第二話Bの3 丸投げ
と、言うわけで、私はジェンヌに付くと、まず街で最高級なホテルをお父様の威信でワンフロアーごと貸しきりにし、そして、早速阿婆擦れビッチ・アデーレを叩き潰す聖戦をする為、冒険者ギルドへやってきたのでありますわぁ!
「なんて安っぽくてチープなドアなのかしら! こういうのは蹴破るのが一番よ!」
(※冒険者ギルドのドアは普通のドアです)
私は忌々しい冒険者ギルドのドアを蹴破る!
──ズボッ!
ドアは開かず、ドアの薄い所を貫通する私の足!
「──あっ!」
──メキョメキョ! スポッ!
なっ!? ちょ! 私は焦って抜くのに苦労しましたわ!
「な、生意気ですわ! 安物のドアの癖に! 何処まで安物なのかしら!」
(お姉ちゃん顔真っ赤。普通に開けようよ……)
(プフフ……と言うかこれ、引き戸じゃない?)
案内役のエリザベスはまたイラっとする笑いをし、アリスちゃんは盾で冒険者ギルドのドアを破壊した!
──バチゴーン!
「え……?」
『『『おわぁぁ!? な、なんだなんだ!?』』』
唖然とするエリザベスと慌てふためく冒険者共!
「よくやったわ! アリスちゃん! こういうドアは普通に蹴破る為にあるのよ!」
「うん。お姉ちゃん。ドアもう壊れちゃったから、新しいの付け易くするため粉砕しといた」
(……いや、そもそも蹴破ってないし、普通に開けてもいないんだけどープフフ)
エリザベスが何か言っている。まぁとにかく私は貴族らしく威風堂々と中へ入ると、全員が私の美貌に釘付けとなった! 私はそんな下々の者に礼儀正しく挨拶をする。
「ごぎげんよう! 下々の皆様! 私は通りかかりの由緒正しい普通の冒険者で、普通に冒険者になりに来てやったわ! ありがたく思いなさい! さあ! さっさと登録を済ませて、さっさとダンジョンへ案内して頂戴! ──これは命令よ!」
ドワーフの受付譲が困った顔で、
「は、はぁ~……」
(うわぁ~……ドアを破壊して入ってくるとかどう見ても普通じゃないです~……)
そして冒険者共がざわつく。
(うわ! なんだあいつ!)
(でた! 貴族だ! また来たのかよ……。ホント迷惑……)
(あぁ、もう堪忍してーや……巻き込まれるの嫌やわ~……)
(また貴族様の道楽か……嫌な予感しかしないな……!)
(おい! 隙を見てシレッと裏口から逃げるぞ!)
(((そうしよう!)))
ふふ~ん! 皆、絶世の美女に圧倒されているようね! 恋する乙女は無敵の美しさなのよ!
「さ! 何をボケッとしているのかしら! ドワーフの受付嬢? さっさと登録を済ませなさい!」
(あらぁ? おかしいわね。ドワーフって女性も髭を生やしていると聞いたのだけれど)
すると恐れ多くも気の抜ける様な喋り方で受付嬢は言う!
「あ、あの~……すみません~……。ドア、弁償していただけるのでしょうか~?」
「あらぁ~? 無礼ね。そんなこと気になさっているのかしらぁ? 風通しがよくなって良かったじゃない!」
──バーン!
「──オーホッホッホ!」
「…………」
「それにまったく問題ないわ! 私の父に言って一流の職人を募り、超最高級のガルウィングなドアを設置してあげますわよ!」
(※ガルウィングドアとは、高級スポーツカーのような、上下に開閉するドアの事である)
「コラリー? 分かってるわね!」
…………。
「──あ! コラリーは最高級ホテルの気に入らない部分の内装を、私好みのイチゴ柄にすよう言って残してきたんだったわ……! いけない、いけない! 私ったら! てへぺろっ!」
……エリザベスがニヤッとして言う。
「プフ、プフフ……。じゃあお嬢様、私めが手配しときますねー」
「あら~! 気が利くじゃない! 田舎エルフの癖に!」
するとエリザベスは受付嬢の肩を叩いて、
「じゃ、クローイ? 後は任せたわよー。私はアレサの所へちょっと行って来るからねー」
と、そう言って二階へ行ってしまった。
(う、うわぁ~私一人でこの人相手にするの~……?)
「ガルウィングドア取り付けに参りました!」
「あら~はやいですね~?」
「では取り付け──」
「──あっ! まって!」
「え?」
「どうせなら~破壊されにくいドアがいいですぅ~!」
「破壊されにくい……?」
「はい~!」
「う~ん。では鉄城門ではどうでしょう!」
「やっぱふつ~のでいいですぅぅう!」




