表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン辺境伯爵と公爵令嬢  作者: もやい
第二章
45/97

第五話 オーク侵攻とヴァンパイア

【想一郎二世の容態を確認に戻る俺、ルーカス・フォン・シュワルツファウ】


 ルーカス・フォン・シュワルツファウ伯爵は去った。ただ、去り際にオンドレアに“一言”残していった。


「サキュパスを送ってきたのは、状況証拠からして、北西のサングイア・フォン・ミューヘ女公爵だろう。我が領土を奪い、主を殺したヴァンパイア……! 待っていろ! サングイア! ──トウッ!」


「──“一言”じゃねーし。プフフ」

「“トウッ”とか言ってその場でジャンプ。何がしたいのか? 謎である」

「お姉ちゃん。この人、去ってもいないね」

「あらあらぁ~?」


「──う、うるせッ!」


 想一郎二世はそろそろ目を覚ますであろう。しかし、オンドレアは彼を愛の力で起こそうと──


 ──キスしようとした!


 しかし案の定、直前で目を覚ました想一郎二世はオンドレアを押しのけて寝ていたナウススへ、


「オークはどうなった!?」


 そして答える。


「──ん、んあ? のじゃか?」


 寝ぼけていたナウススの代わりにエリザベスが答えた……。


「私の部下によれば確実にこちらへ来ているようですー」


「こうしちゃいられない! 出陣だ!」



【目を覚ました想一郎】


 ──ひどい悪夢を見た!


 俺はどうやらサキュパスに襲われていたらしい。だが彼女等と一人の奇特な人に救われた俺。そこへディンゴがやってきて言った。


「想一郎! 目を覚ましたのか! しかしネイ公爵閣下が来たぞっ!」


「「「なんだって!?」」」


「バーン! ハッハッハ! 想一郎! 目を覚ましたのか! それは良かった! ──しかし、うちの娘に手を出した事は見逃せんぞ!」


 公爵は来るなり謎の迫力であることない事脅迫してきた。彼は今では三公爵領を持つ王国一の封臣。貫禄がハンパない! オークの事も気がかりだし内戦は避けねばならないが……。


「想一郎! 責任を取ってもらうぞ! オンドレアと結婚せよ!」


「「「──ッ!?」」」


 残念なことに俺は断り切れなかった。ネイ公爵閣下はご満悦で自領へ帰っていった。しかし次には反ネイ勢力の根回しによりフィリップ王太子殿下を介して勅令。婚約にとどまった俺。だが少なくともオンドレアお嬢様は大喜びだった。


「想一郎様ぁぁぁぁああああ!!」


 とりあえず彼女は軟禁しておいて、それよりオークが来る! 俺は直ぐに出陣。物見によれば敵はボボンギャマッチョ率いるテリヤキオーク軍と言うらしい。


 それよりオークは強い! しかもこちらの倍以上の数を有しておりこちらは不利だ。だが実直すぎるので策に弱いかもしれない。その為俺達は地の利を生かすべく川を挟んで対陣。さすがのオークも様子を見てくる。


 ──その隙に川を利用して切り出した木材を輸送、即席の砦を建ててしまう。


 だがオークに動きはない。ではソフィア大佐率いる魔術師支援大隊の出番だ!


『ライトニング雷電ストライク!』

『ヘイル雹ストーム嵐!』

『ドラゴン渦巻くトルネード!』


 新開発された遠距離集団攻撃魔法の数々。相手は打って出てこないので魔力の回復時間を贅沢に使える。圧倒的数だったオーク軍を削り出した俺達。


 次いで姫園一生が名乗り出て挑発、一騎討、何匹か打ち取ると我慢の限界に達したテリヤキオーク軍は敢えて落としていなかった橋へ殺到。渡河を開始した!


 ──兵法によれば“半分渡河を終えた時に襲え”とある。


 半分しか渡河していないので十分な対応が出来ない。橋や浅瀬等の限られた経路は混雑を極め身動き取れない。撤退者が出ようものならその渡河点の行きと帰りで深刻な混乱をしやすくなる。


 ──そして即席の砦は囮。そして強襲。


 橋から少し距離を置いて作られた砦に一直線に向かうテリヤキオーク軍団。警戒して部隊は配置していたもののほとんどがら空きの側面をこちらの騎兵に晒した。それに歩兵を詰めて半包囲を形成すると退路の橋から戦線までオークでひしめく形となった。


 ──そこで魔術師の砲撃である。


 布陣してばらけていた時と違い、オークは渡河点に殺到したために絶大な効果が発揮された。その中、敵の前線指揮をしていたムスケルバッキーがミラ・ワーグナーに打ち取られるとオークはいよいよもって戦線崩壊。


 ──包囲を詰めたわが軍によって容易なレベル上げの場と化した。


 敵大将ボボンギャマッチョは苦笑し、味方がまだ少し残っているのにもかかわらず橋を落として撤退した。


 ──勝利!


 それであっても激戦であった。しかし軍は勝利にお祭り状態となった。俺もワインを片手にジュリアの作ったラザニアを頬張る。


 ──うまい!


