始業式
97話
9月1日 朝 8時15分
陸は日傘を差しながら学校の校門を通った
「暑い...(日傘で直接太陽の光は当たらないのに、身体がダルい 吸血鬼だからなのか普通に暑さでダルいのか分からない...)」
夏イベントでグリム達と行動していた時に気づいた
吸血鬼の肉体は日光ダメージが入ってしまう だが、毎回《全鎧》を発動するのは手間がかかる そこで血液を薄く全身に纏わせて周囲から血液が見えないように肌に合わせ、日中の日光ダメージを防いでいた
だが、イベントが終わり現実世界で夏休みを過ごして気づく もちろん現実世界なので日光によるダメージは無い だが、近年の異常な暑さによってゲームでの日光を直接浴びて体力を消耗した時のようなダルさを現実でも感じていた
「まぁこの身体になる前から暑さには弱かったけど... これから寒くなるし、9月が終われば登校するだけでこんなに体力は消耗しないでしょ(多分...)」
陸は履いていた靴を手持ちのカバンに入れていた上履きと履き替え、自身のロッカーに履いていた靴を入れ扉を閉めた
「始業式に体育館集合って面倒面倒」
上履きをきちんと履き、陸は体育館に渋々向かう
そして体育館に着き、少ししてから始業式が始まった
・・・・・・・・・
校長の長く眠くなる話が終わると始業式が終わり、学年毎に自分達の教室に戻る用に指示が出た
「(冷房ガンガンにして欲しかった 効き目薄い)」
陸はクラスの列を乱し友人同士で喋っている奴らを無視しながら、ロッカーで靴に履き替え一人で教室に戻り、椅子に座る
「そういえば、オタクの奴...始業式に居なかったような?」
「え?加賀美君?聞いてないんですか? あの人なら転校するって事でもう学校には来ないそうですよ」
「え、転校?・・・・・・そっか ありがと 委員長(アイツ、一言ぐらい言ってから転校しろよ 夏休み前の時には普通だったのに)」
「家庭の事情で引っ越さないといけないらしく、急遽転校するとさっき先生から聞きました」
「へぇ〜 家庭の事情... 親の転勤、離婚 (なんだ?)」
「加賀美君 人の家の事情を詮索するのは良くないことですよ」
「ん、あぁ 確かに良くないね ありがと 委員長」
「いえ、別にこれくらいなら... それよりも始業式にしては荷物多くないですか? 今日は授業ありませんよ?」
「あ〜コレは、昨日色々あってリュックの中整理してなくてさ、朝もギリギリまで冷房効いた部屋でのんびりしてたから終業式の日の荷物多いままで...」
「終業式の日からリュックを開けてない... というか終業式の日も授業なんてないですよ!」
「終業式の日はてっきり普通の日と勘違いして、授業の教科書とか入れちゃってて、でも夏休みの課題でリュックは開けた!」
「開けた以前に、曜日感覚をどうにかしてください!」
「ちょっと委員長...先生来てるよ」
「おい、加賀美 先生来てるから言い合いはそこまでにしておけよ」
委員長と話し合っていると、いつの間にか名華先生が教壇に立っていた
「2人とも終わったかな? 先生が居るのに気付かず話すなんえ余程集中していたんですね」
「佐々木先生すみませんでした」
「ね、・・・名華先生すみませんでした」
「まぁ、夏休み直後の学校ですし盛り上がるのは分かりますが気をつけてください 皆さんもですよ...」
名華先生は陸と委員長が気付かずにいた事で盛り上がっていた他の生徒達にも注意をすると、教室は一瞬で静かになった その後、名華先生はオタクが急遽転校した事から今後の学校の予定や行事を話した
「さて、とりあえず伝えないといけないことは伝えました 通常ならHRはこれで終わりで自由に下校していいのですが、新学期という事で席替えでもしましょうか...」
その一言でクラスは盛り上がった
「盛り上がっているところ申し訳ないけど、席はコチラで決めています 今から黒板に書いていくので、各自移動してください」
その一言で盛り上がっていたクラスは少し盛り下がっただが、黒板に書かれた自身の名前の席に移動していく
「(俺の席は1番後ろの窓側の席か)はぁ、まだ眠い(昨日の件の疲れがまだ残ってる...)」
出席番号順に書かれていく名前を確認し、陸はリュックを手に持って後ろの席に移動して座る
そして、昨日の出来事を思い出していく
先生が黒板に書きながら、何かを話しているのを完全に聴き逃しながら...
