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mission1 捜索願い(2)

見直しはゲームを作る時にします(え?


2025/05/23 20:33



 2度ほどノックがあって。

 俺はめんどくさそうにドアを開けた。


 はいはい、どちら様でs──


 そこまで言いかけたところで。

 ドアの向こうにいるのが白騎士の兵士であることを知り、俺は何事も無かったかのようにそのままドアを閉めた。

 しかし閉める途中で、その兵士からガッとドアを掴まれて閉められなくされてしまう。


 くっ……!


 まるで裏の世界の取り立て屋といったところか。

 力押しでも勝てそうになく、下手に口出しすれば捕縛される。

 冷や汗ながらに視線を彷徨わせ、俺は小市民のごとく激しく動揺するとともにその場に固まるしかなかった。

 訪問してきたのは3人の兵士。

 成人の男性兵士が2人と、活発そうな成人の女性兵士が1人。

 その内2人はよく目にする甲冑衣装だったが、もう一人はあまり見かけないような白い軍服衣装に青のペリースを身に着けている。

 階位ある白騎士だろうか?

 そういえばカルロスもそれと色違いの赤いペリースを身に着けていた気がする。

 年齢的に見てもカルロスと近い気がするし、もしかして彼とは友達だったりするんだろうか。

 くわえ煙草を吹かしながら、インテリぶったようなツンとした態度で青い短髪のその男が俺に質問してくる。


「白騎士と分かってドアを閉めてくるとは良い度胸だ。名を名乗れ」


 な……名乗るほどの名前は持ち合わせていません。


 俺は声を震わせそう答える。

 そこにおっちゃんがやってきて会話に割り込んでくる。

 余裕の笑みを浮かべながら、


「ほぉ。誰かと思えばレンじゃないか。よくここまで嗅ぎつけてきたもんだ」


「ブラック・シープ……!」


 憎々し気に顔を歪めて、白い軍服衣装の青髪の男──レンが咥え煙草のまま舌打ちしてくる。

 油断していた俺をドアごと押し退けて。

 勢いでよろめいた俺はその場に尻もちをつくしかなかった。

 開いたドアからレン達兵士が入り込んでくる。

 そしてそのまま視線を俺へと向けてきて、今の俺の服装を一瞥し、


「なるほどな。お前の兵士姿は偽装だったということか」


 レンの背後に居た兵士二人が、俺を指さしながら目を剥いてギャーギャー喚く。


「レン様、だからこの子絶対怪しいですって! もう捕縛しましょう、捕縛!」


「そうですよ、レン様! どう見ても捕縛確定じゃないですか! レン様がしないなら僕たちでやりますよ?」


「……」


 二人の兵士を手で静かに制して。

 レンが俺から視線を外して、すぐ目の前のおっちゃんを睨み据える。


「駒を捕縛したところで意味はない。捕まえるべき相手はオレ達の目の前に居る。

 ここでブラック・シープをおめおめと見過ごせば、家紋に泥を塗ることになるだろう」


 レンのその言葉を受けて、二人の兵士が俺から視線を変えておっちゃんへと向き直る。

 二人同時に腰の帯剣をスラリと抜き放ち、構えを取った。

 レンがおっちゃんへと指を突き付けて言う。


「ここが納め時だ、ブラック・シープ。もし抵抗するなら容赦はしない」


 ……。


 おっちゃんは一歩もその場を退くどころか、余裕ぶって笑っている。

 まるで成長した近所の子供を見かけたオジサンみたいに、


「昔の恩を仇で返そうっていうのか? レン」


「現役の近衛兵だったら話は別だった。だが今オレの目の前に居るのは、【神殺し】の異名を持つ裏切り者のブラック・シープだ」


「そう思いたければ勝手にそう思えばいい。冤罪を主張したところで誰の耳にも届かんだろうがな」


「……」


「お前の叔父貴にも伝えとけ。"俺はお前たちの一方的な魔女裁判を受ける気はない"とな」


 ……。


 おっちゃんがそう口にしたところで、レンを含む白騎士三人に動揺が走る。

 レンが突き付けた人差し指を下ろす。

 背後の兵士二人も剣先を力なく床へと垂らした。

 レンがおっちゃんに言う。


「アテを見つけてここに来てみたが……どうやらブラック・シープも、叔父貴のことを何も知らないようだな」


「……」


 ……。


 おっちゃんの顔から笑みが消える。

 怪訝に首を傾げてレンに問いかける。


「それはいったいどういう意味だ?」


「黒騎士どもが急に戦線を退いて以降、叔父貴もヴァルキリーも行方不明で青の騎士団総出で探している。

 何者かが闇眷属の奴と接触し、戦争阻止に動いたようだ。

 この戦争を阻止できるほどの力を持っている人物は限られてくる。

 その何者かが、てっきりブラック・シープの仕業だと思っていたんだが……」


「あのファヴニールが行方不明だと?」


 レンが頷く。


「あぁ。叔父貴と最後に接触したのは現クトゥルク様だが、その後については何もご存じないそうだ」


「お前に協力してやりたいのは山々だが、俺が動くことで増々疑惑の目が向く可能性だってある。

 それにあのファヴニールのことだ。この程度でくたばるようなタマとは思えんしな」


「何か情報があればでいい。この事態には現クトゥルク様の他にもディーマンや帝都神殿の重鎮もすでに動き始めている」


「そりゃ厄介だな。この件については余計に俺が関わるわけにはいかない」


「それと、これはついでだが──」


 そう言って。

 レンがおっちゃんに一枚の封書を手渡す。

 おっちゃんがそれを受け取って。

 封書の封を切って、中に入っていた国家レベルの豪奢な通知書を確認する。

 それを見た途端。

 おっちゃんが言葉を失うように口に手を当てて考える仕草をし、険しい顔つきになる。


「……」


 ……何が書かれてあったんだ? おっちゃん。


 気になって、俺はおっちゃんに声をかけたが無視される。

 するとレンが代弁するように口を開いて説明してくる。


「現クトゥルク様が "異世界人Kを補佐官にするまでは神殿に帰りたくない" とディーマンに訴えているそうだ。

 今もまだこの国に残られているご様子で、オレ達青の騎士団もこの国の警備を怠るわけにもいかず、叔父貴の捜索に難航している。

 叔父貴の情報とともにその人物の情報も集めてほしい」


「……」


 ……。


 俺もおっちゃんもレンの顔をまともに見ることができなかった。

 素知らぬ顔で口笛を吹くわけにもいかず。

 ただただ、レン達がこの家から何事もなく帰ってもらうのを待つしかなかった。


 2026/05/23 22:05



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