第七話下 エリノールの鷲
【想一郎ファンクラブ会長ロスタエル】
まただ! またまた謎である!
──何故に私が想一郎ファンクラブの会長なのか!?
オンドレアに誘われて若干ワクワク……
──いや!
研究資金集めのロビー活動と思って参加してみた仮面舞踏会! 実態は想一郎ファンクラブの交流会であった!
初めに言っておくが、私は想一郎殿に興味はない! 私が興味あるのは魔鉱石とその研究であって友d……
いや何でもない!
それに何故だ!? 想一郎ファンクラブであるのに何故に男もいるのだ! 謎である! その疑問に答えるべくMCオンドレアが突っ込みを入れた!
「皆様ごきげんようっ!」
『『『ごきげんようっ!』』』
「て、あらあらぁ~? どうして殿方がおられるのでしょうか?」
『『『あらまぁ~!』』』
──ざわざわ
『フッフッフ! 居てはいけないのかね?』
『何それ差別!? どんだけ~!? ポリティカルコネクト発動するわよっ!』
『お、俺は違う! 違うんだ! 妻に無理やり誘われて!』
「大丈夫。わかってますわ……。最初はみんなそう。恥ずかしいものですわ。でも大丈夫よ。そういう時代なのよ! どんどん自分をさらけ出しましょ! そう貴方がゲイであっても関係ない!」
『いやだから! 本当に違うんだっ!』
「──想一郎様を思う気持ちはみな平等ですわぁ~! そう! ファンクラブは寛大! ね! 会長!」
「お、おおう……まぁ、ゆっくりしていってね」
『『『まぁ~!』』』
──何を言っている私! 謎である!
「オ~ホッホッホ! さぁ皆さん新しい会員に拍手っ!」
『ま、まってくれぇ~!』
──パチパチパチ!
『『『ふふふ……妄想が抑えられないわ……!』』』
一体何の妄想であるのか!?
「まぁ男の娘も何人かおられるようですしこの際関係ありませんわね!」
『『『まぁ! 誰かしら!? ふふふふふ』』』
──そんなのがいるのか!? 気づかなかった! 謎である!
かくして侍女のコラリー殿は過労でお休み中である今。エロワ・ド・ヘンタイヌ男爵の後援もあってか、オンドレアの思惑通り会員がどんどん膨れ上がり、盛り上がりを見せるファンクラブであったのだ。
──もはや秘密結社でも何でもないではないかっ! 謎である!
『──ほほう。これはこれは……。どうして中々居心地の良い……グッズも販売しておるのか。どれどれ……』
【どっかにすっ飛ばされたエロワ・ド・ヘンタイヌ男爵】
うっ! 頭が痛い! ここは!?
『おい! 新しいのが来たぞ! 手当てを急げ!』
「あー……君たちは一体?」
『く……あんたもついてないな……ここはボボンギャマッチョのハーレム独房』
「な……なんと……」
『手当なんて無駄だ……どうせ俺達は絞り殺される運命なんだ……』
『ああ……ボボンギャマッチョの寝室に連れてかれた男は誰一人として帰ってこない……』
『──ウガウガァァァアア! 早く手当シロ! でねーと俺がお前を食っちまうゾ!』
──オーク!? オークの衛兵か!?
『くっ! 言われなくたって手当てしてるよっ!』
『グ、グスッ……母ちゃん……俺どうなっちまうんだ……』
『おい泣くな! 気を確かに保つんだ!』
──なるほど。
【激戦が続くオークと紅森山軍のディンゴ】
嗚呼なんてこった! 変態男爵がすっ飛ばされちまった!
それを見た騎士たちは、敵に背を見せる不名誉より、ハーレムの一因になる事を恐れたようだ。まるで蜘蛛の子を散らすように逃げ出してしまったのだ!
「再召集のラッパだ! あいつ等! 本当に騎士か!? くそ!」
再召集のラッパが鳴り響く中、ミラ隊と共に俺は馬上から剣を振るう。俺はディンゴだ! オークなんかなんでもねぇ!
現在ミラとジュリアの歩兵旅団がL字になって敵中央歩兵本体を攻撃はしている。だが、あのバランスブレイカーのボボンギャマッチョがジュリアの旅団に近づいてきた!
くそ! まずい! ジュリアは一騎打ちするタイプじゃない!
すると後ろからエリザベスが珍しく叫ぶ!
「あーあー! テステスッ!」
拡声器かよ!
「アリスちゃん! 角笛ー!」
角笛?
するとオークの海をまるでイルカの様に泳いでいたアリスは立ち止まり何かを取り出した。
「──あれは?」
──ブゥゥゥゥゥゥウオオオオオオ!!
アリスが角笛をけたたましく吹き鳴らした! すると、
『──ディンゴォォォォォオオオオオ!!』
「「「────ッッ!?」」」
な! なんと! 地中からカンガルーヘッドが姿を現した!
『ディンゴォォォォオオオ! 久々だなぁぁぁああ!!』
「──お、おう! しばらく見ないうちに随分ひでーナリになっちまったな!」
『あとちょっとで獣神化だからなぁぁぁぁああああ!!』
「おうおう! なんだか凄そうだな!」
あ、アイツ! 生きてたのか!