・・・・・・・・・
「アンタ...見たのか...」
「え?何を?」
「だから、その奇妙な力を・・・《血液コウモリ化》」
陸は月海警部補の背中に座り、身動き取れない状態にさせタガーを床に突き刺し、続けて質問をしようとした しかし、質問しようと口を開いた瞬間入口付近に気配を感じコウモリを創造した
「死ね...」
いつの間にか入口に立っていた男は、自身の拳銃を構え陸に向けて撃った しかし、創造したコウモリが陸に当たる前に銃弾を咥えて止めた
「《血液創造 縄》《血液操作》 どっちの仲間か知らないけど、逃がすか 捕縛」
創造した縄を操作し、撃った人物を見ることなく捕縛した
続けて陸はタガーを床から抜き、月海警部補の背中から立ち上がった そして銃弾を咥えたコウモリを撫でた
「目の前で見せちゃったし、もういいや それよりもアナタがこの状況を知りたいように、俺もアナタが何者か知りたいですけど 拳銃を持っているって事は、普通の人じゃないですよね?」
「あぁ 最初にコッチを見せた方が拘束されずに済んだのかな... 警視庁 公安部所属 警部補 月海です」
「っ、それは申し訳ありませんでした!警察の人と知らずに物騒な事をしてしまい...」
「まぁ普通なら逮捕するけど、この状況なら仕方ない 無かった事にして今の現象について話そうか」
陸は目の前に居る人物が警察の人だと知り直ぐに謝罪した 月海警部補は立ち上がり、気絶している奴らを気にせずに警察手帳を陸に見せた
月海警部補は続けて陸と話し合いをしようと近くのソファに座ろうとした その時、建物の階段から複数の足音が聞こえた
「多分、さっきの銃声で近くの住民が通報したんだろうね できれば話し合いをしたかったけど仕方ないか 陸くんは、とりあえず先程まで気絶していたけど僕が到着した時に目を覚ました ってことでいいかな?」
「警察の人がこの状況で1番怪しい俺を守るんですか?(というか、信じていいのか?)」
「実は、君の顔は写真で見ていたんだよ この場所に到着して顔を見た時、直ぐ分かったけど一応確認の為に聞いたんだ 奇妙な件で君なら何か知ってるかなって思って... それと陸くんの父親につい最近伺うことがあってね 父親が持っていたディスクを使ってMOFをやっている事とゲームのバグの件も聞いてるよ」
「(なんでゲームのバグのことを...)まぁ確かにゲームではバグの影響で満足に遊べてないですけど、それとこの能力が関係あるって事ですか?」
「・・・・・・バグに関しては本当にゲームのバグらしいよただ、陸くんの身体に起きている事と最近の奇妙な件は『メイファン』も調べているらしい まぁバグと他の不具合とかが直り次第ゲームは再開されるってのは聞いたけど」
「(バグの件は小さくなっていたのが直るってことか それ以外の不具合はゲームのメンテみたいなもの)『メイファン』のしかもMOFのゲームが、この能力と月海さんが先程から言っている奇妙な件と繋がりが...」
二人でこの状況について話し合っていると、住民の通報で駆けつけた警官が事務所に入り会話は中断されてしまった
・・・・・・・・・
「(それで応援に来た警察の人達に誘拐された被害者として近くの警察署に連れて行かれ、そこで事情を細かく聞かれたり質問攻めにあったりして、終わったと思ったら『もし何か思い出したら連絡してくれ』って言われ家に帰宅出来たのが、午後8時...)はぁ〜ねむ(にしても、マンションの隣の部屋な誰か引っ越してきたのか? 昨日疲れて家に帰ってきた時に、隣の部屋の前に引っ越し用に使っている感じのダンボールがまだ積んであったけど...)まぁマンションで付き合いがあるのは、音緒さんだけだしそこまで気にしなくていいか...」
陸は新しい席に座り昨日の出来事を思い出しながら、あくびを出しHRが終わるのを静かに待っていた
「皆さんが新しい席に着いたので、転校生を紹介します」
その時、教室の前の扉が開いた
「(っ、ビックリした〜)」
先生の言葉に騒がしくなっていた教室内が静かになり、転校生達が教室内に入ってきた
「え、転校生?」
「この度、このクラスに入る2名の生徒です では、自己紹介をお願いします」
