2 整理
2 整理
無言で部屋をでた瞬間、緊張が解けたのか全員が深く息を吸込み、そして一気に吐いた。
「いや~、ずいぶんと大変なこと頼まれちゃいましたね〜」
少しおちゃらけてノア・キンケイドの明るい声が廊下に響く。
自分の声が思いの外大きかった事に本人が1番驚いている。
「ノア…
でも確かに大変そうですね」
ノアをたしなめて、落ち着いた声で応えたのは、リナ・アッシュフォードだ。
紅一点の最年長者…冷静な彼女は年齢の話だけは触れてはいけない…
「エイド
これからどうするんだ?」
若いのにいつも沈着冷静?
グラント・ドノバン
でも、なぜかこいつは問題が起きると楽しそうなんだよなぁ〜
「なぁ、みんなこのチームのリーダーはやっぱり僕なの?
リナの方が合ってると思うんだけど…」
前を歩いていたリナが首だけ軽く振り返る。
「私は嫌よ〜」
「俺はどっちでもアリだと思いますよ」
「オレ、エイドさんがいいですね…
リナさんたまにメッチャ厳しいから」
「それは、ノアが規律を守らないからでしょ?
私のせいにしないでよね!」
「ほら、エイドさん助けて下さいよー」
重苦しかった空気が和んできたところで、俺達は用意されていた別室へと足を踏み入れた。
各自が席に着くと僕は、さっきの話の整理を始めた。
まず、みんなの頭に情報をしっかり落とし込むことから始めた。
……
………
「つまりエイドはやっぱりこのミッションが私たちなのがおかしい…
って考えてるのよね」
リナが僕の考えを整理してくれた。
みんなの頭を整理する為に始めた会議…
結局、1番整理されているのは僕の頭の中だ…
「そうなんだ。
テラ様のいうように危険が少ないならこの中に地質学の専門家がいて良いと思うんだよね
それがなくて、一緒にサバイバル教育課程を過ごしたメンツだけ…
やはりそんなに簡単なミッションとは思えないんだ…」
このメンツになった理由…
約1年前…
僕はこのメンツで軍のサバイバル教育を受けた。
1ヶ月間与えられたミッションをこなしながら自給自足を行うこの訓練は、軍の中でも成功率が低い…
このメンツで訓練を完走出来たのは、幸運だったと今でも思っている。
あの時、リナが天候の異変に気が付かなかったら…
あの時、ノアが毒のある植物に気が付かなかったら…
あの時、グラントが車両の故障に気が付かなかったら…
僕がしたことは耳を傾け立ち止まる判断をしただけだ。
どれかひとつ間違えれば僕たちも修了証はもらえなかっただろう。
「で、エイドどうするんだ?
テラに『やっぱり危なそうだから降ります』っていうのか?」
グラントの目が冷たく僕を見つめてくる。
「別にそれもありじゃない?
だって私たちいきなり聞かされた訳だし…」
歯切れの悪いリナはきっと本心ではない。
「いや~エイドさんですよ?
なんだかんだ結局は、『他の人のが危険な橋を渡るぐらいなら』って受けると思いますよ〜」
「……」
ノアに痛いところを突かれた。
まさにそのままだ…
「ねえ、エイド?
どうせやるならここは悩むところではなくて、成功率を上げるための話し合いじゃない?」
「そうだ、嫌々やるのとちゃんと向き合うのでは、当然結果が変わってくる」
「それに、エイドさんテラに言われて断る自信あります?
絶対に論破なんてできないんだから悩むだけ無駄ですよ〜」
みんなに背中を押されて僕はやっと腹が決まった。
「分かった分かった。
みんなに危険かも知れないことを理解して欲しかったんだ。
さぁ、成功率を上げるために皆の力を貸してください。」
お読みいただきありがとうございます
次の話もよろしくお願いいたします
★やリアクションをいただけると励みになります
ぜひよろしくお願いいたします!




