血液と気絶
96話完成しました
扉を開けた瞬間、その部屋にはガラの悪い男達数人がコチラに銃を向けていた
「(チッ、結局殺すつもりか!って、コレってこの若頭ごと俺を... 仕方ない・・・いや、今はこの若頭を見殺しにはできない)」
「はぁ〜・・・・・・・・・殺せ」
背後から声が聞こえたと思うと建物の外にまで聞こえる銃声が室内に鳴り響いた
そしてその銃弾は陸と若頭に向けて放たれたものだった
陸は若頭を一瞬で男達がいる部屋の方に蹴り飛ばし、銃弾を一斉に身体に浴びた
若頭は前方に倒れ込み銃弾に当たらずに済み、後ろを振り返り森山を見た 森山は倒れ込んだ陸のお腹を蹴り、若頭の方に拳銃を向けた
「っ、(まさかあの銃弾から自分の命を捨ててまで助けてくれたのか...) おい、森山...どうして...」
「どうして?今このタイミングでアンタを殺って、あの高校生が殺ったように偽装すれば...いい案でしょう?」
「へくち・・・・・・さっむ(《風よ 覆え そして身を守る盾と成れ《風盾》》)」
「はぁ〜、誰だ?この状況でくしゃみする奴は?さっきの銃声でサツが来てもおかしくないのによ!」
森山はこの空気を壊した、くしゃみを誰がやったのかと周りを見たが、銃を持っている男達も背後にいる山本もくしゃみはしていないと言う 勿論、目の前にいる若頭はずっと見ていた為くしゃみをした人物ではない
「森山さん くしゃみを気にするよりさっさと殺って偽装しましょう!アンタが言う通りサツが来ても...」
「チッ、分かってるよ! このガキを撃った時みたいに腹に撃ち込め そして、このガキに拳銃を握らせて指紋を残した後、こめかみに当ててから殺れ」
「「「分かりました!」」」
「あ、それとさっきみたいに音が出るのはマズイからきちんとサイレンサーをしてから撃てよ(にしても、誰もくしゃみをしていない じゃあ誰なんだ? このガキは虫の息...いやもう死んでるだろう 死人がくしゃみを?)仮にそうだとしても、死人に何が出来るってんだ」
・・・・・・・・・
「森山さん...森山さん?・・・森山さん!」
「あぁ、すまない 考え事をしていた それでどうした?何かトラブルか?(ちょっと待て、あのガキの死体、妙な所があったな)」
「い、生きてます...」
「は?そりゃあ銃弾を何発も食らっても即死ではないだろう?さっさとあのガキに拳銃を握らせて指紋を取れ」
「ですから!そのガキが立ち上がってるんですよ!」
「なに寝ぼけたこと言ってんだ?あのガキはお前らが撃ち込んだ弾で死んだだろ?」
「う、後ろ振り返ってください!」
森山は下っ端の言葉に呆れながらも後ろに振り返った すると、死んでいたはずの陸が何も無かったように平然と立っていた
「な、オマエなんで生きて...」
「無傷で解放なら良かったのに、そっちが先に攻撃したんだからやり返されても文句ないよね?」
「そういえば、銃で撃たれのに血が流れていないのが変だったが、あの銃弾の数で死なない奴はいないって勘違いしていたな 防弾チョッキでも着てたのか? チッ、誘拐の際に服の中を確認するべきだったか...」
「まぁバレると色々と面倒だから殺るのが良いのかもだけど、さすがに現実じゃあねぇ だから、怪我は負って貰うよ 恐怖で言葉が出せないように」
「高校生のガキが防弾チョッキを忍ばせているなんて物騒な世の中になったと思うが、そこまで煽るって事は死んでも悲しむやつはいないってことか?」
「いやいや、普通に家族が悲しみますよ? てか、こんな物騒な所で死にたくないし」
「はぁ〜ウザ 泣いて謝れば病院送りで済む怪我にしてやろうと思ったのに、もういい 山本このガキ・・・撃ち殺せ」
森山は陸の背後に居るであろう見えない山本に指示を出した
しかし、山本は銃を撃たない それを不思議に思った森山は部下達に指示を下す
「あの野郎、せっかく殺らせようと思ったのに... おい、オマエら時間がない そのガキをさっさと殺れ この際、多少シナリオが変わってもいいから高火力の武器でもいい (他の組が攻め込んで来たことにする もしくはサツが来たら流れ弾が当たったとかにすれば...) 本当に不気味で危険な奴だ...」
「確かにこの状況で平然としてる奴を見たら不気味だと思うのは分かる だったら、なんでそんな不気味な奴の1番近くにいるアナタがこの状況で背中を向けるんですか?」
「は?」
「森山さん!右に避けて!」
森山は部下達に必ず殺れと指示を下した後、陸から離れ建物の裏口に車を回させる為に他の部下に指示をしようと考えスマホを取り出した だが、その直後に銃を持っている部下の一人が突然右に避けろと叫んだ
その言葉を聞いた森山は反射的に右にジャンプし声の通りに右に避けた
陸は背中を向けて無防備な森山に対して、左側から脇腹めがけて蹴り出そうとしていた だが、部下の叫びによって反射的に動くのを感じ、避けられた際間に髪入れずに仕掛ける為の次の攻撃を繰り出そうと思っていた
