第七話中 ホリネズミ
ごめんなさい。
第七話上中下で行きます!
書いてたらなんか楽しくなってきちゃって、
長くなってしまいました……!
【オークゴブリン連合と対峙する想一郎】
今回は川での決戦は避けた。おそらく同じ手は通用しないだろう。こちらが待つとわかったら迂回して略奪の限りを尽くすかもしれない。しかも今度こそ策源地破壊までこぎつけたい。それが出来なければ奴らは何度でも攻撃してくるだろう。人的資源に限りあるこちらはそれだけ不利になる。
なので今回は荒廃街道を北に進み、山脈を越える俺達の軍。するとそこは数世紀にもわたって占領され続けた呪われし荒野が広がっていた。この呪われ荒野も、ヴァンパイア領と同様、昔は深い緑の大地だったのだという。
かつては帝国傘下のゴース王国だった地。ドワーフとの交易が盛んであったが、それも寸断され遂に奪還できずこのありさまだ。
それはともかく、オークはゴブリンと手を組んだ。と言う事で、道中奇襲かゲリラ攻撃を受けると予想した。しかし、久々のエリザベス従軍とその優秀な偵察活動。これにより散発的な戦いにもならないと遂に敵軍本体を補足した。
因みに自称俺の妹を名乗るアリスも従軍すると言ってきかなった。彼女は物凄く強いと聞いており、実際俺の領主としての初陣時も盾で無双していた。連戦連勝で士気が高い俺達の軍も、それと相まってやる気満々だ。
『アリスちゃん可愛い! アリスちゃんハァハァ!』
『俺はアリスちゃんの為なら死ねるっ!』
『『『ウェーイ!』』』
……様相も相まってなのか? ま、まぁしかし……頼もしい限りである。
そして三キロほど先でもわかる敵の大軍。立ち昇る陽炎がまるでオークの熱気を伝えるようだ。まだ詳細はわからないが、接敵する前に少しでも数を減らしたいところ。なのでこの辺で陣を構え砲撃を開始する。
「想一郎! また新開発魔法なのじゃ! その名も『1000tTNT』ッ!」
「おおっ! なんか強そうだな! ガハハ!」
「まぁ一発限りじゃかがのう……カッカッカ!」
ディンゴは相も変わらず尻尾をブルンブルンさせ興奮する。その尻尾が馬をペチペチ叩き馬の表情には哀愁がにじみ出ている。
そして魔術師支援大隊の魔力を一点に、ナウススが爆裂魔法を詠唱する。するとどうだろう? 敵陣のど真ん中に巨大な爆炎が静かに立ち昇る。
これは凄い!
大気中に発散される衝撃波が目で見てはっきりだ! しかも荒野の土煙がそこから同心円状に広がって行くじゃないか!
なのに妙に静かだ……!
それもそのはず、爆音がこちらに届いたのはその約9秒後だったからだ!
──ダァァァァァァァァァッァァアアアアアアアンンッッッッ!
皆、声を上げる間もなく突然の爆轟に身をすくめた! ディンゴを乗せていた馬も驚き転倒するほどだった!
「「「うぉっ! すげぇ~!」」」
『『『──ウェーイ!!』』』
この威力……。敵軍は全滅じゃないかと思ったが……
──甘かった。
敵は学習していたのだ……!
ここから約1キロほど。何故か、地面からゴブリンが顔を出す。俺はハッとした! 次には一気に地下壕らしき隠し扉は開け放たれ、モリモリ敵軍が露になったのだ!
「なっ!? なっ!? 砲撃をやり過ごされたのじゃかっ!?」
「なんてこったっ!」
驚きを隠せない首脳。
「チッ! ホリネズミ共が……ッ!」
「あの大軍はダミーだったのかー……見破れなかったー……」
双眼鏡を覗きながら悪態をつくソフィア。そしてエリザベスは悔しそうに唇を噛んだ。
ゴブリンはやはり狡猾だ。
俺達に奇襲を臭わせそちらに気を取らせる。そして遂に地下壕の存在を隠蔽しきったのだ! だがアリスに動揺は無く、その凛としたジト目で俺に進言した。
「お兄ちゃん! いい陣形があるよっ! 試してみない?」
俺は直ぐに軍議を開始した! 不幸中の幸いにも、敵はダミーの様な大軍ではなく、こちらと同数程度ではあった。
そこでアリスの作戦。それは至って単純だった。
第一騎兵連隊辺境騎士団の後方に、ジュリアの第二歩兵旅団レギオーナーリウスを配置するだけというものだった。
「シンプルじゃが大胆じゃのう……」
「ガハハ! おもしろい!」
「それだけで良いのか?」
「うんっ! これがスパルタ式!」
「なるほど~! つまり馬に隠れて歩兵を迂回させるって……だいた~ん! でも中央歩兵は戦列維持できる~?」
「失礼なジュリア。我が第一歩兵旅団アイゼンシュティッグは必ずや防ぎきって見せる!」
「おおっあっぱれっ! ミラ殿! なかなかのやる気でござるな!」
「魔術師騎兵中隊でミラと姫園一生の援護は任せろ!」
「かたじけないソフィア殿!」
「あー……私は後ろから弓でも撃ってるわープフフ」
「──愛! 愛があればなんとかなる! 第一騎兵連隊は騎士の誇りにて必ず突破して見せよう!」
「「「──エロワ・ド・ヘンタイヌ男爵!」」」
(※男爵の登場シーンはいくつかありましたが、カットしました!)
