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35話

 何時間くらい経っただろうか。あるいは、もしかしたらたった数十分くらいしか経っていないかも知れない。




 気付いたら、魔物の数もまばらになってきて、心に余裕が出来るようになった。


 いや、確かに最初に比べれば魔物は減っていたが、それ以上にこの環境に身体が順応していた事が大きかった。




 その証拠として、今この瞬間、俺のレベルが上がった。




 ピコーンとレベルアップを知らせる効果音が脳内に鳴り響く。




 俺達は魔物の間を縫って、魔素、魔物の量ともに少ない比較的安全な地帯で、腰を落ち着かせた。




「一旦休憩だ」




 二人にそう告げると同時に、俺はすかさずステータス画面を開いた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


攻撃600→620 俊敏750→780 物理耐性400→410 魔法耐性650→660 


魔力800→850


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 全体的なステータスの上がり幅はこんな感じだ。




 魔力弾を中心に戦闘を繰り広げていたため、魔力のステータスが著しく向上している。




(ナイスタイミングっ!!)




 あれだけ連戦を強いられてはレベルアップするのも当たり前というものだが、やはりここでの戦闘力の増加はなかなかおいしい。




「俺達もレベルアップだ」




 ダンジョンサバイバルで初めてのレベルアップに、拳を握りしめていると、真一がそう言ってきた。




 『鑑定』でステータスを覗き見して見ると、確かに二人もレベルアップの恩恵を受けていたようだった。




 真一は攻撃力、玄太は魔力を中心にステータスが向上していた。




(これで随分戦いが楽になる)




 そう思っていたその時。




「ギィィィ」




 と、トンネル状の安全地帯の入り口から、魔物のものらしき唸り声が聞こえてきた。




「よしっ、勝って兜の緒を締めよって言うし、早速21.Lv初の魔物を狩ろうとしよう。あっ、ユウはもう26.Lvか」




 そう言って入り口の唸り声のした方へ行こうとした真一を、しかし俺は止めた。




「待て」




 流れの良いこの展開、今の内に波に乗っておこうという考えも間違いでは無いが、何か嫌な予感がする。




「さっきの唸り声、ゴブリンの唸り声に似てるけど、なんか少し違和感があると言うか、低く響き渡るような唸り声じゃ無かったか?」




「あ、言われてみれば確かにそうだな」




 俺の言葉に、耳を澄ませた真一と玄太は、賛成の意を示した。




「慎重に、足音を極力無くして行こう」




「「ああ」」




 俺たちは、一歩一歩慎重に、唸り声のした方へ歩み寄っていった。




 

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