 敵は戦力の半数を失った。これはチャンス。追撃して敵策源地破壊だ! ……だが熱意もつかの間、俺の元に凶報が届く。


『──オンドレアお嬢様、バンパイア領へ行ってしまいました!』


「「「──な、なんだって!?」」」



【ヴァンパイア領へ侵入したオンドレア一行のアリス】


「あー私、何でここにいるんだろう……プフフ」


 エリザベスさんはお兄ちゃんの命でオンドレアお姉ちゃんのお守役になっていた。だけどお姉ちゃんはまたサキュパスをお兄ちゃんにけしかけられては堪らないと軟禁を脱出。サングイア・フォン・ミューヘ女公爵を叩き潰すべくヴァンパイア領へ侵入した。


 私も賛成したし、エリザベスさんも何気にノリノリ。そしてロスタさんは“研究”を言い訳について来ちゃった。ルーカス・フォン・シュワルツファウ伯爵様は気になる事があると別行動。


「まったくもって無謀であるし、想一郎殿に叱られるのは必至であるが、何故にこのような暴挙に出るのか……謎である……」


「当たり前じゃないロスタ! 想一郎様の貞操は絶対に死守しなくてはならないのよ! 想一郎様の童貞は私の処女と共に卒業するべきなのよッ! サキュパスのビッチをまた送り込まれたら堪らないわ! 出元を叩くわよ! オ~ホッホッホ!」


(うわ~お姉ちゃん。また凄いこと言ってる)

(プフフ)


 ──しかしヴァンパイア領はホラー映画だった。


 うっかり浅瀬に足を踏み込むものなら無数の手に掴まれて引き込まれる。全力疾走してくるゾンビ達に、メソメソ泣きながら睡眠を邪魔してくるお化け。


 ──大体オンドレアお姉ちゃんが原因を作って襲ってきた。


 だけどロスタさんの炎のエンチャントで難をしのぐ私達。遂にミューヘ女公爵の居城一歩手前までやって来た。だけどここまで来ると今までと違った。


 ──アンデッド一個軍団に包囲されちゃった。


 私一人だけならもしかしたら何とかなったかもしれない。けど、誰かを守りながら戦うのは大変。


「ハァーッ! 『ファイアーフレイムイグニス焔』──ッ!」

(全部“炎”って意味じゃん! プフフ)


 ロスタさんの魔法。ナウスス様から教えてもらったと言う炎魔法は敵を包む。しかしもりもり現れる新たなアンデッド達に私たちはだんだんむきになってくる。すると突然現れた総大将らしき女性に隙を突かれてしまう。


「アーハッハッハ! この子がオンドレアね。確保しましたわ!」

「ちょ、ちょっと放しなさいよ! 腋臭がくっさいのよっ!」

「あら? 死臭がしてたかしら? でも甘美ではなくて? アーハッハッハ!」

(プフフ。あーまたなんか現れたー。こいつは女公爵じゃないわねー)


 お姉ちゃん捕まっちゃったっ! するとまた新たに今度は男性がっ!


「フハハハハハッ! やった! これはまさに棚から牡丹餅! クンカクンカ! アデーレェェ!」

(うわっ! アルベルト・フォン・“元”ウィース公爵!? ここに逃げてたのかープフフ!)


 確実に復讐に気狂いした感じの顔。パンツ嗅ぎながら喋ってるっ! こわいっ! するとスケルトンがどうやって喋っているのか伝令。


『カクカクッ! ダークエルフのネクロマンサーにして、公爵閣下の右腕、そしてミューヘ軍大将のセンアハトゥ・エミグレーベン様! 想一郎の軍勢がこちらに向かっているとの事です! カクカクカッ!』

(プフフ。人物説明乙ーッ!)


「ふむふむぅ~? これがオンドレア効果ってやつかしらね~?」

(オンドレア効果!? 一体何のことだ!? 謎である!)


「──そんなのどうでもいい! 仇を取らせてもらう!」


「──だめよ? この子は大事な捕虜(サンプル)ですからねぇ~? アーハッハッハ!」


「うるさい! 殺してッ──! う、うぐ!? 動けない!」

「だめよ? 力は増強させてあげるけど、私の指揮下に入りなさい?」

「くっ! 必ず仇を取らせろよ!」

「そう急がないのっ。童貞さん? アーハッハッハ!」


「ん~ッ! またビッチですのぉ~!? どんだけビッチばかりなのよっ! ムキーッ!」

(お姉ちゃん……)

(アリスっ! 私の魔力も底をつきそうだ……どうする!?)

(プフフ。困ったなー。どうしよっかなー……)


 私は少し考えると手に持っていた槍と鈍器(たて)を地面へ捨てた。


「──降伏しまーすっ!」



「「「──えぇ~!?」」」

 勝手にオークあるある


 オーク社会は腕力の強い奴が上へのし上がる。その為すぐ喧嘩が始まり被害も甚大だった。このままではいかんとオークのリーダーは、


 筋肉コンテストで序列を決めようとした。


「オレの方がパワーが上だ!」

「いや! オレの方が上だ!」


 結局また喧嘩が始まった。リーダーは次にポーカーを試した。


「イカサマだ!」

「いや! オマエがイカサマだ!」


 また喧嘩。いい加減我慢の限界に達したリーダーは、



 ──結局全員喧嘩で叩きのめした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