第二話Aの3 戦場の音
「──ぬぉぉ!」
──カヒューン!
俺は何とか二本をかわし最後の一本を剣で弾くと、
『グヘッヘッーーーー!』
今度は飛び掛ってくる黒い影!
──ガッキーン!
俺は声の主と思われる二刀流のゴブリンと鍔迫り合いになった!
『グヘヘヘ! 前回は邪魔が入ったが、今回はピンポイントで貴様を倒せる! 貴様を倒せば我々に勝機あり! グヘヘヘ! 一騎打ちだッキィィィーッ!』
コイツが父と何度も戦ったウッキースマイルか! するとウッキースマイルは俺を足蹴にして飛び去り間合いを取る! 俺は蹴られた勢いで落馬してしまうが体勢を立て直し言い放つ!
「くっ! いいだろう! 受けて立とう! だが、俺を倒せば勝機? ハハハ! それはこっちも条件は同じだ! それに俺を倒せた所で俺の仲間はちょっとやそっとでは負けないぞ!」
するとディンゴが、
「想一郎! 挑発に乗るな! ゴブリンが真面目に一騎打ちなんぞするわけ無いだろ!」
と、そう言うと馬を走らせ加勢しようとする! が、立ちはだかる巨大な影!
『お前の相手はおれだぁぁぁぁああ!』
──ブオンッ!
巨大な斧がディンゴの鼻先を掠め、ディンゴは落馬してしまう!
「──ぬおぁっ!」
巨大な戦斧を振り回すのは、
「──ぬぉっ! ウェアウルフだとぉ!?」
『フハハハハ! ウェアウルフが珍しいか? 俺はウルフタロウ! お前の相手はおれだぁぁぁぁぁああ!』
──ブオンッブオンッ!
危なげになんとかかわすディンゴ!
「──ぬぅ! ウルフタロウ! なんとも噛ませ犬な名だ!」
『ぐぬぬう! 気にしている事をぉぉ!』
──ブオンッブオンッガチィッ!
ディンゴがトゥーハンディッドジェネラルソードで巨大な戦斧を受け止め鍔迫り合う!
「「グヌヌヌヌヌッ!」」
犬科同士が、いきり戦っている!
『グヘヘヘヘヘ! 想一郎ぉぉぉ! ちょっと空気読んで余所見を許していたが、いい加減こっちをみろぉぉぉ!』
「──はっ!」
ウッキースマイルが襲い掛かって来る! 上と下! 右と左! ありとあらゆる方向から斬撃が繰り出される!
──シュッ、カキン!
──くっ! 剣一本では捌ききれない! 俺は隙を見て力いっぱいウッキースマイルを強引に吹き飛ばすと、背中に背負っていた盾を左手に持つ!
──ガチャコ!
『盾ぇぇぇ!? グヘヘヘヘハハハ! 今日日、盾なんぞ流行るかぁぁ! グハハハハ!』
大笑いするウッキースマイル!
「──そんなことは無いっ!」
俺はあの時、遠めで見てハッとしたんだ! オンドレアお嬢様と共に居た少女が盾だけでゴブリンを叩きのめしたのを! そう! 盾だって立派な武器となりうるのだ!
「そっちが二刀流なら、俺も盾と剣で二刀流だ!」
『ウキャキャキャキャ! 盾と剣で二刀流!? 馬鹿かお前ぇぇぇぇ!』
──真正面から来る!
し、しかし! 守る盾が死角で奴が見えない……! しま──
『グハハ! ばかめぇぇぇ! 盾で守れば、それは死角となるのダァァァ!』
──上から!?
わざわざ解説してくれたので居場所が分かった! 奴は盾の死角から突然上に飛び出してきたのだ! そうか! なるほど! この場合はっ! 俺の頭の上に電球が光るっ!
──ピロピロリンッ!
「──盾アッパーッッ!」
──ブッ、クゥゥッッッ!
奴の腹を捕らえた!
『──ウプッ、アッッ!』
──ズザザーッ!
吹き飛ばされるが距離を置いて着地するウッキースマイル。致命傷ではないが確実にダメージを与えた!
『く……。グフ、グフハハハハ! なかなかリバーに来る一撃だった……! だがそう、もちろん奥の手ありだ想一郎! 『インビジブル透明ゴブリン!』──ッ!』
──シュッ!
「と、突然消えた……!?」
『グヘヘヘ……! グハハハ……! 何処にいるかなぁ~……?』
俺は回りを見るがどれも乱戦しか見えない! くそっ! 奴は何処だ!? これは姿を消す魔法か何かか!? こ、こういう時は音で! そうだ! 音で奴を探す!
『『『ウゥオォォォアァァァ!!!』』』
──ドッゴーン! ドッゴーン!
ぬぉぉぉぉぉ! 雑音だらけでわからないぃぃ!
──ザシュッ!
「グハァァァッ!」
「おいディンゴ! 骨だ!」
──ピュー!
「うぉぉぉおお! 骨ぇぇぇぇ!」
──ピュー!
「さすがは想一郎じゃ。犬の扱いなかなか手馴れておるようじゃ!」
「犬人族を犬扱いするのはやはり人種差別になるのだろうか……?」
「う~ん……それが想一郎。調べると、イヌ科イヌ下目イヌ亜目と遡ると……」
「ん?」
「ディンゴはどうやらネコ目に属するらしい……」
「な、なんだってぇ!? えぇ? じゃあ猫扱いしないといけないのか!?」
「──人扱いしろぉぉぉぉぉおぉぉおお‼」