「はい 黒宮 葉月 です よろしくお願いします」
「夏井 凛 よろしくッス...」
「(そういえば、さっき名華先生が何か喋っていたような... あれは転校生の事だったのか)にしても、この時期に転校か」
窓から見える代わり映えしない風景を見つつ、転校生達を見る
「えっと、それじゃあ席は加賀美君の前に黒宮さんと右の席に夏井さん では、これでHRは終わります 各自自由に帰宅してください」
いつもなら先生の言葉でクラスの全員が帰るのだがこの日は違った 転校生達がいたからだ クラスの殆どの生徒が転校生達に近づき質問攻めにする
陸はそれを横目に帰る準備を手早く行い、教室を出た
「転校生達に質問するのはいいが、周りの席にいる人にとっては騒がしいだけで迷惑極まりない」
「陸、昨日警察から電話があって誘拐されたって言われたけど大丈夫?」
「うん 大丈夫 ヤバかったけど、もう大丈夫だよ」
ロッカーで持ってきていた教科書を入れていると、名華先生が話しかけてきた
「それにしても、名姉ちゃん 学校なんだから呼び方に気をつけて って言ったの名姉ちゃんの方だよ」
「えぇ、でも今は他の生徒も見当たらないから問題ないわよ」
「それで警察から電話って、学校に来たの?それとも家の方?」
「私が受け取ったのは学校の方よ 家の方にも電話が来てママが出たわ それでパパの電話番号を聞かれたらしいわ」
「電話の内容って教えてくれる?」
「怪しい人達に誘拐されたって伝えられたんだけど、少ししてからまた電話が来て無事に保護したって警察の人が教えてくれたわ」
「そう ありがとう名姉ちゃん じゃあ帰るね」
陸はロッカーを閉めて家に帰ろうとした
だが...
「名華先生、仕事終わったら一緒にご飯行きませんか?良いお店知ってるんですよ」
「すみません猿渡先生 今日はやることが沢山ありまして それに明日も早く来てやらないといけないのでご飯は難しいですね」
「なるほど 実は聞きたいことがありまして 昨日警察から電話がありましたよね その事について一緒にご飯食べながら聞きたいと思いまして」
「その事でしたら、もう解決していますので 大丈夫ですよ すみませんが本当に忙しいので失礼します」
「(チッ、仕方ない 諦めるか)名華先生 明日は...」
「名華先生 さっき、転校生達が教室で先生のこと待ってましたよ」
「え、えぇ 教えてくれてありがとう そういう事ですので失礼します」
「はい お疲れ様です ・・・・・・そういえば加賀美、終業式の日に遅刻していたな それについては反省しているのか」
「えぇ 名華先生にも厳しく注意されましたから」
「そうか 今度遅刻したら、生徒指導室に連れていくからな それと、先生のことはきちんと苗字で呼ぶように!」
「用がそれだけなら俺は帰ります」
名華先生に嘘の用件を教えてこの場から居なくなった瞬間に、猿渡先生は陸に圧をかけて脅してきた だがその圧を受け流し陸は正面玄関を出る
「アイツ もし何か問題を起こしたら生徒指導やってやる 小さい問題でも絶対やってやる...」
猿渡先生は陸に生徒指導をやる事を心に誓った
・・・・・・・・・
陸は他の生徒達に紛れながら歩いていると、校門の向こう側に昨日の刑事さんが車にもたれ掛かりながら待っていた
「やぁ、陸くん 待ってたよ 家まで送るよ」
「昨日の刑事さん... あの件なら他の刑事さんに細部まで伝えましたよ」
「まぁまぁ とりあえず乗ってくれたまえ」
「(怪しい... 断るか? でも家の場所も学校も知ってる)分かりました 乗りますよ でも今度こういうのをやるなら一言連絡してください 迷惑ですので」
「まぁまぁ 誘拐するわけじゃないから 普通に家に送るだけだからさ」
周りの生徒は陸と月海警部補を見つめながら帰宅しているが、陸にとってはその視線が痛かった
「陸くん 助手席にどうぞ」
「(あんまり注目されたくないんだけど、変な噂流れたら嫌だし...)面倒面倒」
陸は仕方なく月海警部補の車の助手席に座った 月海警部補は陸が座ったのを確認し、自身は運転席に座り車を発進させた
どうだったでしょうか?
温かいコメント、感想お待ちしております




