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招待状―ガイアを求めて―  作者: 川口のミネ


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18/24

18 覚醒

18 覚醒

 グラントがハンマーとドライバーで塩の山を削っている。

「削れるな、それに思ってるほど固くない。

 エイド、カーゴからコンテナを降ろそう。」

 振り返るとグラントは白い粉まみれになっていた。

「グラント、着替えたほうが良いわよ?」

 リナが防護服を持ってきた。

「ありがとう。

 でもどうせならもう少し早く欲しかったな。」

 グラントが自分の体を見て顔にもついている塩の粉を払った。

「私が遅いんじゃなくて、あなたが早すぎるのよ。

 普通、ポケットからドライバーとハンマーが出てくるなんて思わないでしょ?

 とにかく1度向こうで払って着替えなさい」

 白い小さく畳まれたつなぎと洗濯物を仕舞う真空パックを同時に手渡していた。

 こういう時のリナに逆らってはいけない。

「了解、その後カーゴ降ろしたい。」

「わかってるわよ、エイドが手伝ってくれるから、さっさと行きなさい!」

「エイド、降ろすついでにあなたもつなぎを着てきなさいよ?」

 どうやら塩を砕く作業は僕とグラントが確定らしい。

 まぁ、それが1番効率的だろう。

「エイド、カーゴに乗る前にちゃんとグラントを叩いてね!」

 僕たちはカーゴに向かった。

「グラント、サーバールームどう思う?」

 グラントは不織布でできたつなぎに慎重に袖を通しながら答える。

「熱があって良いことは無い。

 少しでも早く冷やす事が先決だな。

 行きに扉を開けてなかったらと思うとゾッとするよ。

 あれはノアのファインプレーだな。」

 やはり少しでも早く冷やすのが1番いいらしい。

「あの清水器、出てくる風が少し涼しくなるけど置いてきたら使えないかな?」

「まさに焼け石に水だな……

 でもその水を垂れ流したら少しは……

 いや、どうだろうな、分からん。

 が、今できることは全てやるべきだ。」

 僕たちはカーゴからコンテナを降ろすと、背負子に乗せて清水器を運んで行った。

「2人に頼みがある。

 こいつをサーバールームに設置してきてくれないか?

 部屋の外でいい、風だけでも中に吹くように、下のタンクは外して垂れ流しで構わない。」

「ちょっと……

 これは私達の命綱よ?

 大丈夫なの?」

 リナの心配はもっともだ。

「リナ、冷却装置の修繕は長くても半日にする。

 その後はガイアの所に行って、ダメなら1度地上に戻ろう

 長くても後2日!

 それなら今ある水やレーションで十二分に足りる。」

「そうだけど……」

 リナは少し不満そうだ。

 しかし、僕の言った意味も理解してくれている。

「エイドさん

 ありがとう

 これ届けてきます。

 行こうリナさん」

 ノアは背負子を手に持ちリナに声をかけた。

「グラント!

 こっちも始めよう。

 何すればいい?」

 僕たちはカーゴから必要そうな道具をかき集めて塩の山へと向かった。

 グラントが大ハンマーを振るい、僕はヒビの入ったところにバールを突っ込みコジ割る。

 バラバラ……

 大小さまざまな欠片が落ちて行く。

「エイド!

 配管が熱で膨張したみたいだな。

 ひび割れが多くてどんどん削れるぞ!」

 やっぱりこいつはトラブルを楽しむタイプだ。

 楽しそうに大ハンマーを両手で振り抜いて行く。

 砕けた塩が足回りを埋め尽くす頃、2人が戻ってきた。

 グラントはスコップを渡し塩の残骸を放すように指示を出していた。

 順調に塩の山をたたき割り削り取り、崩して行く。

 外周部の塩はほぼ取り除かれ、配管も剥き出しになってきている。

 だが、配管同士の隙間は狭い。

 しかも配管は高熱を持っていて、近づくほど作業効率が落ちていった。

 と、突然顔に水が掛かった。

 汗ではない。

「グラント

 ヤバい水が出てる」

「なっっ配管割れたか?

 下がれ蒸気が噴き出す

 退避!」

 蒸気?

 いや顔にかかる水滴は冷たい。

 冷たい?

 水?

 ……水だ。

 「グラント、水だ。

 お湯ですらない。」

「……どこだ?」

 グラントは僕の近くに来ると水滴の出どこを探していく。

「バール貸してくれ!」

 塩の山によじ登りながらバールで水滴の出処の亀裂をこじ開け砕いていく。

 ポタッッッポタッッッポタポタ……

 シャッッッザァァァー

 グラントは巨大なスプリンクラーから出てる水を浴びてしまっている。

「やったぞエイド!

 冷却装置の肝にたどり着いたぞ!」 

 配管の外回りの塩はほぼ取り去りおわり、剥き出しの配管に水がかかると白くむせる水蒸気が上がり始めている。

「ゲボゲボッ

 グラント、撤収しよう」

「そうだな今の装備ではこれ以上は難しいな。

 ここまでにしよう。」

 ……

 グラントと僕の着替えを待って、僕たちは斜行エレベーターでガイアの元へと向かったていた。

 全員の目はサーバールームに向いている。

「少しは熱下がりましたかね。」

 ノアが心配そうに話す。 

「やれることはやったさ。」

 僕はノアに応えた。

 サーバールームの入口前で清水器も健気に頑張っていた。

 ……

 ガイアの前に立つと、正直足が震えていた。

 ノアはログを確認していく。

「や!やりましたよ!!

 エイドさん!

 冷却装置の出入りの温度差が…… 

 Δtが大きくなってます!」

 ノアの声が震えていた。

 ……

「ガイア!聞こえてるかい?」

 ……

「ありがとう、エイド

 そちらの方々は?」

 思わず僕らは歓声を上げた。

 

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