「──はいはいっ! カンガルーヘッドの相手はあっちっ!」
『ウゥゥゥォォォオオオオ!! メス豚オークぶっ潰す!』
カンガルーヘッドは胸筋を誇示した!
「な! 何なのじゃありゃぁ!?」
ナウススは驚く。
俺が駆け出しのころ。ジェンヌの士官学校へ行く前の話だ。俺はまだ俺位だった『カンガルー人』のあいつは、俺のダンジョン仲間だった。だがいつしかあいつはダンジョンの魔力に囚われ奥へと奥へと…… 気づいたらあいつは居なくなってしまっていた。
そうかアイツ。ダンジョンのボスになっていたのかっ!
『ディンゴォォォオオオオオオ!!』
「あいつあんなに俺の名を叫んで……そんなに強くなった自慢したかったんだな!」
「な! なんじゃ! 意味が分からんのじゃ!」
カンガルーヘッドはオーク共を、叩き潰し打ち払い、踏みつぶしながらボボンギャマッチョの元へ向かう!
と、その時だった!
スカッと晴れた暑苦しい空から巨大なカラスが5匹! カンガルーヘッドへ魔法の弾丸で機銃掃射してきた!
『この稼ぎ! もらったっ!』
──ダダダダダダダッ!
『ヌゥゥゥォォオオオオオ!!』
カンガルーヘッドは一方的にダメージを受けた! くそ! 空の傭兵『レイヴンズ』だ! 想一郎は空を見上げて困惑した!
「空からだって!? どうすれば!」
「ぬぅ! 魔術師支援大隊! 対空砲火なのじゃ!」
「エリザベス! 弓は!?」
「むりー! 届かない!」
しかし対空戦闘なんて殆ど経験のない魔術師の魔法はすべてかわされてしまう!
──だが!
「想一郎! ナウスス! 大丈夫だ! こっちも雇ってある!」
「「なんだって!?」」
ファンタジー世界で空の敵がいないわけがない! 俺は対策に、最近珍しくウッドエルフの国、過激派環境保護団体が派遣し始めた『空の冒険者』──
──『エリノールの鷲』を雇っていたのだ!
俺は魔法の照明弾を頭上へ打ち上げる! すると俺達の頭上を通り過ぎる巨大な影!
──ピーヨヨヨヨヨヨッ!
空へ響き渡るソロンの鳴き声!
『ふふふ。空は私達に任せなさい?』
巨大な鷲の背に乗る、ミステリアスでエキゾチックな美女はそう言ってレイヴンズに向かっていった!
『『『カァー!? またアイツか! 撤退撤退!』』』
「おいマテ! 逃げる気か!」
憤慨するボボンギャマッチョ!
エリノールの鷲はレイヴンズの追跡ついでにオークの群衆へ機銃掃射して行った!
──ガガガガガガガツ!
『『『──ヌォォァアア!』』』
それをミラは見逃さなかった!
「今だっ! 反撃に出る! 押し返せ!」
さらには!
「遅れて申し訳ござらん! 今すぐ参る!」
「あー! いい感じにドッカンドッカンやってるなっ! ヨシッ! 私たちのタマはなんだ!?」
『『『タングステン!』』』
「──チャァァァァジ!」
『『『ヒーハー!』』』
姫園一生隊とソフィア隊が戻った! ヨッシャー! これで乱戦は制した! あとはボボンギャマッチョだけだ!
そしてまたまた更に驚かせることが!
なんと、あのウッキースマイルがボボンギャマッチョの傍で姿を現したのだ!
「──ボボンギャマッチョ様!」
「なんだ!? 今更出てきおってからにッ!」
「それが! 貴方のハーレムにて反乱が!」
「なんだとっ!?」
「テレポートします!」
「まてっ!」
おやおや?
するとボボンギャマッチョが想一郎に巨剣を向け言い放った!
「想一郎!」
「──ッ!?」
「貴様の顔は覚えたゾ! 大したイケメンではないが、なかなか可愛い顔をしているな! アタイは惚れた! 次あった時は必ずアタイのハーレムの一員にして見せるからな! グアッハッハ!」
──ゾゾッ……!
男たち全員に悪寒が走った! そしてボボンギャマッチョはテレポート。残されたオーク達は全力で撤退した……。ノリノリで追撃したのはソフィアだけだった。あとは全員ヘトヘトで追えるだけの力は残っていなかった。だがヘトヘトであっても想一郎は叫んだ!
「勝鬨だッ!」
『『『オオオォォォォォ!!』』』
「コラリー!?」
「え!? アベル!?」
「まさかここで会うなんて!」
「な、何よその子供たち! いつの間にそんなに作って!」
「ち、違うんだ! これは違う!」
「当てつけなの!? もう知らないっ! グスッ」
「ま、まってくれー! コラリィィィ!!」
まぁそれはともかく……。
『エリノールの鷲』は真面目な次回作予定。
夢と自由と青い空。恋愛と空の冒険物でございます。
──多分。