「っ、(なんで右に避けたのに...)」
しかし、森山の右に反射的に避けた行動は陸の攻撃を避けることができておらず、脇腹に陸の足が当たりの横に吹き飛び部屋のソファに激突した
森山が吹き飛んだすぐ後に、組の部下達は陸に向けて銃を撃った
「さっきは咄嗟にこの人を守ったから食らったけど、もう拳銃はいいよ 発砲音が煩いしな《血液創造 波》」
拳銃から放たれた銃弾は陸の身体に当たる事なく、風盾によって空中で止まり切り刻まれ地面に落下した
そして、陸は創造で身体から血液を出し部下達に向けて血液の波を向かわせた
「なんだ!コレ!」
「うぇ、変な匂い...」
「鉄の匂い... って、森山さん!無事ですか!」
「森山よりコレを避けないと!」
血液の波に怯んでいる部下達であったが突然の出来事に避ける事もできず、波に呑まれ壁に身体を打ち付け気絶した
「《血液吸収》」
「オマエ一体何者だ?」
「《付与魔術 重力》」
「うっ、身体が... (骨が軋んでいく...)」
「気絶したら解除するから安心しろ」
「そ、そういえば山本はどうした...オマエの後ろに居たのに何故あの時撃たなかったんだ...そうすれば(こんな状況にならなかったのに)」
「山本?・・・・・・あ、縛られていた時に拳銃を向けて発砲したらヤバい奴か!」
「はっ、ヤバい奴ってオマエみたいな意味不明な奴が言うことか...」
陸は波に使用していた大量の血液を吸収しながら、森山に対して付与を行った その森山は上から圧力が掛かったかのように、身体を動かせずに謎の骨の痛みに耐えていた
「そういえばあのヤバい奴なら、立ち上がったのと同時に気絶させたな(まぁ血液を固めて放出したから、骨にヒビが入ったかも)死んではいないと思うので安心してください... って聞いてないか はぁ〜、付与解除」
森山は上からの圧力と骨の痛みに耐えられず、いつの間にか気絶していた 気絶を確認した陸は山本に放っていた固めていた血液も吸収しながら、重力の付与も同時に解除した
・・・・・・・・・
そして、この事務所で唯一気絶していない若頭に近づいていく
「若頭さん どうか今見た事は全て忘れてください 色々と面倒になるので、特に今後の生活に支障が...」
「コッチこそ最初は唯の恨みで誘拐したんだが、先ず誘拐したのが間違いだった...(それにあの時はどうかしてた 誘拐を部下に指示するなんて... あれ?そういえば誘拐した方が良いと言ったのって、森山だったような?) だが逆にコイツらの裏切りに気づけて命まで助けてくれたからな まぁサツが来ても仲間割れが起きたって伝えておく」
「その言葉、信じますよ」
「今この事務所に来ていない部下達は、裏切ることが無いのが分かっただけで良いさ」
「だが、俺の誘拐に加えて多分銃声も建物の外まで聞こえている サツに捕まるんじゃないか?」
「その時はどうにかするさ まぁ、最悪気絶してる奴ら全員の所為にすれば良い 拳銃に関しては完全に俺の知らない所で集めていたんだろう(というより、拳銃なんてアイツら何処で入手したんだよ!それに何で裏切ったんだ?てか裏切ったとして何がしたかったのかさっぱり分からん! 森山は数ヶ月前から入ってきた新人だったが能力があったから知恵を貸して貰っていたが...)」
「まぁどうにかなるなら良いんですけど、気絶は...させなくていいか 部屋の奥にでも隠れるか若頭さんが自ら警察に通報でもしてください」
「あぁ、分かった なら部屋の奥に行って警察に通報する事にするよ」
若頭は陸の言葉通りに別の部屋に行き、扉を閉めてから自身のスマホを使い警察に通報した
・・・・・・・・・
一応誘拐された被害者の陸は、手足に縛られていた紐を回収して拘束をこの部屋で解いたと見えるように近くに置いた
「さて、あとは警察が来るまで寝ておくか... ん?ドアノブが回った?(若頭の発言的に今日この事務所に居るのは裏切る予定の人達が殆どのはずで、他の人達はこのことを知らないはず...妙だな 敵の場合は...)」
陸は若頭の発言から奇妙に感じ、怪しい奴だったら気絶させる為にドアが開いても死角の場所にすぐに身を潜める
しかし、扉は少し開いただけで開けた人物は直ぐに事務所内には入っては来なかった だが、少しした後にその人物は扉を開けて慎重に事務所内に入った
「コレは一体...かなり争った跡が見える上に何人も気絶している」
「あの男の仲間じゃないな?じゃあ誰だ?」
「っ、誰だ!」
部屋に入ってきた人物は拳銃を構えながら事務所内に入ってきた そして背後から聞こえる陸の言葉に驚くが、直ぐに振り返り拳銃を向けた
「そこに倒れている奴らに誘拐された被害者ですよ」
「それを証明する事はできるのか?(部屋がいくつかあるが大声を出したのに誰も出てこない? 暗くて見えにくいがこの顔は...)」
