混沌
91話完成しました
「チッ、オマエと戦う暇なんて俺らには無いんだよ!」
「いや初心者!俺とは死ぬまで戦ってもらう」
リクはキザに斬りつけられた直後に、続け様に攻撃を仕掛けられたがそれを『雪血刀』で防いだ しかし、キザは血が出ている脇腹に膝蹴りを喰らわせリクを後退させた
「カリン、追ってから逃れるためにも一緒に逃げた方が良いと思っていましたがこの状況だとカリン一人で逃げた方が安全です 俺がアイツと戦っている間に撤退してカエデ達と早めに合流してください」
「この状況を考えるとリク君が足止めした方が効果的なのは分かるッスけど、リク君はそれでいいんスか?」
「アイツは何故か俺に執着していますし、カリンには見向きもしていません その執着心を利用して俺が抑えますよ」
「ッ、分かったッス でも絶対に死なないでくださいよ」
「《血地面》」
カリンが去った後、リクは万が一キザが追う行動を取った時の為に周囲の地面を血液へと変えた
「それは約束できないかな...」
「追わねぇから安心しろ さっきも言ったが、あの獣人には興味無い」
「なら、余計な事を考えずに戦えるな...」
「あぁ キアラが初心者相手に珍しく執着しているからな 試しに俺も戦ってみたくなってな!」
キザは武器を構えて、リクに襲いかかってくる
「っ、《ブラットクリ》・・・」
「創造なんかさせるかよ!」
攻撃を正面から防ぎつつ、血液創造で新たな武器を創り出そうとしたが正面にいたキザが突如消え、背後から声が聞こえた瞬間に創り出すのを止めた
振り返るのと同時にキザのタガーが視界の端に映り左手で鞘に収めている『雪血刀』で防ぐ そして、右手で『血液刀』を鞘から抜いてキザの胴体めがけて振るった
「チッ、防ぐんじゃねぇよ!」
しかしキザはギリギリの所でタガーを収めリクから離れた そして『血液刀』は当たることなく空を切った
「チッ、避けんじゃねぇよ!」
「初心者も防いだから同じことだろ!」
タガーの連撃を『血液刀』と『雪血刀』で防いでいく だが、連撃の速度がどんどん上がり《未来予知》でも対応できなくなっていった
「っ、攻撃の速度が...」
「どんどんどんどん防ぐのが疎かになっているぞ!」
キザは連撃の最中にリクの鳩尾に膝蹴りを入れ思いっきり蹴り飛ばした そして、蹴り飛ばされたリクは大木に背中を打ち血反吐を吐いた
「(スキルを使用した俺に手も足も出ない初心者...)拍子抜けだな キアラが負けたのも油断しただけか」
「はぁはぁ、拍子抜けだと? 俺はまだ本気を出してないけど?」
「本気って言ってもどうせ付与だろ? スピードに乗れば脅威だが、攻撃を仕掛けて止まるように動かせば脅威じゃなくなる」
「それがどうした?試してみないと何事も分からないだろ?」
「だったらやってみろよ 真正面から捩じ伏せてやるからよ!」
キザの言葉にリクは付与魔術を唱えようとした しかし、その瞬間木々が薙ぎ倒れる音と共に人の姿をしたシルエットが二人の間を通り過ぎた
「「!」」
リクとキザの両名は砂煙が舞っているなか、木々に激突した人を同時に見た
「さすがに1人で相手するのは無謀だったか」
「まさか『狼衝』を正面から食らい、『残狼』に噛まれても尚立ち上がるとはね」
「さすがに回復薬は飲んだぜ あのままだと失血で倒れる可能性があったからな」
「へぇ〜 どうでもいいなぁ〜 ・・・・・・ん?・・・・・・あれ?リク何してるの?」
「見て分からねぇのかよ」
「無様に膝をついているのが見えるけど?」
「チッ きちんと説明すれば良かった!」
「冗談はさておき、なに?あんな雑魚に追い詰められてんの?」
「煩い!防戦一方になるせいで攻撃を仕掛けられないんだよ!血液も付与も発動する前に攻撃が目の前に来て!」
「お前ほどの実力者が?あんな雑魚に... てか、付与はまだ1段階上があるだろ?」
「敵が目の前にいるのに、よそ見しての会話なんで随分舐めたもんだな! キアラ!初心者は後回しだ!先にコイツをブチ殺す!」
「あぁ、2人で攻めればコイツを殺れる!」
「それに血液は吸血鬼との戦闘で本物の扱い方を学んだんだろ! なら、このレベルの近接戦でオマエは負けないよ!」
砂煙の中から立ち上がったキアラとキザは、突如として出現したグリムに連撃を仕掛け始めた
その連撃をグリムは余裕綽々で受け流したり、時には斬撃を飛ばして対応していた
「・・・・・・・・・吸血鬼?(なんで?今このタイミングで?血液の扱い方? 確かにアイツは)俺の攻撃に対応していた?」
「キアラとの連撃を余裕な顔で躱してやがる」
「もっと速度を上げて攻撃を叩き込まねぇと!」
「いや、それをやったらアイツは障壁を創るだろうな」
「お望みどおり障壁を展開してあげよう 《斬風》」
「チッ あの障壁は厄介で有名なのに...(さすがにアレを破るのは面倒だな)」
「(そういえばなんでアイツは俺の攻撃を防げた?それに攻撃が当たったのに何も無かったように反撃してきた... キザの言う通り、付与で幾ら速さを上げたとしても走り出さないとほぼ無価値)けど、あの時の速さは連撃で最高速に近い速さだった...」
グリムは自身の周囲に斬撃の障壁を創り出し遠距離攻撃を無効化、近距離攻撃も相手からしてみれば仕掛けにくい状況を創り出した
