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極道令嬢、異世界で華麗に仁義を通す 〜うさぎ公爵令嬢の裏社会マナー  作者: 春夜夢


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第6話:王族のガキの「ケジメ」をつけさせようか

「おい、セドリック。少し落ち着け」


庭園に駆け込んできた騎士団長の肩を、俺――エレノアは細い手でポンと叩いた。

息を荒げるセドリックの灰色の瞳には、明らかな焦燥感が浮かんでいる。王城の騎士団長がここまで取り乱すとは珍しい。


「落ち着いていられるか! 第二王子殿下が直々に、私兵を連れてこの公爵邸へ向かっているという報告が入ったんだ。もし貴女が連れ去られでもしたら――」


「心配しねぇよ。所詮は温室育ちのガキだ。人を駒としてしか見られねぇような奴に、人の上に立つ資格はねぇ。俺がしっかり教育してやるよ」


俺はふっと笑みを浮かべ、お茶の残りを飲み干した。

公爵令嬢のドレスの裾を翻し、正面の応接室へと悠然と歩き出す。セドリックは呆気にとられながらも、剣の柄に手をかけたまま俺の背中を追ってきた。


しばらくすると、屋敷の玄関ホールからドタバタと乱暴な足音が響いた。


「おい! エレノア・フォン・ローゼンバーグ! どこだ!」


扉を乱暴に開けて入ってきたのは、豪華なマントを羽織った金髪の青年。

第二王子・クロードだった。その背後には、武装した近衛兵が数人控えている。周囲の使用人たちは恐怖に顔を青くして床にひれ伏している。


クロードは俺の姿を見つけると、忌々しげに眉を寄せた。


「君か。聞いていた通りの無様な姿だね……いや、最近はアステリア騎士団を巻き込んで我が家の側近に無礼な態度をとっているそうじゃないか!」


クロードが俺を見下ろすように鼻で笑った。

俺はソファーにどかっと腰掛け、エレノアの細い足でふてぶてしく足を組んだ。淑女の作法? そんなものは知らん。


「……あ? 誰に向かって大きな声を出してんだ。ここはローゼンバーグ公爵家の屋敷だぜ。ガキが他人の家に土足で上がり込んできて、礼儀も何もあったもんじゃねぇな」


「なんだと……!? 貴女、自分が誰に向かって口を利いているか分かっているのか! クロード・フォン・アステリアだぞ! 次期国王候補の僕に逆らう気か!」


クロードは顔を真っ赤にして杖を振り上げた。

その幼稚な反応を見て、俺は思わずため息をついた。かつて敵対組織の若造でさえ、もう少し肝が据わっていたものだ。


「クロードか。まあ、座れよ。俺たちの世界じゃな、話をする時はまず座って筋を通すのがルールだ」


「僕が君のような退屈な女の言うことを聞くと思うかい? 今日ここに来たのは、君を僕の監視下に置くためだ。アステリア騎士団を巻き込んだ件についても、厳しく処罰させてもらう!」


クロードが近衛兵に俺を捕らえるよう合図を出した。

その瞬間、セドリックが素早く前に出て、近衛兵の行く手を阻んだ。彼の剣が鞘からわずかに抜け、冷徹な光を放つ。


「そこまでだ、殿下。エレノア嬢に対する不当な連行は、アステリア騎士団として見過ごすわけにはいかない」


「セドリック! 君までこの女の肩を持つのか!」


クロードが驚きと怒りを露わにする。

俺はソファーからゆっくりと立ち上がり、クロードの目の前へと歩み寄った。身長差はあるが、俺が放つ空気感オーラは全く引けを取らない。


「おい、クロード」


「な、なんだ……」


冷たい青い瞳で彼を射抜くと、クロードが思わずたじろいだ。


「上に立つ者が、感情だけで動いて下の者にケツを拭かせる。そんな真似は、俺たちの世界じゃ『破門』ものだぜ。あんたはローゼンバーグ家の資金繰りを裏で干からびさせようとしたネズミの黒幕だろうが」


「な……証拠でもあるのかい! 王族を侮辱する気か!」


「証拠なら、とっくに公爵と騎士団長の手に渡ってるよ。我が家に手を出した代償は、あんたの立場を危うくするには十分すぎる材料だ。……これ以上ゴネるなら、ここの応接室で『ケジメ』のつけ方を教えてやろうか?」


クロードは恐怖に顔を歪ませ、護衛の後ろへと隠れた。

王族の傲慢な態度だけが取り柄の三流のやり口だ。


「ひ、卑怯だぞ……! アステリア騎士団を盾にするなんて……」


「盾じゃねぇよ。お前のようなネズミを駆除するための『仁義』だ。さあ、どうする? このまま引き下がるか、それとも我が家と全面対決するか……選べよ」


冷たい微笑みを浮かべる俺の前に、クロードは言葉を失い、歯ぎしりしながら近衛兵を引き連れて屋敷から逃げ出していった。


(……ふん、まあこんなもんだな)


俺は元のソファーに戻り、セドリックに向かってニヤリと笑った。

アステリア騎士団長も、少し安心したように肩の力を抜いた。


「……見事な交渉術だった、エレノア嬢。だが、相手は王族だ。さらに大きな波乱が待ち受けているかもしれない」


「上等だ。どんな相手だろうが、筋の通らねぇ真似をする奴は、俺が全部シメてやるよ」

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