それ死亡フラグ(side 騎士)
※幸い、フラグクラッシャーでした(恋愛含む)
魔王を倒したら、プロポーズしようと思う。
いや恋人でもないからそれは早いか。
改める、告白しようと……
これもおかしいかもしれない。
なんせ彼女は俺を知らない可能性がある。
お友達からお願いします、うん、これだ。
「……エリン殿」
ゴシップによる二人の騒動を治め、
進行した結果、今日はどうにか街に辿り着く事ができた。
久しぶりに宿で一人になれた俺は彼女への思いに耽る。
魔王に挑む以上、戦神の洗礼は受けるべきだと、
アンリエッタの助言を受け、俺達は戦神の神殿を訪ねた。
そこで俺は彼女に出会ったのだ。
神殿の主である巫女姫殿との邂逅の際、後ろで仕えていた彼女。
たまたま瞳が合っただけ。でも彼女は微笑んで。
瞬間、頭の天辺から爪先まで駆け巡る電流。
今まで感じた事のない衝撃。
……完全なる一目惚れだった。
そう、俺は恋に落ちたのだが、
残念な事に何もできぬまま今に至る。
本当は話しかけてみたかった。
だが全くと言って良いほど、機会が無かったのだ。
巫女姫殿の従者たる彼女はいつも忙しそうに動き回っていて、
休憩時間は巫女姫殿と楽しそうに笑いあっている。
女性二人の会話に割り入れるほど、俺は社交術に長けていなかった。
だからさらっとその場に馴染むリクがどれ程羨ましかったか!
正直、殺意を覚えたりもしたが、
八つ当たりでしかないのでただ妬むだけだけである。
そんな訳で俺は陰ながら彼女を見つめることしかできなかった。
女々しいのは承知の上。どうしようもない意気地無しなのも。
「いつか、」
迎えに行きたい、そう思うのは罪だろうか。
だとしても俺は魔王を退けた暁に決行する。
つもりじゃない、断言だ。
何の接点もない男にいきなり言い寄られても困るだろう。
だからまずは知り合いから始めよう。
おそらくこの冒険が終わったらリクは巫女姫殿を妻として娶るはず。
そうなれば今よりか彼女も時間ができるだろう。
それから、ゆっくり近づいていきたい。
触れても許される所まで。
「……どうか、想うことを許してくれ」
清らかなる巫女であり、俺の女神である彼女に、
いつか通じるその日を夢見て、
聞こえるはずもない愛の言葉を囁いた。
結局は似た者同士でした。
本当はアンリエッタとその婚約者も書こうか迷ったんですが、
一日ではこれが限界でした。
この後、登場人物達はどうなったのか。
それはいうまでもなく。