6.恐れられた能力
『笹倉ジュエリー』からダイヤモンドを奪う計画が、またしても失敗に終わったX組。
失敗に終わった直後の深夜、帝は例の男に呼び出された。
男は帝に目を向けず、満月が輝く窓の方ばかり見ていた。女は熊のぬいぐるみを抱きかかえたまま、静かに眠っていた。男の後ろ姿だけでも分かる。男は怒っていると…。
帝は慌てて男に土下座をした。
「誠に申し訳ありません!如月琉が邪魔しに来るとは事前に知っていましたが、天才ハッカーとして恐れられる架以上のパソコン能力があるとは知らず…。本当にすみませんでした!」激しく誤った。
その様子をジッと見ながら男は黙っていた。ただ、とてつもなく怒りのオーラに包まれていた。
やがて、男は口を開いた。「前に言ったはずだよ?帝。あの男は、恐れられた能力の持ち主…。X組の君達は、どうやら彼をなめ過ぎていた…。これが結果に響いた…。分かるか?帝。X組始まって以来の大失態なんだよ?分かっているのか?」何かを諭すように言われた。帝は申し訳なさそうにうなだれていた。
何も言い返す言葉が見当たらない。男はまだ話す。「今回はしかも、君の父さんに助けを求めたそうじゃないか…?君は何度親に手を掛ければいいんだ?親に助けを求めるなんて、君はX組を馬鹿にしているのか?彼の能力は、我々でも恐いもの…。君は、彼と戦う気あるのか?」帝は必死に抵抗した。
「違いますよ!何故私達があの愚かな男に…。」帝がまだ話をしている最中と言うのに、男は、割り込んで来て、「…実際、彼が来てから、計画が一度も成功した事が一つもないじゃないか?どういう事か分かるか?帝。彼に全て邪魔されているんだ!如月琉と言う男にな!」帝は黙ってしまった。
男が話していた事は全て事実だった。真由を退学に追い込むのも、茜の暗殺も、そして、今回の窃盗も…。全てが失敗に終わっていた。
「違います。」なんて、とても言えない。否定が出来ない自分に悔やんだ。そんな帝を見て、男はフッと笑い出した。「…つまり君には、これ以上X組を任せられないって事か…。」
その言葉を聞いた帝は首を大きく横に振った。「そんな…。まだ出来ますよ!まだ、僕に任せて下さい!まだ貴方の出番ではないはずです!僕に如月を倒させて下さい!」しかし、男は聞かない。もう、帝の言葉は入っていなかった。
「いや、もう遅い…。フフフ…安心しろ。策なら打ってある。恐れられている能力を持っている彼でも、これでは、打つ手はないはず…。来週の月曜日、今は寝ているがコイツと一緒にあの学校の門を潜る。ついでに、如月琉って男も生で見てみたい…。邪魔ばかりする、小ズルイ獣にね…。」男は声を上げて笑った。それを見た帝は、躊躇った。「策って…。一体?」男は話してはくれなかった。「久々の学校だ!感覚が少し鈍っているかも知れない…。しかし、行くとなれば、思いっきり楽しんで行こうと思ってね…。邪魔な者は、誰一人いなくなるような、美しい緋色の学園に染めてやるんだ…。」そう笑いながら言って、男は部屋にこもった。
一人になった帝は、同じ部屋で寝ている女の寝姿を見た。いかにも、甘えん坊で可愛がられた女の顔。帝は、ため息をついて女に近寄り、女の頬を触った。「…。どうやら僕では、X組を革命する事は、巧くいかなかったみたいだ…。ごめんね…。」と、涙を溜めながら女に言いかけて、古いボロビルから立ち去った。




