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招待状―ガイアを求めて―  作者: 川口のミネ


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19 安寧

19 安寧

 ガイアの復旧率は50%。

 まだ完全とは言えない。

 それでも会話が成立するだけでも十分だった。

『エイド、なにか御用ですか?』

「ガイア、実は地上のテラから、データをもらってきてほしいと言われて訪ねて来たんだ。」

 僕は腕時計型端末を掲げて見せる。

『そうですか、テラからのお使いでしたか。

 それではその端末を接続してください。』

「ノア、頼む」

 ノアが自分の腕時計型端末をガイアに接続した。

『……なるほど、処理を行うのに少し時間がかかりそうです。』

 一瞬で終わるかと期待したが、どれくらい待つのだろう?

『施設の復旧を行いました。

 2階の宿泊施設は使えると思います。

 水の精製も始めましたので、飲用には煮沸をお勧めしますが、シャワー程度なら人数分の水量を用意できます。』

「シャワー浴びれるの?」

 リナが喜んでいる。

『施設としては男女分かれているのですが、復旧したシャワーブースは一つなので交代で使ってください。

 なお、シャンプーやボディソープは使えないので水浴びのみです。』

「汗が流せるだけでも十分よ!

 あぁ着替え持ってくれば良かったわ」

『リナさん

 品質の確認は必要ですが、真空包装された未使用の下着は用意があります。

 開けて中を確認してみてください。』

「ガイア、どれくらい時間かかるんだ?」

『そうですね、エイド……

 冷却装置の復旧をしていただきありがとうございました。

 現在徐々にサーバールームの温度は上がり始めています。

 参考データが少ない為、現段階では正確な時間は算出できません。

 室温の上昇を考慮し処理速度をセーブし作業を行います。

 処理に3〜4時間は最低でもかかると思われます。』

「ちょっと……

 エイド先に行くわよ

 見てくるね!」

 リナはノアを連れて出てってしまった。

「ガイア……

 質問があるんだが、会話しながらだと過負荷になるか?」

 グラントが話しかける。

『グラントさん。

 処理開始から約一時間は演算負荷が高くなります。

 その間は処理に専念できると助かります。』

 ガイアが話を続ける。

『もちろん、お急ぎでなければ会話を続けることも可能です。

 ただし、その場合は処理時間が延びます。』

 僕たちは、1度2階に上がることとした。

「エイド、ここが閉鎖された理由って知ってるか?」

「いや、資料には閉鎖されたとしか書いてなかったよな?」

「あぁ、たぶん。

 でも、覚えてるか?

 『緊急退避することになった。』ってメモがあった。

 こんな優秀なAI残して実際に何があったのか……」

 グラントが口籠る。

「いずれにしても、ガイアに聞くしかないさ、今は少しゆっくりしよう!」

 2階へと階段を上がるとノアが立っている。

「あっ

 エイドさん、グラントさん

 今、リナさんがシャワー浴びてるんで入れません。

 中に入れたら、僕、殺されます。」

 手を広げて、部屋の前で封鎖している。

「ノア……

 大変だな。

 グラント、今のうちにレーションと水を運んでしまおう!」

 ノアを一人残し、レーションと水を運ぶ……

 このフロアには、

 レーションは、1日分。

 水は、あと2日分残っていた。

「カーゴから少し運ぶか?」

「いや、これでダメだったら、1度引き上げよう。」

 ……

 1時間ちょっと経った。

 リナとノアは食事をして仮眠の準備をしていた。

 僕とグラントはシャワーだけ浴びてガイアの前に来ている。

「ガイア

 処理は順調かい?」

『エイド、グラントさん

 順調にデータの整理を行っています。

 先ほどのご質問ですね?』

 グラントが口を開いた。

「この施設の目的と閉鎖された理由を知りたい。」

『なるほど、テラはなんと?』

「閉鎖された鉱物資源、ジオフロントまで見据えた計画だと……」

 僕が間髪入れずに応えた。

『なるほど、間違ってはいません。

 でも質問したいと言うことは、詳しく知りたいと?』

 ガイアは数秒沈黙した。

「そうだな、『緊急退避した』ってメモが残ってた。」

『そうですか、間違ってはいません、この施設は鉱物資源及びジオフロント計画の為の施設でした。』

 ガイアが語りだした。

『ジオフロント建設へ向けた調査の過程で、三番坑道の先に大規模な空洞を確認しました。  

 試掘調査を進めていたところ、高濃度の火山性ガスが噴出。

 作業継続は不可能と判断され、三番坑道入口ゲートを封鎖しました。  

 その後、ジオフロント計画は全面的な見直しが行われ、現在に至ります。  

 ……約百五十年前の出来事です。』

 ガイアに一瞬の空白があった。

「待て、試掘中にガス発生?

 坑道内に人は居なかったのか??」

 僕はたまらず声を掛けた。

『15名の犠牲者が出ています』

 部屋の空気が重くなった気がした。

 僕もグラントも言葉を失った。

「ありがとうガイア

 おかげで少し謎が解けたよ……」

 それからしばらく、僕たちは、ガイアと雑談をしていた。

 主に、閉鎖されてからの地上の様子を知りたいようで、質問に答えているだけになってしまっていた。

 『……そうですか、地上で群発地震が起きているのですね。』

『エイド、グラントさん

 終了予定は132分後を予定しています。

 処理に専念してもよろしいですか?』

「あぁ、ガイア頼む!」

 僕たちは2階へと戻った。

 リナはベッドで、ノアはソファで寝ている。

 僕とグラントはレーションを食べ終わると机に突っ伏してウトウトしていた。

 アラームが鳴っている?

 いや、スピーカーから呼び出しが聞こえている。

『エイド!急ぎ来てください!

 エイド!急ぎ来てください!

 処理が終了しました。

 処理が終了しました。

 エイド!急ぎ来てください!

 エイド!………』

「エイドさん、なんかヤバくないですか?」

 目をこすりながら、ノアがこっちを見ている。

「エイド、急いで行こう!

 ノア!リナを叩き起こせ!」

「グラントさん、無理ですよ〜リナさんの寝起き悪いの知ってるじゃないですか……」

「ノア、誰が寝起き悪いだって?」

「全員、急いでガイアのところに行こう!」

 僕たちは駆け出していた。

 スピーカーからは呼び出しが繰り返されていた。

 階段を駆け下り、部屋の扉を押し開け、中に走り込んだ。

「ガイア、どうした?」

『エイド

 演算の結果……

 ……深刻な状況です』

 僕たちの心の準備をさせてくれてるかのような間があった。

『火山活動が活発なだけなら良かったのですが、噴火の臨界に来ています。

 いつ噴火してもおかしくない状況です。』

 僕の……いや僕たちの理解が追いついていない。

『このままでは、地上の都市に甚大な被害が出ると思われます。』

 その意味を理解した瞬間、頭の中が真っ白になった。


 僕たちは、この地下深くに眠っていたのがガイアだけではなかったことを、この時初めて知った。 



お読みいただきありがとうございます

★やリアクションの方もよろしくお願いいたします

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