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招待状―ガイアを求めて―  作者: 川口のミネ


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21 工作

21 工作

 ガイアの示してくれた画面を見入る。

「つまり、2ブロック先の倉庫で高所作業車とトラックを確保して、穿孔機と筒状の爆薬、信管を積み込む。そのあと第3坑道へ向かう――それでいいんだな?」

 僕は画面を見ながら手元のリストを確認する。

『そうです。』

「倉庫から第3坑道までは、さらに5ブロックほどあるのか?」

 グラントが確認する。

『はい、高所作業車やトラックの走れる道が少ない為、少々大回りになります。』

「あの、運転は誰がするんです?

 僕はトラックなら大丈夫です。

 でも高所作業車は、運ぶだけならともかく、操作は自信無いですよ?」

 ノアは困った顔をしている。

「確かにそうだな、高所作業車の操作は……」

 僕はグラントを見た。

 しかし、彼は静かに首を振った。

『私の方で高所作業車とトラックの運転や操縦は行えます。

 積み込みや機器のセット等の細かい作業は私では行えません。』

「あっ地図覚えなくてもいいの?」

 ノアは地図を頭に入れていたようだ。

『はい、基本的には周りにカメラもありますし、高所作業車やトラックも私の管理下にありますので都度質問を受けることや指示を出すことは可能です。』 

「よし、それならとりあえず倉庫に移動しよう。」

 僕たちは倉庫へと向かった。

「エイドさん

 僕たちヒーローみたいですよね。」

 ノアの口は軽いが、顔色は真白だ。

「あぁ、そうだな……将来の自分達に向けて恥ずかしいことはできないぞ?」

 僕は少し緊張を和らげるように盛り上げてやる。

「そうよ?ノアの行動で私達の評価が下がるのは……

 あれ?

 いつものことよね?」

 リナも空気を変えるためにノアをいじりだした。

「リナ

 そのぐらいでやめてやれよ

 そのうちノアがうちの大エースとして活躍する日が来るよ!

 ……きっと」 

「グラントさんフォローになってませんよ〜

 もぉ~」

 これから死地に赴くかもしれない中、僕らは変な緊張もなく平常心で、準備に取りかかったかのように見えた。

 ……が、実際には顔は青白く、全員の呼吸が浅かった。

 ……

 パァ〜〜ン!

 僕は大きく手を叩き注目を集めた。

「聞いてください!

 僕はこの作戦、勝算は充分にあると踏んでます!

 いつもの感じで焦らず落ち着いて、一つ一つ確認しながら進みましょう!

 慌てて手戻りが1番勿体ないです。」

 倉庫に着く頃には、僕らはいつものチームに戻っていた。

 建物が見えるところまで来ると倉庫のシャッターは開き、無人のトラックが倉庫に入っていくところだった。

 僕たちも倉庫の中に入ると既に無人のフォークリフトが忙しなく動き、資材を次々と積み始めていた。

 ……

「倉庫で用意するリストにケーブルがないが、大丈夫か?」

『ケーブルは現地近くの資材庫にあります。』

「スケールやレーザーは持ってかなくて良いか?」

『なくても指示は出せますがあってもいいかもしれません。』

「爆発物は湿気てないか?

 あと、運搬は大丈夫なのか?」

『はい、調査用爆薬は長期間の保管に耐えられるよう木箱内で仕切られ、一本一本がワックスシートでくるまれています。

 個別で運ぶよりも木箱でまとめて運んだ方が安全です。』

 ……

 グラントが矢継ぎ早に質問し、ガイアがそれに即応していく。

 僕たちは見守っているだけで準備はみるみる整ってしまった。

 僕たちはトラックと高所作業車に分乗すると誰も運転することなく、坑道へと車が走りはじめた。

 ……

『穿孔機の位置を右に15mm』

 グラントがハンドルを回しながら位置を調整している。

『その位置で停めてロックをかけてください。』

 グラントが数カ所のロックボルトを締めると手を上げ合図をした。

 重い穿孔機を取り付け台まで載せるのはどうしても人力だ、僕もグラントも汗だくで手が滑らないように注意しながらセットしている。

「ガイア

 ロック完了した。」

『かしこまりました。

 これより角度調整に入ります。

 穿孔機より離れてください。』

 重いモーター音のあと穿孔機がゆっくりと動き、角度をセットしていく。

『角度調整完了

 穿孔を開始します。』

 穿孔機の湿式ドリルビットが回転を始め岩盤へと接触し始める。

 刃先は振動とともに岩盤へ食い込み、ゆっくりと奥へ進んでいく。

 ビットの中から冷却用の水が出ているため、粒子状になった岩盤がミルクのように穴の下から溢れてくる。

『ロッドの限界まで来ました。

 停止します。

 ロッドのジョイントをして下さい。』

 このロッドのジョイントも地味に重く二人がかりでもなかなか接続できない。

 グラントが作業終了の合図で手を上げた。

「ガイア

 ロッドの延長終了、穿孔再開を頼む。」

『ロッドの延長を確認

 穿孔を再開します。』

 僕もグラントも汗を拭い状況を見つめている。

 しばらくして穿孔機が止まった。

『目的穿孔深度まで到達

 冷却水停止、ロッドを引抜きます。』

 僕たちは穿孔機を降ろすと、中にブロアホースを突っ込み、残った水分と岩粉を吹き飛ばした。

 綺麗になった穴に信管とリード線をセットした筒状の爆薬を専用の装填具を使いながら差し込んで奥へと装填していく。

 最後に穴から出てる電線を傷つけないように気をつけながら粘土で蓋をし僕らの作業は終了だ。

 リード線を引っ掛けないように作業車から降りると、先端をノアへと引き渡した。

 ノアはリード線を端子へと接続し、最終チェックを始めている。

 ノアを見ていると目の前にタオルと水が現れた。

「お疲れ様、

 汗拭いて水分取って。

 まだ、作業は終わってないけど、とりあえず2人は休憩取って!」

 リナはそう言うと、揺れる地面に一瞬よろけ、ノアの方へと歩いて行った。

 地面は、いつの間にか揺れている時間の方が長くなっていた。


お読みいただきありがとうございます

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