あれ酷いやろ! 捜索しに行ったらあれなんやもん! ひどいわぁ~!』

『アハハ!』

『なにわろてんねんっ!』


 そして遠征も大きな問題は起きずに収支が黒字に転じる頃、些細な事が起きた。


 ──想一郎が駆け出し女冒険者を救ったのだ。


 その子の名はエマ・リスモン。


 ブームとなるちょっと前に冒険者となった為に、まだまだ経験が浅いにもかかわらず新人冒険者を牽引する羽目になった彼女は、ドジ踏んで成るべくして窮地に立たされた。運よくたまたまそこに通りかかった想一郎と俺達。彼女達を窮地に陥れたモンスター共も、初陣の時とは見違えるほど実践を積み強くなった想一郎の前では蚊トンボ当然であった。


 しかし本来であればその場で気をつけろと言って終わる所だったが、想一郎の様子がどうもおかしい。


 その娘、エマ・リスモンに謎の好待遇をしだしたのだ!


 孤児で貧乏人だった彼女に豪華な寝食を提供したり、急に城に呼びだして直々に剣の稽古つけてあげたり。挙句には、想一郎が苦手とする社交界での礼儀作法まで教えだしたのだ!


「あ、あの……良くしてくれるのは有り難いのですが……その……」


 ──むしろ困っていたのはエマ・リスモンの方であった!


「おいおい想一郎! ダメだ! 一人の冒険者をヒイキにしたら問題になるだろう!」

「そうじゃぞ想一郎。人の妬み嫉みと言うのは計り知れんのじゃぞ!」


「ん~……だがなんだろう? 何か引っかかる。こう……胸の奥からなんか、こう……」


「「──え!? まさか!?」」



【嫉妬に煮えたぎるオンドレアお嬢様】


 ちょっとちょっとちょっと!? どういう事なのよ!? なに!?


 あのエマ・リスモンって言う冒険者処女ビッチ!


 婚約者の私の事なんて殆どほったらかしなのに、どうしてあの冒険者処女ビッチばかり、想一郎様に手取り足取りあ~んな事やこ~んな事まで、乳繰り合ってるのよっ!

(※想一郎は特にやらしい事は何もしていないし、エマは処女ビッチでもない)


 中二病伯爵はまたどこかへ行き、ファンクラブの件はエリザベスに口裏を合わせさせた。ファンクラブは現在ひっそりと諦めの悪いファン達によって存続しているようですわ。まぁ勝手に戒律に雁字搦めになっていればよいですわ。


 因みにロスタは大急ぎの研究開発があるからと大学に引きこもりっきり。私はと言うと、謎の警戒心からほぼ軟禁状態となってしまいましたわ……。


 なによ! 私も冒険者なのよ! ダンジョン遠征と言う一大イベントに参加できないなんて不公平だわ!


 エマ・リスモン……。


 これは潰すしかないわ!

 失踪を続けるヘンタイヌ男爵。彼は“南”へ向かいウィース公爵領を目指していた。


 はずだった!


 しかし彼は超方向音痴であったのだ。


「ここは一体? 物凄い山の断崖だ……これはもしかして……」

『男爵!? 本当にこっちでいいのか!?』

『お母ちゃん……俺、どうなっちゃうだろう……』


『──おいお前らここで何をしている!?』


「ドワーフ……!? という事はやはり、ここはドワーフ王国!?」


『何を言っている!? ドワーフ王国はとっくに革命で潰れた! 今じゃドヴァウフ社会主義共和国連邦だ! つまり、ドワーフ連邦! 共産主義万歳! 同志ドワーリン万歳!』


『『『──な、なんだって!?』』』



 ヘンタイヌ男爵は“北”へ向かっていた。

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