9 前進
9 前進
ステージが着床するまでゆっくりと下降を続ける。
『こちら地上班!
完全停止後、こちらの許可があるまでステージから降りることを禁ずる。』
カーゴ内で疑問が生じている。
「こちらが勝手に降りるとステージのバランスが崩れて向こうのステージが最悪の場合落ちてくるからな。」
グラントが予想を口にする。
「どういうこと?」
リナは理解しきれていない。
いや、僕も正確に仕組みまでは理解できてない。
「今頃、向こうじゃ水重りの排水作業をしてるはずだ。
カーゴが降りるからな、重量バランスを合わせる必要があるんだ。」
グラントがリナに解説していると……
『誰かは分からないが、えらく賢いのがいるな!』
少し間が空き話が続く。
『そいつの言うとおりだ。
このエレベーターはお前らの帰りも使うからな、定位置にステージがないとお前ら困るだろ?
水抜いて、ブレーキを施すまで少し時間をくれ……
あっステージから降りなきゃカーゴの固定は外してもいいぞ!』
初見で構造を理解してポイントを押さえる。
やはりグラントは頼もしい!
こちらもカーゴの固定を外して走行準備を完了させると、地上班から連絡が入ってきた。
『ウエイト適正化終了!
物理的ブレーキ設置完了!
待たせたな、ステージから降りる事を許可する。
みんなで応援しながらここで待ってる。
頑張れよ!』
僕は壁にかかったシーツで作られた横断幕にデカデカと描かれた文字を見る。
そこには『頑張れよ』と書いてある。
「ありがとうございます!
行ってきます」
カーゴは低床モードから中層モードへと切り替わり、窓から見る目線がみるみる高くなった。
『ではエイド班
改めて出発します
地底湖はここから更に垂直方向で約200m下です。
分岐路はありませんがかなり急カーブ急勾配が連続していたとのデータがあります。』
事前に確認していた資料にも、ひたすらカーブが続く難所として記載されていた。
『ここからはカーゴで自走するしかありません。
サポートしていきます。』
僕の目の前のモニターにマップとカーゴの位置が映し出された。
カーゴが動き出し、前方の壁が流れるように横に移動していく。
目の前に真っ暗な洞窟が口を開けている。
ライトは深い闇に飲み込まれ、奥までまるで届いていない。
『ステージ前の広場を抜けると斜路が始まります。
全員シートベルトは可能な限り着用していてください。』
カーゴはゆっくりと前進を始めた。
「ノア!
シートベルトちゃんとしてなさいよ?」
「リナさん!
何でオレだけ注意するんですか〜」
「1番守らなそうだからに決まってるでしょ!」
「えぇー偏見だ〜」
僕たちは、ここが悪戦苦闘の本当の入口になるとは、まだ誰も思っていなかった。
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