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ダンジョン辺境伯爵と公爵令嬢  作者: もやい
第一章
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第二話Aの2 マイナス1兆℃

「ん? 想一郎……? ──は! そうじゃ! これは!」


 ナウススはすぐに俺の危惧する所を察し、ディンゴが部下へ命令する!


「おい伝令! 各部隊長に伝えろ! 全方位警戒態勢! 部隊毎に密集方陣隊形を組めと! 早く!」


『え?』


 いきなりで困惑する伝令。


「おい! 早く! 急げ! 何してるっ!」


 ディンゴが伝令を急かす!


『か、畏まりました!』


 伝令は事態に気づいたのか急いで駆け出す!


『……グヘヘヘヘ! ばれてしまっては仕方がない!』


 何処からとも無く謎の笑い声! そしてそれは叫ぶ!


『──ウッキーッッッ!』


『『『ギャアギャアァァァ!』』』


 山道の側面の森の奥からけたたましくゴブリン軍団の叫び声が! ナウススが唇を噛む。


「くぬぅ! ワシとした事が! 失念しておったわ! ──フヌヌヌ! 『ミサイルアロー飛び道具レジスタンス』────ッ!」


 ナウススが魔法の障壁を全軍の周りに張り巡らす! と、同時に側面の森から放たれた無数の毒矢が力なく落ちてゆく! ディンゴが感心した様子で、


「うぉぉ! ナウスス! 神タイミングだな!」

「ふんぬ! こういう時の第一撃は飛び道具と相場が決まっておるのじゃわい!」


 しかしゴブリンは第二撃を用意していた! 俺は叫ぶ!


「あ、あれは? 着火した玉!? 斜面を利用して転がしてきたぞ! ナウスス!」

「ぬぅ! ワシの氷魔法に水は必要ない! 空気自体を凍らせるからのう! ハゥゥゥゥ! 『冷凍コールドエアー空気バレット』────ッッ!」


 凍らせた空気の弾丸を、燃えながら転がり落ちてくる玉に向かって放ち迎撃した!


 ──ドゴーン!


 凍らせた空気が着弾すると、爆発を起したみたいに一気に気化する! すると燃えた玉は鎮火するどころか吹き飛んだ! ディンゴが叫ぶ!


「うお! 何だ! その魔法! 氷なのに白く爆発したぞ! 仕組みは良くわからんがすげぇ! マイナス1兆℃位なのか!?」


 ナウススが突っ込む!


「たわけ! そんな温度ありえんわい! マイナス220℃位じゃ! 義務教育からやり直せい! それに爆発したのは、奪った熱エネルギーが着弾と同時に一瞬で戻っているからじゃ!」


「──ッ??? ……ガハハ! よくわからんが! ──よし! 敵さんからわざわざ時間稼ぎしてくれたお陰で各部隊の方陣隊形は完成したぞ! バカめ! さぁ、いつでもかかってきやがれ!」


『『『ギョャァァァァァアアア!』』』


「──来たか!」


 俺は愛剣“鋼抜(こうぬき)真銀(しんぎん)樋黄昏乃(といたそがれの)長剣(ちょうけん)”を抜き放つ!


 ──シャッキーン!


 一気にゴブリンの群れが津波のように押し寄せる! そして全軍は一斉に戦闘状態へと突入した! すると何処からとも無くゴブリンなのに野太い声が!


『──グヘヘヘヘ! 貴様が輝彦三世の息子、紅森山想一郎二世だな!』


「何奴!」


『グヘヘヘヘ! 我が名は、ウッキーーーッッスマァァァイルッ! ──ぐへへ! バターゴブリン軍総帥にしてトリックアタッカーゴブリン! グハハハハ!』


 するとディンゴが叫ぶ!


「想一郎!」


 俺は声の方を見ると迫る投げナイフ三連発!


「空気中の水分にはやはり限りがあるのじゃ! ならば大気自体を凍らせればよいのじゃ!」

「ふーん」


 ──ずるずる~!


「大気の酸素や窒素が凍るのは大体マイナス220℃くらいなのじゃ!」

「へー」


 ──ずるずるずる~!


「しかしそれだと魔力消費がやばいのじゃ! だから”空売り”で熱を奪って”買い戻し”で熱を戻せば魔法消費効率が良くなり、よりデカい上級魔法も可能になるのじゃあ!」

「あっそぉ~?」


 ──は~ふ~は~ふ~!


「ぬぬぬぬ! 奪え熱量! 『フローズン瞬間冷凍ゲフォーレン』────ッッ!」


 ──ガチチーンッ!


「──あぁぁぁあぁあ!? 俺のラーメンがぁぁぁあ!」


「そして熱量は……戻りだすっ!」


 ──ちゅどーん!


「あぁぁぁぁああ!」

「しかし加減は難しいのぅ……」


「ぎゃぁぁぁあああぁあ! 元に戻んねーじゃねーかよぉぉぉお!」

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