26 脱出
26 脱出
俺は愛車を磨いていた。
地下に潜っているエイド班達の救助待機も、交代まであと2時間。
待機時間中は何をしていても直ぐに動けるなら何も問題ない!
この場所は古い施設だけに水も運搬して届けて貰うしかない……
貯水タンクに必要分は入っているので余剰分は洗車に使っていても問題はない。
このクロカンを購入するのに随分待った。
ローンもまだ3年残っている。
が、なかなかいい車だ!
『緊急、最優先事項発生!
エイド班と通信がつきました。
現在緊急避難中、急ぎ斜行エレベーターの準備をして下さい』
「テラ、運転は何時間後だ?」
『おそらく1時間未満で到着します』
俺たちは突き飛ばされたように準備をはじめた。
と言っても、補強してあるステージ上にある水槽に水を入れる作業だ。
とは言え……
水槽に水を張るのに3時間は掛かる予定だった。
1時間以内とは……
「相手はカーゴだぞ!
おい!そこの建材積んじまえ!
重そうな物をとにかく集めろ!」
鉄骨に始まりセメントブロック、鉄板に鉄パイプ、窯業系サイディングに袋詰めされた砂利に砂……
「とにかく何でもいい載せれるものは何でも載せろ!」
「リーダー、これ載せますか?」
「バカ、脱出用のバギー載せてどうする!」
「でも、最低あと3トンは載せないと……」
「テラ!あと何分ある?」
『あと数分でステージに到着します』
……
「えぇい、そのフォークリフトよこせ!」
俺は大型フォークリフトに乗り込むと、さっきまで自分でワックスをかけていたクロカンに向う……
爪を車体にぶつからないよう、慎重に差し込む……
「持ち上がれぇ〜〜」
フォークリフトのケツが一瞬浮いたが後輩2人がフォークリフトカウンターウエイトの後に飛び乗った。
重りのかさ増しを応急でしてくれた。
「お前らちゃんと捕まってろよ?」
クロカンを持ち上げてフォークリフトごとステージに乗り上げた。
急いでステージから駆け下りる。
「先輩……良かったんですか?」
「うるせぇ、いいわけねーだろ!」
俺の目には涙が浮かんでいた……
俺の可愛いクロカンちゃんは静かに地下へと吸い込まれていく。
あれ、カミさんに怒られるんだろうなぁ〜
「なぁ、あれ経費で出してくれるかなぁ?」
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