7 入口
7 入口
カーゴがスピードを落として進んで行くと、巨大なゲートが内側に開いていった。
近くで見ると十階建てほどはある。 都市なら埋もれてしまう高さも、周囲に何もないこの場所では圧倒的な存在感を放っていた。
ゲートが完全に開いた。
よく見ると数人がかりで押し開けている。
中に入ると門を開けていた人とは別の誘導員が広場へと誘導、そのままとどまることなく崖へ続く柵近くのステージに誘導された……
真新しい黄色いペンキで停止位置が指示されている。
「ヤバ……
……エイドさんヤバい……
……すげーこえぇぇ〜」
ノアが操縦席から立ち上がって身を乗り出している……
僕らのところからはステージの柵しか見えないが、ノアにはその先が見えているようだ。
カーゴがゆっくりと止まる。
『ノア…席に着きなさい……
立たれたままでは低床モードに移行できません。』
ノアは渋々座る……
『エイド
これから我々は、坑道へと入っていきます……
斜行エレベーターは動いてしまうと途中で止めることはできません。
準備はよろしいですか?』
外では先ほど誘導してくれた人がカーゴの輪止めと車体をラッシングベルトで固定してくれている。
僕は周りを見渡す……全員がこちらを向き頷いている。
ここまで来て怯えているものは皆無のようだ。
僕は少し身震いするとテラにオッケーを告げた。
「テラ様!
準備オッケーです。
いきましょう!!」
『地上班…バラスト注水状況の報告をお願いします。』
テラが地上班とやり取りしているが、その音声を流してくれている。
『こちら地上班、バラスト注水状況は現在4.3トン……
注水完了まで、あとおよそ5分です。』
『分かりました、引き続き注水願います。』
「なるほど水バラストで釣り合い取ってるのか、なかなかやるな」
グラントがにやけながら腕を組んで頷いている。
『承知しました。
……あの
……テラ質問してもよろしいですか?』
『問題ですか?
どうしました?』
『いや、問題ってほどではないんですが……
これウチらが用意したカーゴとずいぶんと形状が変わってますが……
バラストの重量は頂いた資料通りで問題ないですか?』
『重量、バランス共に問題ありません』
『かしこまりました、注水率80パーセント!
補助ブレーキ解除します。』
ゴォン……
くぐもった大きな音が響いた。
『ワイヤーテンション確認よいか?』
『……ワイヤーテンション確認よし……』
『……ウォーターウエイト注水率100%……注水停止確認!……』
『注水停止確認…
作業員退避確認後メインブレーキ解除』
『……退避確認!メインブレーキ解除します……解除!……』
ゴン!
大きな音と共にステージが若干下がった。
『モーター回せ〜!』
一瞬照明が暗くなり……
ヒューーーーーーーーーワァァァァーーー
遠くから甲高い音が聞こえてきた。
ゆっくりと…しかし、確実に景色が上がり始める。
坑道の薄暗い天井が下からせり上がって目の前に迫りくるように感じる。
窓から横を見ると、さっきまで誘導をしていた作業員が帽子を振り叫んでいる……
声は聞こえないものの、『頑張れよ』って気持ちは伝わってきた。
僕は敬礼を返す。
外の明かりがどんどん遠ざかり始めた……
しばらく戻ってこれない外の明かりが急に恋しくなった。
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