「え?あ〜証明? 家にコイツらが侵入してきたけど、ここから家まで離れているだろうし、今すぐ証明するのは難しいな」
「(念の為の確認だ...)だったら、こっちから2つ質問する その答えを聞いてから、誘拐された被害者だと信じよう」
部下から被害者を連れ去った車がこの近辺にあるという情報を聞いた月海警部補は防犯カメラに映った場所から範囲を徐々に広げながらその車を探していた
そして、探している最中に微かに銃声の音が聞こえ、その場所に辿り着くと連れ去った車を発見 近隣住民に銃声の事を詳しく聞き応援を呼ぶことなく一人でこの事務所に入った
「質問するのは良いですが、銃を構えるのを止めてくれませんか?」
「いや、銃を納めるのは疑いが晴れてからだ」
「分かりました...分かりましたよ! それで質問って?(それにしてもこの人、拳銃を... 何者だ?)」
月海警部補は拳銃を陸に向け、警戒を解かずに質問を始める
「1つ目 今回誘拐された被害者の『加賀美 陸』が現在住んでいるマンションの隣人の名前を答えろ」
「え?(音緒さんのことだよな?・・・あれ?音緒さんの苗字って... なんだっけ?ゲームでもネオだったから苗字で呼んでないし...)」
「なんだ?答えられないのか? なら、とりあえず逮捕させてもらう 怪しい場所に気絶している人達がいる逮捕する理由は十分だろう」
月海警部補は拳銃を構えつつ、何時でも逮捕できるように手錠に意識を向けた
「あ、いや答えますよ 音緒さん ですよね?」
「(音緒...確かにあの聞き込みのあとに隣人を調べると、『兎月音緒』というのが分かった 苗字は郵便受けに書いてある上に表札にも書いてあった だが、名前は郵便物じゃないと赤の他人が知ることはないだろう
しかし、苗字じゃなく名前で答えたのはこの男が本当に誘拐された被害者だからか? いやまだ判断はできない) じゃあ、2つ目の質問をしよう 被害者の『加賀美 陸』は最近とあるゲームを始めていた
そして、最近起きたとあるゲーム会社の大問題、そのゲームの開発部長の息子でもあった」
「何が言いたいのか分からないんですけど?」
「いいから最後まで聞け その上でお前の反応と答えで確かめる
実は伏せているが、ゲームの騒動直後から人間には到底起こせない奇妙な事が立て続けに起きていてね まぁそれ以前から奇妙な噂は聞いていたんだが... それで、その奇妙な出来事とかなり似ているんだこの現場の状況がね」
「この場所が?ちょっと言っている意味分からないんですけど?」
月海警部補は陸と一定の距離を保ちながら、話を続ける
「この現場に入った瞬間にすぐ気づいた かなり濃い血の匂いに... だが、こんなに血の匂いがするのにそこに倒れている容疑者(仮)達は気絶をしているだけで、血をそこまで流していない 擦り傷程度の怪我だろう
その程度の怪我ならこんな濃い血の匂いが部屋に充満しているのは不自然だ まぁ1つあるとしたら、外にまで聞こえた銃声だ その銃弾で何人も死んでいるならこの匂いにも説明が付く」
「(この人、気づいた... だが、イベント直後から『奇妙な事が立て続けに起きて』コレはどういう事だ... もし、カエデをナンパし俺を誘拐したコイツらをあの場で返り討ちにした件を言っているなら、立て続けってのは変だ
それ以前にあれはイベントが始まる前に起きた騒動だ
そしてイベント終了後に溜まっていた新聞を見てもその事については載っていなかった つまりあの件は世間に気づかれていない まぁ載っていないだけで警察は気づいている可能性はあるけど)
さぁ、僕は拘束された紐と目隠しをさっき外したので銃声は聞きましたがそれをきちんと目撃してないんですよ」
「さっきとはどの位前に外したんだ?」
「貴方が入ってくる少し前だと思いますよ まぁ、僕も目隠しを外してこの現場を見て驚いて時計を見る暇がなかったので正確な時間は覚えていませんが...」
「とりあえず話を戻そうか 銃殺されていた場合はその遺体の場所は... それよりも血痕が一切残っていない方が気になる 銃声が聞こえてから僕が来るまでそこまで時間は経っていない 変だよね? 血痕も見当たらないのに濃い血の匂いがするのは? その理由は、君が人間には出来ない奇妙な力を持っているから、君は一体何者だ? ・・・・・・って、そんな訳ない... うぉ」
「《血液創造 タガー》」
陸は目の前の人物の足を払うとタガーを創造し、男が床に倒れた所で顔のすぐ近くの床にタガーを突き刺して告げる
「アンタ...見たのか...」
陸がそう告げた瞬間、事務所入口から銃弾が放たれた
「死ね」
どうだったでしょうか?
次回から文字数が少なくなると思います
毎回この量だとアイデアが思いつかないので、すみません
温かい感想、コメント・リアクションお待ちしております