「キザ、グリムは後回しでとりあえず初心者を狙うぞ!知り合いなら狙う事で多少なりとも隙はできるだろ!その隙を逃さず狙う!」
「仕方ない 初心者は何時でも殺れる だから殺ると見せかけて、グリムが追ってきた瞬間に反転して攻撃を叩き込む」
「隙が生まれればコッチのもんだ!」
小声で喋っていたキザとキアラは、グリムからリクに目標を変更し攻撃を仕掛ける為リクに向かって迫っていく
「リクに目標を変更したのか (それはそうとリクは考え事をしていて迫ってきているのに気づいていないか・・・・・・ん?この気配 クロバの仕業か)仕方ない 巻き込まれるのだけは勘弁だ 〈斬風繰〉」
「グリム!なんで俺を浮かせた!(あの2人いつの間にこんな近くに... 浮かせなかったらギリギリで気づいて致命傷を負っていたかもな)」
「直ぐに分かる」
キザとキアラの攻撃そして予想外な出来事に対処するべくグリムは斬撃の風を操り、自身とリクを宙に浮かせた
その直後この戦場に二人が乱入してきた だが、その内の一人は空から地面に落下しその衝撃で意識を失った
そしてもう一人であるクロバはというと、暗闇の木々の向こうから杖を構えながらゆっくり歩いて来る
「兄さん、勝手に1人で行かないでください リクさんの言う通り2人1組で行動した方が安全です...から...」
クロバはリクが傷だらけなのを見た後にこの戦場の状況を理解した そしてキザとキアラは突如の出来事で動きを止めてしまった
「状況は理解しました とりあえずあの2人を倒します!」
「いや、一旦ここは逃げるよ」
「「はい?」」
グリムの発言にリクとクロバは不思議そうに首を傾けた しかし次の瞬間グリムは風を操りクロバを宙に浮かせ、キザとキアラの前から勢いよく逃げた
周囲の木々が倒れていくがそれを無視し、距離を取る為に風の速度を上げた
「グリム、逃げるのはいいけど風圧で木が倒れているしこのままだとアイツらに余裕で追われそうなんだが...」
「兄さん 十分距離を取りましたし一旦風を止めて休みませんか? もう夜になって周囲は暗いです あとは木々が倒れている所から徒歩で離れて休めれば...」
「あぁ、そうだな ・・・・・・にしてもリクお前なんで追い詰められていた?」
グリムは風を操るのを止め三人は地面にゆっくりと着地し、徒歩でそこから離れる
「それは付与の速度バフがアイツには通じなくて、それに連撃の威力もどんどん上がって防ぐのが疎かになって鳩尾に蹴りを...」
「へぇ〜 それはやられたね まぁでも生きていただけでもいいでしょ リクは未来予知で攻撃の先読みができてもそれに反応するのがまだ遅いからな」
「(さすがに言い方強すぎるんじゃあ...)兄さんさすがに言いすぎじゃあ...」
「クロバいいよ 確かにグリムの言う通り 未来予知で反応しても刀で受け止めるか避けるかの判断が多少遅れる時があるのも事実だから けどそれだけが、アイツにやられた理由にもならないと思う スキルの効果で自身にバフでもしているから判断が遅れてミスに繋がった」
「まぁそれもそうだな...」
「なんだよ 何か含みのある言い方じゃん」
「さっきも言ったが、吸血鬼との戦闘で本物の血液の扱い方を見たなら...いや、いい」
「兄さん... 助言するなら最後までするのがいいのでは?」
「あとはリクお前で見つけろ まぁ俺との戦闘で近い事はやっていたからできるだろ」
「リクさんは、攻撃は高火力で回復もできます ですが回復に頼っている傾向に見えます」
「クロバそれ以上言うな 助言はもういい 木の上で休んで明け方からまた移動を開始するぞ」
リク、グリム、クロバの三名は木の上で休息を取る
「血液の扱い方... グリムと吸血鬼との戦闘...(分からない そういえばあの時の吸血鬼は俺の攻撃を・・・)」
・・・・・・・・・
『我の分身を...(瞬殺されるなら分身を創り続けても意味無い)もういい 分身との連携より他に血液を使う』
リクは吸血鬼との戦闘で分身を倒されてもまた創り出し、それが倒されてもまた創り出すのが続いていた だが吸血鬼は分身を創るのを止めて、リクに向かって駆けてくる
「血迷ったか?一直線に突っ込んでくるなら一撃で心臓を貫くだけだ」
『フッ、我の心臓を狙うのか...』
リクは『血液刀』の先端に風魔術を纏わせ鋭さを上げ、吸血鬼の心臓目掛けて突き刺した だが、吸血鬼は当たる寸前に身体を最小限に動かし『血液刀』の突き攻撃を避けた
・・・・・・・・・
「おい、リク! ボーッとしてんな 周りの状況を見ろ!」
「すまん グリム ちょっと考え事をしていた」
「やっと最終日なんだ 最後にアイツら全員やってからこのイベントを終わらせる!」
「兄さん さすがにこの数を三人でやるのはキツいです」
「そんなの、やる気の問題でしょ 無限に迫ってくるアンデットじゃないんだ やればやるだけ人数は減ってくる」
イベントは最終日を迎え、リク達三人はキザ達百鬼ギルドに周囲を囲まれていた
しかし、リクはグリムとクロバの助言からの自分なりの答えが出ないでいた
どうだったでしょうか?
さすがにこのイベントで話数が長すぎると思っていたので100話行く前には夏イベントは終わらせます




