第二話Bの4 バグ
クローイと言われたドワーフの受付嬢は嫌な顔をして何か言っているけども、私は、
「さ! 何をぼさっとしているのかしら? クローイ? 私は急いでいるの! さっさと登録を済ませなさい! でないと、お父様に言いつけて農奴にするわよ!」
「あ、あ、あ! はい~! 畏まりました~。では、このパネルに手を載せてください~!」
彼女が差し出したのは、アニメの女性が“ハイタッチ!“と言って描かれている下敷きの様なパネルで、しかも少し汚れてて私は若干イラっとした。
「ふ、ふぅ~ん……随分汚らしいですわね……」
「は、はい~千年以上も前から使われているので~……」
「そう」
まぁいいわ! 私は掌をアニメの柄に合わせて置く。
──ピコンピコーン!
パネルは、妙な効果音と共に光りだす!
『貴方のレベルは“2”なんだね! 最底辺では無いけど、殆んど最底辺だよね! もっと頑張れよ! オイッ! 私は応援してるゼッ! ──ヒュッ!』
「……な、なんですの!? このパネル……! 私に喧嘩売っているのかしら!? それに最後の『ヒュッ』って何なのよ! クローイ!?」
「あは、あはははは~……すみません~。普通はレベル“1”からなので~、最初から“2”なのは凄い事なんですよぉ~! 貴族様だからなのかなぁ~? 凄いです~! あはは~……」
「あらぁ~? そうなの? ま、当然よね! なんてったって私は、ファンセイヌ王国建国から続く、由緒正しい歴史ある国王直参にして、王国大元帥であるお父様、アンドレ・ド・ネイ公爵の麗しき次女で、誰もが羨む聡明にして天才、唯一無二の絶世の美女! そうそれが私」
──バーン!
「オンドレア、普通の冒険者なのだから! オ~ホッホッホ!」
(あはは……)
クローイがビビッていますわぁ~!
「んじゃ、次、私……」
アリスちゃんが掌を上げる。
「あら~可愛いお嬢様~? 残念ですが~、当ギルドは年齢制限があります~。登録は16歳からなのです~」
(む……)
アリスちゃんはむすっとして無理やり掌をパネルの上に置いた!
「申し訳ありませんが~、敵性年齢に達していないとパネルは反応しな──」
──ピコンピコーン!
パネルは輝いた!
「あ、いけた……」
アリスちゃんがそう呟くと、
『貴方のレベルは“10億飛んで369”──ッ!! 年齢制限云々以前に貴方は一体何者!? 天使? メシア? それとも本場もんの神なのですかっ!? ──ふ、ふ~ん? べ、別に! そもそもこのレベルってなんなのさ! 正直強さとかそう言う指標でもなんでもないんだからねっ! 私が勝手に始めた遊びなんだからねっ! このステータス丸見え登録パネルの歴史、1565年で初の快挙だけども、この値はぶち抜けて前代未聞なので、これは、そう“バグ”だね! バグバグ! あは、あはは、アハハハハバババババ──!』
「壊れちゃった……」
アリスちゃんは少し残念そうに呟く。
「あはは~……登録できちゃいましたね~……。人は見かけによらない~……? えっと~ステータスを見ると~……。あ、大丈夫です~! こっちでは正常に登録できてるので大丈夫ですよ~。バグでしたね! レベルも正常値です~!」
(でも、ステータスが前代未聞すぎるのですが~……)
「──て、ああ~どおりで~……。ナウスス様の特例処置だったんですねぇ~。なるほど~、納得です~! あ~驚いた~!」
「ちょっと! クローイ! なに一人で勝手に自己完結してるのよ! ステータス? そんな物があるのなら私達にも見せなさいよ! 気になるじゃない! もう!」
──ワクワク!
『姫ぇ!』
──パチンッ!
「どうした!」
──パチンッ!
『冒険者ギルドのあのパネルは何なのでござりまするか?』
──パチンッ!
「おお~あれか。あれはな、時を遡って1600年以上前、第二次大航海時代、キャプテンバレルとかいう海賊なのか交易商なのかよくわからん奴が、冒険者ギルドを創始した際に作った生意気なアホAIパネルらしいぞ!」
──パチンッ!
『おお! アホAIにござりまするか!』
──パチンッ!
「因みにキャプテンバレルの船はバレルストライクと言うらしい」
──パチンッ!
『た、樽の逆襲? 何ゆえに樽なのでござりまするか……?』
──パチンッ!
「──知らん!」
──パチンッ!
『で、ありまするか……。と、姫ぇ! ハッハッハ! 王手飛車取りにござりまする……!』
「なっ! ちょっ! 図ったな!」