(プフフ)
軍議は直ぐに終わりを告げる。
敵オークゴブリン連合軍は砲撃の次弾が来る前に決着をつけるべく、前進を開始したのだ! ジュリアは速やかにミラの後方を回って俺達右翼に位置する辺境騎士団の後方に付いた。
準備は整った! こちらも打って出る!
敵もこちら同様、両翼に騎兵を従える。これは槌と鉄床戦術と呼ばれ、中央歩兵同士がぶつかり合う中、両翼を騎兵が突破して包囲殲滅する戦術用の陣形だ。士官学校でなら必ず習う基本戦術である。バターゴブリンを最初打ち破った時がそれに該当するだろう。
スパルタ式?
俺には何のことかわからないのだが、アリスの提案した戦術はそれを逆手に取った戦術かもしれない。本来の槌と鉄床戦術は、必ずしも騎兵が両翼を突破できるとは限らない。しかしこのやり方なら、それを確かにした上で歩兵による挟み撃ちに持っていけるかもしれない。
しかし気がかりなのはやはり中央。その分手薄になるからだ。なので成功のカギは迅速さかもしれない。
もってくれよミラ! そして俺達は作戦通りに行動した。
──かに見えた。
両翼突撃開始もそろそろかという段階で、左翼援護だったヤンキー共を率いるソフィアは、敵右翼へ全力疾走してしまったのだ! ディンゴは叫ぶ!
「おいっ! なんで!? あいつ!」
しかし俺は陣形維持の信号ラッパを制止した。
「いや、何か策があるのだろう」
俺は信じる。
すると彼女の隊は敵右翼へ正面突撃しようとしたが、敵前で進路変更。そのまま迎撃に出た敵右翼騎兵の眼前を全力で疾走しながら攻撃魔法を放ったのだ!
敵右翼騎兵の損害は軽微だったが、オークは激昂したらしく追跡を開始。ソフィアは一個中隊で、敵騎兵連隊規模を戦場から引き剥がしたのだった!
俺達左翼の姫園一生の判断は……
──敵右翼騎兵を追っていった。
ディンゴはまたも叫ぶ!
「おいおいっ! こっちの左翼ががら空きじゃねーか!」
「魔術銃剣中隊を当てるのじゃ! 砲兵中隊はしばらくうてん! それに随伴して近接魔法で戦力補強じゃ!」
そして俺達右翼は突撃を開始。
ファンセイヌの誇る騎士たちの正面突撃はとてつもない衝撃力だ。それにジュリアが乱戦を制するべく追随する! 頼んだぞ!
エリザベス隊は射撃を開始。
彼女の隊の放つ矢はまるで槍の様だ。フライパン程度なら貫通できるほどの威力で敵中央戦列を乱す! そこへミラの鉄薔薇が薄くではあるがまるで鉄の壁の様に迫った!
だがオークは重かった!
重装してもなおオーク歩兵の圧迫にジリジリ押されるミラ隊。俺やディンゴも剣を抜き、参戦するがなかなか手ごわい! だが、そんなオーク歩兵ひしめく敵陣からまるで水飛沫でもあげるかの様にオークが飛んだ。さっきまで俺の隣にいたはずのアリスがそこにいたのだ! あのオークが……あのオークが、まるでクジラが潮を吹いた様に、
──上へ飛んで行く!
「「「──な、なんじゃありゃあ!?」」」
俺達は戦いながらアリスの無双に動揺した! お蔭か、ミラ隊は体制を整え踏ん張った! そしてその後、辺境騎士団は遂に敵左翼を突破! 敗残兵をジュリアに任せて敵後方に回る! だがそこに待ち構えていたのは、
──敵軍総大将、オークレディー・ボボンギャマッチョだった!
馬にまたがった騎士でさえも、小さく見える巨体! しかも彼女の持つ巨剣は肉厚で武骨な超重兵器だった! 彼女がその剣の峰で払うと、
第一騎兵連隊の騎士達10人以上が馬ごと跳ね飛ばされた!
『『『──ウワァァアァァア!?』』』
「フンガァァァァア! お前達全員後で私のハーレムに加えてやるから待っていろ!」
動揺する第一騎兵連隊! すると援護か、エリザベス隊の無数の矢がボボンギャマッチョを襲う!
──だが全弾謎のバリアで弾かれた!
「えー……!?」
落胆するエリザベス。そしてディンゴとナウススが叫ぶ!
「想一郎! あの巨剣はユニーク武器だ! オーククイーンのマンスオブザ・ハーレム!」
「なんじゃと!? じゃあれが伝説の武器!? 想一郎! あれは遠隔攻撃100%無効! 近接攻撃98%カットのバランスぶっ壊れ武器じゃ!」
「──なんだってぇ!?」
「しかし……オークのメスとて女っ! 愛があれば! トゥッ!」
「やめろ! エロワ・ド・変態男爵! 第一騎兵連隊撤退だ!」
──カッキーン!
エロワ・ド・ヘンタイヌ男爵は星となった……!
「「「──ああっ!」」」
第一騎兵連隊は総崩れとなったしまった!
『悪役令嬢と恋愛』に関して、何か良い映画か何か無いか探していた作者。
今までなんとなく敬遠していた『風と共に去りぬ』という映画を思い立つ。
トランプ大統領も最近ネタにしていた事だし参考に見てみたのだが……
『まじか……』が口癖になった……。
色んな意味であれヤバいですね……マジおすすめ!




